今回紹介するシゴトはシェフです。
一般的にシェフは調理をするシゴトとして、コックと混同されていることが多いと感じますが、皆さんは、シェフとコックの違いを知っていますか?
コックは料理をすることをシゴトとしている人全般をさします。それに対し、シェフは料理長をさします。シェフは基本的に厨房責任者として全体の指揮などを行います。具体的な業務の例として一つあげられるのは、メニューの開発などです。
そのため、シェフはその飲食店が人気になるか否かという大きなカギとなる存在であるため、責任がとても重たくのしかかります。
それでは具体的なシェフの職業の詳細について見ていきましょう!
シェフのなり方
シェフになるための特別な資格や学歴はありません。シェフになるには一般的に二つ方法があります。一つは調理師学校に通い、基礎を学んでからレストランやホテルで働く方法で、もう一つは中学や高校を卒業してすぐにレストランなどで働く方法です。
しかし、どちらの道に進んだとしても、コックとしての経験を積みスキルを上げる必要があり、下積み期間が必要となります。
下積み期間は雑用から始まり、徐々に調理にもかかわれるようになり、最終的に一人で任されるようになるのがゴールです。そして、そこからスーシェフのポジションになり、シェフになるのが一般的です。そのため、就職してから、シェフになるまでの道のりはとても長いものになります。
※スーシェフ:副料理長
シェフになるための学校
シェフには学歴は特に必要ありません。しかし、シェフになるための学校はあります。多くの人は中学や高校を卒業してから直接現場に入ることも多いですが、就職の際の安定性や調理師免許を効率よくとることができるという利点から、調理の専門学校などに通う人も多くいます。
専門学校
調理師になるための専門学校では、専門的な技術や知識を両方学べます。学校にもよりますが、日本料理やイタリア、エスニックなど様々なコースがあり、幅広い種類の料理が学べます。学費に関しては、学校によって変わりますが、年間平均で150万円ほどかかります。
短大
一部の短大では、調理に関して学ぶことができます。専門学校とは異なり、調理以外のことも学ぶ必要があるため、調理の道に進む選択肢を持ちつつ、他の職業になる可能性を持っていたい場合にはよい選択といえるかもしれません。
雇用形態・働き方
シェフには大きく分けて二つの種類があり、自分でレストランも経営しているオーナーシェフ、レストランやホテルなどで雇われているシェフに分けられます。それぞれ簡単に説明します。
オーナーシェフ
オーナーシェフになるのは、何年かレストランやホテルなどでシェフとしての功績を残した後のケースがほとんどです。「〇〇で働いていた△シェフのお店」と紹介されるのをよく見かけるのは、そのためです。雇われのシェフとは違い、料理や経営、サービスやお店の魅せ方などすべてにおいて決定権があるため、自分のやりたかったことを実現しやすいです。しかし、雇われの際には経験しなかったさまざまな雑務などもこなさなければならないため、苦労も伴います。
雇われているシェフ
雇われているシェフの所属先はいくつかあり、代表的なものはホテルやレストラン、結婚式場などです。
まず、ホテルでは結婚式や披露宴、レストラン、パーティなどでの調理を行わなければなりません。そのため、大規模なチームを総括して動かさなければならないため、大きな責任が伴う職場です。また、ホテルの場合、総料理長と服装料理長という自分が働いているレストラン以外の場所もすべて含めた責任者がいるため、すべてを自分のやりたいようにというわけにもいきません。また、ホテルによっては管理者としてのシゴトの比率が高い場合、一日も厨房に入らず、パソコンに向かって作業するようなケースもあります。
次にレストランですが、規模は様々で大きいところから小さいところまであります。レストランにおいてのシェフはキッチンの責任者として動き回る立場です。しかし、小規模なところでは厨房にシェフ一人しかいない場合もあります。そのため、時にはホールスタッフの仕事もシェフがやる場合もあるため、レストランでの就労形式は様々といえます。
最後に結婚式場ですが、これは結婚式で出るコースメニューをすべて考えるのがシェフの仕事です。カップルが結婚式場を選ぶポイントとしてあげる際に、食事がおいしいところをあげるケースも多いそうで、その結婚式場の売り上げを左右する存在ともいえます。シェフは新郎新婦からの提案を聞き、メニューを提案したり、新しいものを創作したりする必要があり、これもまた大きな責任が問われます。
資格
シェフになるための特定の資格は必要ありません。しかし、持っておくとキャリアの中で有利に働くものがあります。一つ目は調理師免許です。調理師免許を持っていることは、調理に関しての正しい技術をもっているという照明になります。そのため、お店などを持った場合に、お店に信頼性をもたせることができます。二つ目は食品衛生責任者になることです。これは、食品を扱う営業を行う際に、持っていなければならない資格です。これは、従業員の中の一人が持っていれば問題ないため、資格保有者を雇っていれば問題ありません。三つめは専門調理師・調理技能士の資格です。これは、調理師資格よりも高度な知識や経験が求められる国家資格です。
調理師免許
調理師免許を取得するためには2つの方法があります。厚生労働省指定の調理師学校を卒業する方法と2年の実務の後、国家試験に合格する方法があります。夜間のコースや通信型のものもあるため、社会人になった後でも取得することが可能です。
調理師の専門学校に通わない場合、調理師法で指定されている施設で2年以上の実務経験を経た後に調理師免許試験に合格した場合に調理師免許を取得することができます。
調理師免許をとる場合、都道府県によって差はありますが、約6000-7000円で受験することができます。
食品衛生責任者
まず、食品衛生管理者になるには食品衛生責任者養成講習会という講習受ける必要があります。しかし、それには例外があり、以下の資格を保有している場合には講習会を受けずともなることができます。
・栄養士
・調理師
・製菓衛生師
・と畜場法に規定する衛生管理責任者
・と畜場法に規定する作業衛生責任者
・食鳥処理衛生管理者
・船舶料理士
・食品衛生管理者、もしくは食品衛生監視員となることができる資格を有する者
専門調理師・調理技能士
専門調理師・調理技能士の資格をとる際には、調理技術技能評価試験に合格する必要があります。この試験は、日本料理や中華料理、西洋料理などいくつかの分野があり、自分の経験を積んできた分野によって受験することができます。受験する際には、実務経験のみが8年、調理師養成学校に通っていた場合は6年以上が必要となります。この資格は実技と学科があり、平均の合格率は60%前後となります。
シェフの年収
シェフの平均年収は340万円前後1です。一般企業の平均年収である436万円2と比べると低い水準になっています。しかし、独立した場合や働いているレストランやホテルなどの規模によってもかわり、シェフの中でも有名なオーナーシェフなどは1000万円以上稼ぐ人も珍しくありません。
男女比
現在、シェフの男女比率は 6:4となっており、男性のほうが少し比率が高くなっています。これはシェフというシゴトの特性と現代社会の固定観念が少し影響していると考えられます。シェフというシゴトは多くのコックを統括しなければなりません。そのため、リーダーシップや人望などが求められます。また、いまだに社会では男性のほうがリーダーシップなどがあると考えられているケースが多いため、女性シェフが少ない現状が生まれてしまっているのかもしれません。
女性シェフのキャリアパス・結婚後
結婚後
結婚後のキャリアパスですが、シェフのシゴトは結婚後も問題なく続けることができます。しかし、勤務する場所によっては夫婦で生活リズムが異なる場合なども生まれてきます。例として、レストランやホテルなどで、シフト制であるものであれば時間が取れるとは思いますが、そのような形式ではなく、長時間労働が要求されるところでは、夫婦の時間があまりとれなくなってしまうという現状があります。
出産後
実際、シェフという仕事を子育てをしながら続けるというのはとても難しいことです。長時間労働が要求されたり、不定期の出勤であったりする職場では、体力的な問題も含め、育児と両立させるには難しいでしょう。
勤務地
シェフの勤務先はホテルやレストランが多く、レストランやホテルはどこにでもあるため、勤務地は都心などの一点に集中しているわけではなく、地方にも散らばっています。最近では勤務形態も少し変わってきており、レストランやホテルのみではなくなっています。例として、出張のシェフサービスが挙げられます。これは、シェフがお客様の家に出向き、食事を作るというものです。コロナウィルスが流行しており、できれば外食は避けたいという思考の元このようなサービスも増えています。
海外でシェフとして働くには
海外で働くことはシェフにとっては修行として向こうに行くという意味合いを持つことが多いです。海外で修行してきた日本のシェフは、帰国して自分の店を出すことが多いです。これは、海外の有名なレストランなどで働いているということを前面に出すことで、ネームバリューが上がり、顧客を集める手掛かりになるからです。しかし、海外で働くにもある程度の準備が必要です。
まず、ある程度の語学力が必要です。厨房内ではある程度のコミュニケーション能力がなければ、料理のスムーズな作業ができません。しかし、最近ではインターネットを通じての日本人料理人の求人も多くあり、日本人を直接求めている場合にはコミュニケーションができる程度の語学力しか求められていない場合も多いです。このように、日本人料理人の海外での就職のためのサイトができるほど、日本の料理人の海外においての需要は高まっているのかもしれません。
次に勤務先を探す作業をしなければなりません。様々な方法がありますが、一つに働きたいレストランに直接直談判しに行くという方法もあります。また、日本で下積みを積んだ後に行く場合はそこでのコネなどで入る方法もあります。
最後に、就労ビザの取得が必要です。その際に、調理師免許が大切になります。シェフになるために調理師免許は絶対必要ではありませんが、ビザを安心して取得したい場合には調理師免許を持っていることが大切です。また、働く方法は就労ビザだけではなく、ワーキングホリデーを使っていくことも可能です。ワーキングホリデーは18-30歳までの間で、1-2年間、日本が協定を結んでいる国でアルバイトをすることができるという制度です。
以上のように、海外でシェフとして働くのには多くの準備をする必要とします。しかし、海外で働くことの経験はキャリアの中での大切な時間になるといえます。また、日本に帰ってきた後のキャリア形成にも大きな影響を与えかねません。
スケジュール例
08:00 食材調達・仕込み開始
11:00 オープン
14:00 休憩
15:00 ディナーの準備
17:00 ディナーオープン
22:00 閉店
24:00 片付け
1:00 帰宅
勤務時間・休日
シェフの一日は多くの場合、とても長く管理責任者として見ていなければならないため、必然的に長時間の勤務になってしまいます。
レストランなどでは、定休日が決まっているため、祝日やGWなどは休暇がとれる場合が多いでしょう。しかし、ホテルは常々営業していなければならないため、必然的にホテルのレストランなどのシェフはレストランなどのシェフと比べ休暇が取りにくくなるでしょう。
求人・就職情報・需要
レストランやホテルなどのシェフなどのシゴトは昔からずっと需要は変わらずあるシゴトです。そのため、求人などが絶えることは無いでしょう。しかし、コロナウィルスの影響で経営が厳しくなりお店をたたんでいるような状況であるため、シェフなどの求人は通常時より少なくなっており、影響を大きく受けているシゴトといえるでしょう。
転職状況・未採用試験
シェフは資格や学歴が必須であるシゴトではないため、転職などはレストラン・ホテル間などでの転職が多いと考えられます。
シゴトニンラボの考える未来図
シェフというシゴトはレストランやホテルにはいなくてはならない存在です。この先、飲食業界が途絶えない可能性はまったく考えられないため、シェフというシゴトはなくならないでしょう。たとえAIが出てきたとしても、料理人が持っている感性や味覚などは計算や科学のみでは再現できるものではないため、シェフの仕事が奪われるという可能性もとても低いです。そして、この先も新たなレストランやホテルが作られるため、シェフの需要は常に存在すると言えます。
まとめ
今回のシェフについての記事、いかがだったでしょうか?
シェフはレストラン自体の味や方向性、評価など全体を大きく左右するシゴトです。
彼ら自身の感性や技術がお店の名前に影響を大きく与えるともいえるほど、大切なポジションです。
数多くある飲食店の中で、活躍するシェフになることはとても大変です。しかし、その分注目されるシェフになった時の喜びや誇りはなににも変えられないものとなるでしょう。
シェフは表向きには、厨房の責任者としてのシゴトですが、蓋を開けてみると、食べ物という型も枠もないものを通じて、自らの経験とセンスを互いにぶつけ合っている激しいシゴトの場なのかもしれません。
この記事を通して少しでもシェフというシゴトについて興味をもっていただけたら、嬉しく思います!
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
参考にしたサイト
・キャリアガーデン
・スタディサプリ
https://shingakunet.com/bunnya/
- 政府の職業情報サイトO-NET参照https://shigoto.mhlw.go.jp/User
- 国税庁 令和元年 民間給与実態統計調査を参照https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf