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バーテンダーになるには?仕事内容や年収と合わせて解説‐シゴトニンラボ

皆さんはバーテンダーと聞いてどのようなイメージを持ちますか?

私の場合はカウンターでグラスを磨き、大人の雰囲気を醸し出す男性店員を思い浮かべます。以前初めてバーに遊びに行ったのですが、その際私の意識はバーテンダーにまったく向いていませんでした。いい意味で空気のような存在で、目の前にいるはずなのにまったく気にせず友人との会話を楽しむことができました。

バーテンダーがお酒をつくり提供する以外に、どのようなシゴトをしているのか、そのなり方や年収など詳しくみていきましょう。

バーテンダーとは?

バーテンダー(Bartender)は、バーやパブ等の酒場で、カクテルなどのアルコール飲料を提供し、客をもてなす人物のことを指します。

一方、酒場での飲酒文化がアメリカより古いヨーロッパではバーマン(Barman)の呼称が一般的で、その他、バーキーパー(Barkeeper)、バーキープ(Barkeep)などの呼称も用いられる。女性の場合はバーメイド(Barmaid)とも呼ばれます。

ドリンクをつくって提供し、接客を行うバーの店員です。

仕事内容

バーテンダーの最も重要な業務はお客さんにお酒をつくり、提供することです。その他に接客」「バーの管理といった業務があります。それぞれ見ていきましょう。

ドリンクの提供

お客さんにお酒や飲み物を提供することはバーテンダーの基本のシゴトです。数多くあるお酒の中から、お客さんのリクエストにあわせて飲み物を用意します。お客さんの好みや気分にあわせてお酒や飲み物をブレンドし、特別なカクテルを作ることもあります。数百、数千種類のカクテルのレパートリーが頭の中に入っているバーテンダーや、オリジナルのカクテルレシピを多く持っているバーテンダーもいます。飲み物を用意するまでの所作のスマートさなども求められます。経験やセンスが特に大事なシゴトと言えます。

接客

お客さんにとってバーにおける接客はドリンクの提供と同様に非常に大事なものです。バーテンダーはお客さんの求める接客を瞬時に見抜いて対応する必要があります。お客さんはにぎやかに話をしたいのか、静かにしっぽり飲みたいのかなど、対応を間違えるわけにはいきません。お客さんの顔や名前を覚えたり、よいコミュニケーションを取るためのスキルが求められます。

バーの管理

バーに関する全てのことを管理しなければなりません。例えばグラスの手入れや、お酒に使うフルーツの仕込み、お客さんの様子や従業員の接客の内容など、お客さんに快適に過ごしてもらうための管理業務を決して怠りません。店内の掃除や在庫の管理、発注業務も欠かせないシゴトです。

以上とりわけ重要な3つの業務を挙げて解説しました。これらはどれも「お客さんに快適に過ごしてもらい満足してもらうため」のシゴトです。極論、お客さんを満足させることがシゴトだと言うことができます。そのために日々の営業の中で注意深く店内を見て接客を行い、ドリンクの提供をしているのです。

なり方

基本的にはバーテンダーの求人に応募する方法バーテンダー養成スクールに通う方法でバーテンダーになります。まずは求人に応募する方法から解説します。

バーテンダーの応募には正社員とアルバイトの二種類がありますが、正社員の採用が少ないのが特徴です。これはバーが正社員を求めていないという意味ではありません。ただ、大学生や学生時代にバーでバイトをして、そのまま正社員のバーテンダーになっている人が多いという実態があります。正社員になるという前提でアルバイトの求人をしていることもあります。

バーテンダーの経験やスキルがある場合には正社員として即戦力になるケースもあります。未経験者でもアルバイトとして1からシゴトを教わり働くことができますが、バーテンダーはたくさんのお酒について理解を深めてカクテルの作り方を覚えた上で技術を身につけなければなりません。それに加えて接客業務も重要なので未経験では非常に難しいシゴトです。それなりの覚悟を持って求人に応募しましょう。

丁寧に業務を教えてくれたり、見本になる先輩が多くいるお店がほとんどですが、中にはそうでないお店もあります。バーテンダーになりたいという人はお酒に関する知識やメジャーなカクテルの作り方を確実に学ぶことができる養成スクールに通う方法があります。

バーテンダーを養成する学校は高卒者向けの専門学校の他、社会人でも通いやすい短期集中コースや夜間コースもある個人のスクールなど、たくさん存在します。個人のスクールだと、18〜20歳の人はお酒のテイスティングをしないという条件で入校を許可していることが多いです。

中にはカフェやバーのインターンシップの手配をしていたり、卒業後独立してバーを開く際のサポートを密に行ってくれるスクールもあります。

養成学校で知識やスキルを身につけて、現場に正社員として入るのが一番の近道です。

バーテンダーの雇用形態

バーテンダーの雇用形態は「正社員」と「アルバイト」の2パターンの他、「独立して開業」と「フリーランス」という働き方もあります。

正社員

バーテンダーの世界では、アルバイトの求人に比べると、正社員の求人は少ないため見つけにくいかもしれません。

アルバイトから正社員に登用されることが多いのがバーテンダーの特徴なので、最初はアルバイトとして経験を積み、その経験をアピール材料にして、本当に働きたい場所で正社員での就職を目指すのもひとつの手です。

バーには様々な種類があるので、自分の将来のビジョンや働きたい店を考えて、慎重に選びましょう。

アルバイト

バーテンダーのアルバイト求人情報は、一般的なアルバイト求人サイトや、飲食店専門の求人サイトで見つけられるほか、店頭の張り紙やお店のホームページに掲載されていることもあります。興味がある方や本気でバーテンダーを目指す方はこまめにチェックしてみましょう。その中で自分の行きつけのお店を作ることが重要になるでしょう。

アルバイトで入社する場合は、これまでの経験や資格を問われずに採用してもらえるケースもあります。しかしスクールなどで少しでも学んだ経験があると圧倒的に採用されやすくなります。

見習い期間中は、洗い物やお客さまのアテンド・お見送りなどを担当しながら、バーテンダーの業務を覚えていくことになります。

また、業務時間外を使って勉強やカクテル作りの練習にも励みます。

時給は1200〜1600円程度が一般的です。深夜勤務のため時給は高い傾向にあります。

独立・開業

既に存在するバーに雇ってもらうのではなく、自分で開業してバーを開く道もあります。

開業するメリットは、自分の好みの雰囲気のお店をつくれることです。また人気店になった時の収入はとても大きいものになるところです。

一方で資金をためたり、開業するために必要な「食品衛生管理者」の資格を取るなど、やらなくてはいけないことが多いです。やっとの思いでお店を開いても、ある程度の売り上げを出し続けなければお店を維持できません。コロナ禍では本当に大変です。

フリーランス

ごく少数ですが、フリーランスとして働く出張バーテンダーもいます。個人で活動しており、依頼を受けてお酒を作りに出向きます。たとえばホームパーティーや結婚式、イベント会場などに出向き、お酒をつくって提供します。個人ブランドを築いたり、世界大会で入賞するようなレベルの人でないとフリーランスで収入を得るのは難しいです。

またバーテンダーは夕方以降が主な勤務時間のため、昼間の空いた時間で副業をする人、反対に副業としてバーテンダーをやる人もいます。勤務時間の長い一般会社員というよりはシフト制の飲食店や家でも働けるWEB関係のシゴトと両立する人が多い印象です。

年収

バーは個人経営の店が多く、収入は店によって大きく異なる可能性がある、という前提を踏まえてこの章を読んでください。

令和2年の賃金構造基本統計調査1によると、多くのバーテンダーの働き口となる宿泊・飲食業界の収入は、月給27万2800円、ボーナスを含む年収は364万1700円です。この金額がバーテンダーの収入の目安と考えられます。飲食系企業であれば、店長などを任された場合などは高い収入が望めるでしょう。

アルバイトの場合は時給が1200~1600円程です。一人暮らしのフリーターであればバーテンダーのアルバイトだけでの生活は苦しいものになるでしょう。

開業者やフリーランスは個人によって収入が大きく異なります。お店を維持するのが困難で破綻してしまう人もいれば、客足が多く高い収入を得ている人もいます。

男女比

男性が8割以上を占めるバーがほとんどで、バーテンダー全体でも女性は2割未満です。バーテンダーは昼夜逆転に近い生活になることや、立ち仕事のため体力的にハードなことなど、女性が少ない理由はいくつか考えられます。

バー側は男性同様、女性のバーテンダーを募集しています。カウンターに立つ女性は男性と比べて安心感を与えやすいという強みがあります。

女性が少ない現実は確かにありますが、女性を避ける業界では決してありません。特に高級ホテルなどでは女性のバーテンダーが採用されていることが多いです。バーテンダーは女性が目指しやすいシゴトのひとつです。

学歴

バーテンダーになるために学歴は必要ありません。中卒・高卒からでも目指すことはできます。

先述しましたが、バーテンダーにはお酒に関する豊富な知識と技術が求められます。技術は後々磨くにしても、知識は専門学校や大学生なら在学期間中にたくさん学ぶことができますので、進学をおすすめします。ただし、お酒を飲むことができるのは20歳を過ぎてからなので、働くことができるのは20歳以降になります。

大学時代に培った教養が、お客さんとの会話の中で活きる可能性も大いにあります。

資格

バーテンダーに国家資格はありませんが民間の資格はいくつかあります。

一般社団法人日本バーテンダー協会(NBA)が「バーテンダー呼称技能認定試験」「インターナショナルバーテンダー呼称技能認定試験」という2つの資格の認定を行っています。それぞれ持っていると採用の際有利になります。

バーテンダー呼称技能認定試験

受験資格

正会員又はアルコール飲料を取り扱う飲食・サービス業に従事し、満20歳以上の者で、試験当日の衛生講習会受講済みであることです。正会員とはNBAの会員のことで、これはバーでの実務経験が1年以上あればなることができます。

試験内容

『改訂 N.B.A.新オフィシャルカクテルブック』(柴田書店)より酒類問題を出題 15問

衛生参考問題より衛生問題を出題 5問 合計20問100点満点

試験時間1時間(30分経過後退出可能)

試験日程

毎年11月に行われます。申し込み期間は9月から10月なので、受験希望者は忘れずしっかり申し込みましょう。

試験に合格して資格を取ると、業界内での信頼が上がり、採用の際有利になります。

インターナショナルバーテンダー呼称技能認定試験

受験資格

N.B.A.正会員限定。協会在籍3年以上実務経験7年以上の正会員で、バーテンダー呼称技能認定を取得して2年が経過した満25歳以上の者です。

試験内容

① 学科試験

『改訂 NBA新オフィシャルカクテルブック』(柴田書店)より酒類問題を出題

20問 100点満点

試験時間1時間(30分経過後退出可能)

① 実技試験(実技試験は学科終了後行う。実技試験の開始時間指定なし)

フルーツカッティング、ステア、シェークの基本技術 3部門 各10点の30点満点

試験日程

毎年11月に行われます。申し込み期間は9月から10月なので、受験希望者は忘れずしっかり申し込みましょう。

試験に合格して資格を取ると、上記のバーテンダー呼称技能認定試験よりも業界内での信頼が上がり、採用の際有利になります。

独学でなれるのか

バーテンダーは未経験のアルバイトから始めてもなることができます。お酒に関する知識も独学である程度身につくため、比較的独学でもなりやすい職業と言えます。

ただやはり養成学校に通ったほうが確実で近道なのは間違いないです。

スケジュール例

14:00 起床

15:30    出勤

16:00 掃除や仕込み、営業準備

18:00   営業開始

04:00 営業終了、片付けなど

06:00 帰宅

バーテンダーは昼夜逆転しているので、起床は午後の人がほとんどです。営業開始時間より前から出勤し、営業準備を行います。営業中はお酒をつくり提供し、接客業務を行います。店内の様子を見て休憩をとったり、新人にシゴトを教えたりします。

上記の例ではフルタイムで働く日のスケジュールです、15時半に出勤して退社が朝の5時のシゴトを続けるのは体力的に厳しいです。バーテンダーはシフト制がほとんどであり、実際は15時半から0時勤務の日や、0時から閉店後までが勤務の日など様々です。

勤務時間・休日

勤務時間や休日はお店によって異なります。正社員の場合は週休2日で、休日(曜日)はシフト制のため定まっていないことが多いです。勤務時間は開店前から閉店後までのフルシフト、早番、遅番を繰り返すイメージで、合計の労働時間は一般的な社会人と同じか少し長い程度です。

バーなどのお店は開店時間と閉店時間が決まっているため、極端に長い残業が存在しません。決まった時間に帰ることができるのはいいところです。

やりがい・魅力

・自分がつくったお酒をお客さんがおいしそうに飲む姿や店内で楽しんでいるお客さんを見ているときに充実した気持ちになります。

・たくさんのお客さんとカウンター越しに話をしてコミュニケーションを取ることに魅力を感じるという声が多いです。

・お酒やカクテルが好きで、新しいドリンクメニューの開発や試飲が楽しみやモチベーションにつながることもあります。

大変なこと・つらいこと

・やはり昼夜逆転の生活は大変です。夜に活動する生活だと、昼間に外せない用事がある時や、休日後にリズムを戻すことが難しく、体調管理にも影響を与えることもあります。

・バーテンダーのシゴトが体に悪い影響を与えることがあります。例えばたくさんのフルーツを触ったり、洗い物をするので手荒れが起こりやすいです。またバーは雰囲気を大事にしていて照明が暗いところが多いです。そのため目が悪くなりやすいシゴトだと言われています。

最後に

以上でバーテンダーの記事は終了です。

私自身バーテンダーになるための養成学校の存在や、1日のスケジュール例など新しい発見がありました。

皆さんにもそのような発見や参考になる箇所があったなら幸いです。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

参考にしたサイト

・一般社団法人日本バーテンダー協会

https://www.bartender.or.jp/qualification/

・キャリアガーデン

https://careergarden.jp/

・スタディサプリ

https://shingakunet.com/bunnya/

  1. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html