省庁とは
省庁は国の行政機関のひとつです。日本では内閣のもとで「府」「省」「庁」「委員会」と分かれ、それぞれの業務を担当する体制がとられています。例えば財務省が財政を担当し、防衛省が自衛隊を管理するように、それぞれの省庁は国の行政に関わる仕事を分担しておこなっているのです。
ただ憲法上ではそれぞれの具体的な役割は規定されておらず、その時々の情勢に応じて、省庁の編成はしばしば変更されます。
近年では2001年に中央省庁の再編がおこなわれ、それまでの1府22省庁が1府12省庁(1府11省1庁)に大きく改編されています。2021年現在は、東日本大震災後に新設された復興庁を加え、日本の中央省庁は1府11省2庁です。
府や省は内閣の監督のもとで行政を行い、庁は府や省の担当する業務のなかでも、特に専門性の高い業務を行うために設置されています。
経済産業省の成り立ち
1949年に前身となる通商産業省が設置されました。その後2001年に行われた中央省庁再編時に経済産業省に改称されました。経済産業省は一般的に経産省と略されます。
役割
「民間の経済活力の向上及び対外経済関係の円滑な発展を中心とする経済及び産業の発展並びに鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保を図ること」が経済産業省の任務であると経済産業省設置法3条が定めています。
要するに日本経済と産業の発展と、石油などの資源の安定した供給が経産省の役割だということです。
そのために経済、産業、通商、貿易管理、産業技術、流通、エネルギーなどに関する政策を担っています。
経済と産業の発展は国民生活を豊かにします。そのために経産省職員は日々奮闘しているのです。
基本情報
組織
幹部らと7つの主要局、3つの庁と地方局、その他審議会などで構成されています。詳細を知りたい方は上記の資料をご覧ください。
職員数と男女比
一般職の在職者数は2020年時点、経産省全体で7,657人(男性5,725人、女性1,932人)です。うち本省が4,332人(男性3,099人、女性1,233人)、資源エネルギー庁が428人(男性343人、女性85人)、特許庁が2,709人(男性2,120人、女性589人)、中小企業庁188人(男性163人、女性25人)となっています。
女性の割合は全体の25%ほどです。中央省庁の中では職員数も女性の割合も平均的と言えるでしょう。
年収
国家公務員全体の平均月収は約42万円で、それに半年に一回のボーナスを加えた平均年収は約640万円となっています。国家公務員の収入は民間企業と比べると安定していて高いです。ただ年功序列のため、就職して数年の収入は意外に低いです。
また福利厚生や退職金が充実しており、非常に安定した収入を得ることができる職業です。
仕事内容と取り組み
経産省のおおまかな仕事内容を内部部局である8つの局と外局である3つの庁ごとに解説していきます。
大臣官房
経済産業省の司令塔として、中長期的な政策目標を示すとともに、省内の政策の調整、法令審査、予算の作成、政策評価などを行っています。経産省の要の組織です。
大臣官房内には秘書課や会計課、政策評価広報課があり、大臣のサポートも行います。
経済産業政策局
激変する世界経済の中での日本経済及び産業構造のあるべき姿を検討し、その実現に向けた 「経済産業政策」全体を示す役割を担っています。税制・産業金融・財投・規制改革などの産業構造を通じて日本の経済産業政策局の産業競争力強化を図るとともに、人口問題や人材・雇用・教育などに及ぶ経済構造の改革を推進しています。
総務課や調査課、産業再生課など7つの課から構成されています。
通商政策局
日本を取り巻く国際政治経済の情勢を踏まえて、対外経済政策に関する総合戦略を企画立案するとともに、多国間・地域間・2国間の国際的な枠組みを活用し、円滑な対外経済関係を推進するための交渉などを行っています。
経産省内も比較的外国とのかかわりが多い局で、ASEANやEUといった単位と交渉や会議を行います。
貿易経済協力局
貿易投資や経済協力を通じて、日本の優れた技術を海外へ発信し、世界から信頼される存在となることを目指しています。新興国や開発途上国の発展の支援、日本のインフラシステム輸出や大量破壊兵器の貿易経済協力局不拡散、野生動物の保護などの国際約束を遵守するための貿易管理を行っています。
貿易関係の交渉や会議はもちろん、中東やアフリカ諸国の都市・交通整備の支援活動なども行っています。
産業技術環境局
世界に通用する最先端の技術・アイディアを生み出すため、民間の研究開発を支援し、その活力を日本全体の富に還元するための支援と環境作りを行っています。また、日本企業が開発した技術を世界の「標準」にしていく取り組み、地球環境と経済が両立する社会の構築も大切な課題です。
日本の技術を世界に広めるため、10年20年先を見据えて活動しています。また、地球温暖化に関する取り組みも行っており、co2排出量の国際基準を定める会議に参加するなどしています。
製造産業局
我が国のものづくり産業の強みや課題を把握・分析し、グローバル競争力の強化を図るとともに、ロボットや自動車などの個別産業の強みを活かした我が国の社会問題解決に向けた政策を企画・立案・実施することで、我が国製造業の付加価値を高めています。
具体的には自動車の自動走行の実現を目指す取り組みや宇宙産業に日本の技術を展開することに取り組んでいます。
商務情報政策局
情報産業、ヘルスケア産業及びサービス産業の強みや課題を把握・分析し、その競争力強化に向けた政策や個別課題解決のための政策を企画・立案・実施しています。また、電力・ガスインフラや石油コンビナート等における事故、サイバー攻撃の防止・事態収束等にも取り組んでいます。
例えば電力安全課では大規模な発電所建設の際に、自然環境や生活環境などへの影響を審査する「環境アセスメント手続」を通じて、環境保全に配慮された発電所の建設を実現する ことなどを行っています。
内部部局は以上となります。以下は外局の「庁」についてです。外局とは、独立性の強い業務を行うための組織で、内部部局と同様の地位を持っています。文部科学省内の「スポーツ庁」や内閣府の公正取引委員会などが外局のわかりやすい例です。
経産省には「資源エネルギー庁」、「特許庁」、「中小企業庁」の3つの外局があります。それぞれ見ていきましょう。
資源エネルギー庁
石油やガスなどの資源に乏しい日本で、エネルギーを安定供給することが資源エネルギー庁の課題です。また、原発事故後のエネルギー政策の見直しや、戦略的な資源外交、新たな国内資源開発の推進、地球温暖化対策にも配慮したエネルギー計画の策定などの難しい課題に取り組んでいます。
特許庁
特許庁は特許の出願について、技術的観点、法律的観点などから厳正に審査し、独占的な権利を付与するか否かを決定します。また特許の審査以外には中小企業や大学などへの支援をしたり、知的財産に関する制度の見直しや検討を行っています。
中小企業庁
日本企業の約99.7%を占める中小企業の自主的な努力を支えるため、経営の革新及び創業の促進、経営基盤の強化に貢献する政策を企画・立案・実施しています。海外展開や新分野への進出の支援、経済的な変化への対応など、中小企業が日本経済全体を成長させる存在になるよう支援しています。
経産省で働くには
中央省庁で働くには、国家公務員試験に合格する必要があります。後で詳しく説明しますが、試験に合格したからといって必ず希望の省庁に入れるわけではありません。一般企業に採用されても希望の部署に入れるかどうかはわからないのと同じです。
環境省で働くには国家公務員試験を受けることからスタートします。試験には「総合職試験」、「一般職試験」、「専門職試験」があり、それぞれに年齢などの受験条件があります。またそれぞれ試験内容が異なっており、総合職試験は1次2次と2段階の試験があります。総合職試験と一般職試験は合格すると「採用候補者名簿(3年間有効)」に名前が載り、そこから各省庁が採用面接を行い内定者を決定します。この面接を「官庁訪問」といい、どこの省庁に採用され就職するのかは官庁訪問に合格して初めて決まります。官庁訪問に合格しなければ、たとえ筆記試験に合格しても国家公務員になれないということです。
一方専門職試験は官庁を限定している試験のことで、総合職試験、一般職試験と違って試験に合格すれば確実に希望の官庁で採用されます。ただ経産省に専門職試験での採用枠はありません。
国家公務員になるためには特別な資格や学歴は必要ありません。高卒者も受験できます。ただ試験の難易度から、実際に受けるのは難関大学の学生、院生がほとんどという現状です。
(高校)大学卒業 (高校)大学卒業
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総合(一般)職試験 専門職試験
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官庁訪問 そのままその官庁に採用
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採用
参考にしたサイト
・経産省ホームページ
・キャリアガーデン
・パブリログ
https://www.homemate-research.com/