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ブリーダーになるには?仕事内容や年収と合わせて解説‐シゴトニンラボ

 

皆さんブリーダーというシゴトを知っていますか?

後で詳しくまとめますが、ブリーダーの基本的な仕事内容は動物や植物を繁殖させ、育てることです。育てた動物を自身で販売することもあれば、ペットショップなどに流すこともあります。

今回の記事ではそんなブリーダーの仕事内容やなり方、収入などをまとめていきます。

ブリーダーとは?

冒頭でも述べましたが、ブリーダーとは犬などの動物の繁殖や植物の栽培、それらの販売を専門的に行うシゴトです。今存在している種の血統を守り、次世代に繋いでいくという役割があります。

ブリーダーは会社などの組織として大がかりな繁殖をするブリーダーと、個人のブリーダーに分けられます。数としては個人のブリーダーが多く、副業として家庭内で繁殖を行うブリーダーが多いです。

また、ブリーダーは品種改良を行うこともあるため育種家(いくしゅか)と呼ばれることもあります。

かつてはブリーダーは育てた犬などをペットショップに送っていましたが、インターネットが普及した現在は直接顧客に販売するブリーダーも増えています。

つづいて、ブリーダーの詳しい仕事内容についてまとめます。

ブリーダーの仕事内容

動物の繁殖

ブリーダーにとって重要なシゴトの1つが繁殖です。対象となる動植物はさまざまですが、ペットとして飼われることの多い犬と猫のブリーダーが大半を占めます。

ブリーダーは良い血統の雌雄を交配させ、優良種の繁殖を目指します。優良種とは、健康状態や身体的な特徴、性格などが良い動物ということです。ブリーダーはそれぞれが思い描く理想の動物をつくるために慎重に繁殖を行います。

優良種をつくるための計画的な繁殖にはいくつか種類があります。今回はその3つの方法を紹介します。

イン・ブリーディング(近親繁殖)

親子や兄弟姉妹のような血縁関係が近い動物同士の繁殖をインブリーディングといいます。インブリーディングの特徴として、両親の特徴を色濃く引き継いだこどもが生まれやすい点が挙げられます。両親が持っている遺伝子がかなり似ているので、こどもは長所も短所もより強くなる傾向になります。両親よりも優れたこどもが生まれることもある一方、強い欠点が現れることもあります。

インブリーディングは主にその系統のタイプを固定する目的で行われます。

ライン・ブリーディング(系統繁殖)

インブリーディングと比較して薄い血縁関係をもつ動物同士で繁殖させるのがラインブリーディングです。同じ血を引いた、少し離れた親戚同士などで繁殖させます。インブリーディングと比較して、親の欠点を引き継ぐ可能性が低く、かつその系統の優れた特徴を継続し、固定していくことができます。

アウト・ブリーディング(遠親繁殖)

系統的にも血縁的にも関係のない犬同士で繁殖させるのがアウトブリーディングです。うまくいけば、両親それぞれの良いところを引き継いだ優秀なこどもが生まれますが、反対に両親それぞれの欠点を引き継いでしまうこともあります。

アウトブリーディングで良いこどもが生まれた後はインブリーディングやアウトブリーディングを繰り返し、特徴を固定していきます。

このような方法で動物を繁殖させ、飼育していきます。繁殖する頻度や時期は動物の発情期や健康状態などに左右されます。動物の健康を重んじず、やみくもに繁殖させるようなブリーダーはいません。特に母体となるメスの健康管理は重要です。

動物の飼育

動物の繁殖はもちろん重要ですが、生まれた動物を育てるのも同様に重要になります。とにかく動物にストレスを与えず、健康状態に気を使います。歩き方や呼吸、尿や便などに異変がないかをその都度確認し、餌の分量を成長具合や健康状態に合わせて調整します。

犬の場合であれば、ストレスをかけないように毎日散歩に連れて行きます。

ゲージの掃除など、環境を整備することも動物にストレスを与えないために重要になります。ただ動物は環境の変化にも敏感なため、掃除のし過ぎやゲージの移動などをしすぎるのはよくありません。

動物の流通・販売

ある程度飼育した動物はペットショップなどの市場に流します。契約しているペットショップに送ったり、個人で販売します。インターネットの普及によって、現在は個人で販売するブリーダーが増えてきています。ペットショップよりもブリーダーの元で購入したいという消費者も増えてきています。ブリーダーは適正価格での販売を行っているケースが多く、またペットショップと比較して飼育が丁寧な点などから、人気が出てきています。

続いて、ブリーダーになるための方法をまとめていきます。

ブリーダーになるには

ブリーディングに関わるためにはブリーディングを行っている企業に就職するか、自身で開業するかのいずれかの手段を選ぶことになります。ただ、ブリーダーとして企業に就職するのは非常に難しい1ので開業するための方法をまとめていきます。

まず必要なものとして「開業資金」「施設・設備」「資格」「税務署への届け出」が挙げられます。それぞれ説明します。

・開業資金

開業資金に必要なものは、設備を整えるための資金と繁殖させる動物を用意するための資金になります。必要な設備や道具は(もちろん規模の大きさによりますが)ケージやフード、給水機や照明などで、10万円に満たない程度であることが多いです。繁殖させる動物にかかる資金が最も大きく、子犬の場合は二頭で30~60万円程のことが多いです。

それらを合わせて40~70万円程かかるのが一般的です。

・施設・設備

飼育のための設備は自宅でも構いませんが、地域的な条件などがあるので注意が必要です。趣味であろうと事業であろうと、ブリーダーとして犬や猫を繁殖している場合、その場所が自宅であろうと法律上「畜舎」として扱われます。畜舎を建ててはいけない地域や区があるので、実際にブリーダーを始める場合は注意が必要です。その場所が畜舎を建てることが可能かどうかは各市町村で確認することができます。

・資格

ブリーダーとして開業するためには「動物取扱責任者」の要件を満たして「第一種動物取扱業」の登録をする必要があります。ブリーダーとして企業や個人のもとで働くだけならこの資格は必要ありません。

ここで注意したいのが、「動物取扱責任者」はいわゆる資格とは異なり、「第一種動物取扱業」の登録申請に必要な要件であるということです。動物取扱責任者として認められるための条件は以下になります。

動物取扱責任者になるためにはいくつかの条件があります。まず、ブリーダーとして半年以上の実務経験があること、その知識と技術の習得のために、一年以上学校やその他の教育機関で学び、卒業していること。公平で専門的な団体が行う試験において、ブリーダーになるために必要な知識や技術を習得していることの証明を得ていること。これら三つすべての条件を満たす必要はありませんが、三つのうち、どれかを満たしていることが必要です。次に、動物取扱責任者研修を受講していること。また、これまで動物の愛護や管理に関する法律によって登録を取り消されて一定以上の年月が経過していない、絶滅の恐れのある野生動物の種の保存に関する法律に抵触していないといった条件が求められます。

(https://www.designlearn.co.jp/breeder/breeder-article07/ より引用)

 

動物取扱責任者の要件を満たしたら、最寄りの保健所に第一種動物取扱業の登録申請をします。申請方法などは自治体によって異なるので、注意しましょう。

東京都の場合はこちらをご覧ください。

・東京都福祉保(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/douso/dt_gyou/youshikitou.html)

・税務署への届け出

ブリーダー開業後に税務署へ届け出を出すことを忘れてはなりません。ブリーダーに限らず、なにか事業を起こす際には税務署に書類を提出する必要があるのです。

個人事業か法人の設立かによって必要な書類がことなります。また開業後から届け出を出すまでの期限が設けられているので注意してください。

ブリーダーの税務署への届け出に関してはこちらをご覧ください。

・ペットビジネスサポートセンター大阪(https://petbusiness.solide.biz/tax/post-1900/)

ブリーダーを開業するためには以上のものが必要になります。ただ、ブリーダーとして開業することはできても、利益を上げて成功させるのは非常に難しく、人脈や知識、豊富な経験が必要になります。そのため、独立する前にブリーダーの元で働いたり、ペットショップなどで経験を積む人も少なくありません。

ブリーダーの年収

令和3年に行われた賃金構造基本統計調査によると、ブリーダーの平均年収は344万円です。日本の労働者の平均年収である436万円2と比較すると低い水準となっています。

ブリーダーの収入は子犬や子猫の販売によるものがほとんどです。そして繁殖犬や猫がこどもを生むペースというのは限られるので、ブリーダーの収入もある程度限られることになります。

つまり、ブリーダー業で健全な経営を行いながら莫大な収入を得るのはその構造上非常に難しいということです。

最後に

ブリーダーというシゴトは直接的に命を扱うシゴトです。また、動物に関する深い知識と愛情が必要になるシゴトです。ブリーダーを志す方はそういった意識が自身の中にあるのか、しっかりと確認した上で目指しましょう。

参考にしたサイト

日本インストラクター技術協会

https://www.jpinstructor.org/shikaku/pet/breeder/breeder_column01/

 

東京都動物愛護相談センター

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/douso/dt_gyou/doubututoriatukaisekininnsha.html

 

ペットビジネスサポートセンター大阪

https://petbusiness.solide.biz/tax/post-1900/

 

職業情報提供サイト(O-NET)

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/500

  1. 企業の数が少なく、道がとても狭い
  2. 国税庁 令和元年 民間給与実態統計調査を参照https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf