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環境省の役割や取り組みを簡単に解説‐シゴトニンラボ

省庁とは

省庁は国の行政機関のひとつです。日本では内閣のもとで「府」「省」「庁」「委員会」と分かれ、それぞれの業務を担当する体制がとられています。例えば財務省が財政を担当し、防衛省が自衛隊を管理するように、それぞれの省庁は国の行政に関わる仕事を分担しておこなっているのです。

ただ憲法上ではそれぞれの具体的な役割は規定されておらず、その時々の情勢に応じて、省庁の編成はしばしば変更されます。

近年では2001年に中央省庁の再編がおこなわれ、それまでの1府22省庁が1府12省庁(1府11省1庁)に大きく改編されています。2021年現在は、東日本大震災後に新設された復興庁を加え、日本の中央省庁は1府11省2庁です。

府や省は内閣の監督のもとで行政を行い、庁は府や省の担当する業務のなかでも、特に専門性の高い業務を行うために設置されています。

環境省の成り立ち

環境省の前身である「環境庁」が1971年に佐藤栄作内閣のもと発足しました。1950年頃から四大公害病が各地に広がりはじめ、1960年代には大気汚染防止法や騒音規制法が制定されました。当時「厚生省」、「通商産業省」など各省庁に分散していた公害に係る規制行政をまとめて担当するとともに、政府の環境政策についての企画を調整する役割を持った行政機関として誕生したのです。

2001年に「環境省」に名前を変え、現在も行政の中心機関として機能しています。環境省のこれまでの歩みを環境省がパンフレットにまとめているので、よければ参考にしてください。環境省の歩み

環境省の基本情報

組織

R3 環境省機構図(令和3年4月1日現在)

大きく8つの部署に分かれており、各部署が総務課や秘書課など細かい課に分かれています。興味のある方はご覧ください。

人数と男女比

2 常勤職員在職状況統計表

一般職の在職者数は2020年時点で環境省全体で2,879人(男性2,356人、女性523人)です。そのうち、本省(地方環境事務所を含む)が1,928人(男性1,553人、女性375人)、原子力規制委員会(原子力規制庁及び施設等機関を含む。)951人(男性803人、女性148人)となっています。

職員数は約3000人、女性の割合は約18%です。

年収

国家公務員全体の平均月収は約42万円で、それに半年に一回のボーナスを加えた平均年収は約640万円となっています。国家公務員の収入は民間企業と比べると安定していて高いです。ただ年功序列のため、就職して数年の収入は意外に低く、民間企業と差がほとんどありません。

また福利厚生や退職金が充実しており、非常に安定した収入を得ることができるシゴトです。

環境省の役割

先述の通り、環境省は公害や環境問題に対応するために組織されました。現在は「今の地球環境を未来に継続させる」というのが一番の役割となっています。2000年頃から地球温暖化が問題となり、地球サミットなどの国際会議が行われるなど世界的に動きがありました。そんな中、日本国内で環境問題や自然生物の保全に関する取り組みを行ってきたのが環境省です。

仕事内容と取り組み

各省庁は非常に幅の広い業務を行っており、その内容が見えにくいです。環境省であれば、環境維持や生物の保護を主な役割として様々な政策を行っていますが、具体的に何をしているかはあまり知られていません。たくさんの政策を行っており、その全てをここで紹介することは難しいので、主なものを抜粋して紹介します。

まず、環境省の政策は8つの分野に分けられ、それぞれを担当する部署があります。「総合環境政策」「地球環境・国際環境協力」「環境再生・資源環境」「自然環境・生物多様性」「大気環境・自動車対策」「水・土壌・地盤・海洋環境の保全」「保健・化学物質対策」「地方環境対策」それぞれ解説します。

総合環境政策

環境基本計画の策定等環境の保全に関する基本的施策を行っています。環境基本計画とは、国や自治体の環境に関する基本的な計画で、環境基本法第15条に基づいて定められています。また、事業者、NGOの環境保全活動を支援し、環境教育を推進する他、環境アセスメントや環境研究、技術の推進を図っています。これらを担当するのは総合環境政策統括官グループです。

具体的には環境白書の作成、環境に関するアンケート調査、新政策のための調査や会議などを行っています。

地球環境・国際環境協力

地球環境局は、地球環境保全に関する基本的な政策の企画、立案、推進をしています。また国際機関、外国の行政機関等に関する事務をまとめて担当し、開発途上地域に対する環境協力を推進しています。

地球温暖化対策のための制度を定め、意識調査を行ったり、国際会議に参加することもあります。

環境再生・資源環境

環境再生・資源環境局は島第一原発事故による放射性物質汚染への対処、3Rや廃棄物の適正処理を推進しています。3R は Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つのRの総称で、資源を大切にしていこうとする取り組みです。

循環型社会を形成するための基本計画を立てたり、廃棄物に関する統計データ作成、福島第一原子力発電所の放射性物質の汚染への対処などを行っています。

自然環境・生物多様性

自然環境局では、それぞれの地域に応じた自然環境の保全を行い、自然とのふれあいの推進を図るとともに、生物多様性の保全や野生生物の保護管理、国際的取り組みの推進などの施策を進めています。

日本の世界自然遺産の保護や海洋生物・サンゴの保全、森林保護のための活動を行っています。

大気環境・自動車対策

水・大気環境局は、工場、自動車等から排出される物質による大気汚染や、騒音、振動、悪臭などの問題に取り組むとともに、放射性物質による環境汚染のモニタリングなどを通じて、国民の健康保護及び生活環境の保全に努めます。

大気環境のモニタリング、公害防止のための検討会・有識者を招いた会議などを行っています。

水・土壌・地盤・海洋環境の保全

水・大気環境局は、流域全体を視野に入れた水環境の保全に向けた総合的な施策を取り組むとともに、有害物質による土壌や地下水の汚染という負の遺産を将来世代に残さないため、土壌汚染の防止や、農薬の安全評価、土壌・地盤環境の再生に取り組んでいます。

水道水の品質調査や海洋ゴミ対策、農薬のリスク管理などを行っています。

保健・化学物質対策

環境保健部は、化学物質による環境汚染の健康や生態系に対する悪影響を未然に防止する観点から、様々な施策を展開しています。また、公害によって健康被害を受けた人の迅速かつ公正な保護、及び国内における毒ガス弾等に対する取り組みを行うとともに、福島県民健康管理調査に係る事務など放射線に係る事務を担当しています。

水俣病対策のための情報発信や子どもの健康と環境に関する全国調査などを行っています。

地方環境対策

環境省では、全国8ブロックの地方環境事務所(北海道、東北、福島、関東、中部、近畿、中四国、九州)を中心として、四国を管轄する四国事務所及び3か所の自然環境事務所(釧路、信越、那覇)の他、現場で国立公園等を管理するための自然保護官事務所等を配置し、地域の実情に応じたきめ細かな環境政策を展開しています。

これらの政策を実施するために日々会議や検討会、関連企業との打ち合わせなどを行っています。

なり方

中央省庁で働くには、国家公務員試験に合格する必要があります。後で詳しく説明しますが、試験に合格したからといって必ず希望の省庁に入れるわけではありません。一般企業に採用されても希望の部署に入れるかどうかはわからないのと同じです。

環境省で働くには国家公務員試験を受けることからスタートします。試験には「総合職試験」「一般職試験」「専門職試験」があり、それぞれに年齢などの受験条件があります。またそれぞれ試験内容が異なっており、総合職試験は1次2次と2段階の試験があります。総合職試験と一般職試験は合格すると「採用候補者名簿(3年間有効)」に名前が載り、そこから各省庁が採用面接を行い内定者を決定します。この面接を「官庁訪問」といい、どこの省庁に採用され就職するのかは官庁訪問に合格して初めて決まります。官庁訪問に合格しなければ、たとえ筆記試験に合格しても国家公務員になれないということです。

一方専門職試験は官庁を限定している試験のことで、総合職試験、一般職試験と違って試験に合格すれば確実に希望の官庁で採用されます。ただ、環境省に専門職試験での採用枠はありません。

国家公務員になるためには特別な資格や学歴は必要ありません。高卒者も受験できます。ただ試験の難易度から、実際に受験するのは難関大学の学生、院生がほとんどという現状です。以上を踏まえ、採用までの流れは以下になります。

 

(高校)大学卒業        (高校)大学卒業           

↓              ↓

総合(一般)職試験       専門職試験

↓              ↓

官庁訪問            そのままその官庁に採用

採用

 

総合職試験と一般職試験の試験レベルに大差はありませんが、総合職のほうが思考力が求められる内容になっています。総合職試験に合格して採用されたものは次世代の中央省庁の幹部候補で、官僚と呼ばれることがあります。官僚に明確な定義はありません。国家公務員の中のエリートというイメージを持ってください。

スケジュール例

https://www.env.go.jp/guide/saiyo/info/pamph/cat_ra/full.pdf

環境省の採用パンフレットより引用します。

・九州地方環境事務所  総務課会計係員 の場合

08:30  登庁  

09:30  雑務の処理  

10:30  書類のチェック  

12:00  昼休憩  

13:00  入札の準備  

14:30  入札

17:00  再び書類のチェック等

19:00  退庁

9時より早く出社し、メールやその日にすべき作業の確認を行います。その後雑務の処理など簡単な業務を終わらせ、書類のチェックなど事務作業を進めます。昼休憩をはさみ午後の仕事に取り掛かります。忙しい時期でなければ19時頃には退社できます。

参考にしたサイト

・環境HP

http://www.env.go.jp/

・キャリアガーデン

https://careergarden.jp/

・パブリログ

https://www.homemate-research.com/