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アナウンサーの年収・なり方・仕事内容などを解説‐シゴトニンラボ

アナウンサーといえば、ニュース原稿を読んだり、バラエティ番組で進行役を担当している女性あるいは男性を思い浮かべる人が多いと思います。知的で華があり、あこがれる人の数が最も多い職業のひとつだといえます。今回はそんなアナウンサーについてまとめていきます。

仕事内容

アナウンサーの基本的なシゴトは「テレビ番組」に出演することです。具体的にはニュース番組、バラエティ番組です。ニュース番組では正しい日本語でニュース原稿を読み上げ、正確な情報を提供することが求められます。原稿を読むだけでなく、ときにはスタジオから離れた場所で実況中継をしたり、ロケに出てレポートをすることもあります。バラエティ番組では司会役のタレントと共に番組の進行を行う役目を果たします。

また、テレビ番組のナレーションやラジオ出演、スポーツや競馬の実況といった「声だけの出演」をすることも多くあります。

近年はバラエティ番組の放送が増えた影響もあり、バラエティ番組に出演するアナウンサーが増えています。その中で人気を得て、進行役ではなくゲストとしてトークバラエティやクイズ番組に出演するという、アナウンサーのタレント活動も増えています。後に説明しますが、このようなタレント活動を行うのはフリーで活動するアナウンサーがほとんどです。

このようにアナウンサーは顔を見せる、つまりは表に出る活動が非常に多いです。世間的にアナウンサー人気は大きく、アナウンサーメインの企画がテレビや雑誌などで多く行われています。大人気のアナウンサーですが、人気なだけに生活は多忙であり、ネットで誹謗中傷をされてしまったり、大変なシゴトでもあります。

つづいて、アナウンサーになるための方法をまとめていきたいと思います。

アナウンサーの種類となり方

アナウンサーにはテレビ局に会社員として入社するいわゆる局アナと、芸能事務所に所属する(テレビ局社員ではない)フリーアナウンサーに分けられます。

まず、アナウンサーが所属することになる会社、テレビ局の種類について簡単にまとめました。

テレビ局の種類と数

テレビ局は「キー局」「ローカル局」「独立U局」の三種類に分けられます。

キー局

全国の放送ネットワークの中心となる放送局のことで、具体的には「日本テレビ」「テレビ朝日」「TBS」「フジテレビ」「テレビ東京」の5つを指します。「キー・ステーション」「発局」と呼ばれることもあります。東京に本社を構えており、放送エリアは関東圏になります。各社に系列となっているローカル局が多数あり、系列のローカル局が同じ番組をローカルエリアに放送することで、キー局の制作番組が全国に流れる仕組みとなっています。

ローカル局

ローカル局とは簡単に言うと「キー局以外のテレビ局」です。テレビ局は全国に129局あり、そのほとんどはローカル局ということになります。都会に対する田舎という意味のローカルではなく、「一部の限られた放送エリア」という意味でのローカルになります。全国各地に存在するローカル局ですが、これらはキー局の系列になっておりキー局と同じ番組を放送することも多いです。ローカル局で制作した番組はその限られたエリアでしか放送されないので、地域によって見ることができる番組が異なります。

・独立U局

基本的にローカル局はキー局の系列になっています(子会社というわけではありません)。ローカル局の中で、キー局の系列になっていない局を「独立U局」といいます。「テレビ埼玉」や「千葉テレビ」など全国に13局あります。独立U局はキー局の番組を放送することはないので、24時間の番組放送スケジュールを作成できるという特徴があります。

全ての民間企業に営業部が存在するのと同様に、これら全てのテレビ局にアナウンサーが存在しています。それが局アナというものです。

局アナになるには採用試験を受ける必要があります。そのためには大学卒業以上の学歴が必要であり、大学在学中に採用試験を受ける人がほとんどです。そして、フリーアナウンサーになるには局アナの経験が必要になることが多いので、フリーアナになることを目指す人もはじめは局アナになるために採用試験を受けます。

採用試験についてですが、局アナはつまるところテレビ局の社員なので、採用試験の内容は一般的な企業とほとんど差がありません。まずエントリーシートによる書類審査があり、書類選考を通ると面接試験が行われます。面接試験は一次面接、二次面接と続いていき、最終面接を突破すると晴れてアナウンサーとなります。アナウンサーの面接には必ず「カメラテスト」と呼ばれる試験が含まれます。カメラテストとは、実際にニュース番組などで使用されているスタジオで、ニュース原稿を読むという内容です。主にカメラの映り方や滑舌の良し悪し、イントネーションやアクセントがあっているかという点が見られます。

採用試験の倍率は数千倍から数万倍に上ります。採用人数が少ない上に受験者の数も多いので、毎年競争倍率は大きくなっています。

自身のアピールポイントを正確に伝えられるかどうかや、面接での受け答え、カメラテストの出来は試験の上で最も重要になりますが、同様に容姿のよさが求められるシゴトでもあります。多くの注目を浴びるシゴトのため、見ていて不快感のない清潔感が特に求められます。

最終面接を突破すると内定となり、次の4月から入社しますが、すぐにテレビに出演するわけではありません。

正しい日本語と発音・イントネーションやアナウンサーとしての立ち振る舞いを身につけるための研修が行われます。研修が終わるとそれぞれの番組に少しずつ出演していきます。

フリーのアナウンサーに関してですが、これは一度局アナを経験した人でないと生活できるだけの収入を得るのは難しいです。そもそも、事務所のフリーアナ募集の条件として局アナの経験が含まれている場合がほとんどです。

フリーアナは出演する番組に放送局の制限がないので、自由な活動をしやすい点で局アナよりも優れています。局アナは基本的に自局の番組にしか出演できません。ただ会社員であるため、シゴトが尽きることはなく、収入も安定しています。

続いてはアナウンサーの年収についてみていきましょう。

年収

局アナの場合、人気の職業といえども一会社員であるため、とびぬけた額の収入があるわけではありません。また、キー局とローカル局によって収入は変わります。例えばキー局社員の平均年収は以下のようになっています。

TBSホールディングス 1632万円

テレビ東京ホールディングス 1377万円

テレビ朝日ホールディングス 1392万円

日本テレビホールディングス 1462万円

朝日放送グループホールディングス 1479万円

(2019年度)

これらの企業は上場企業のため、具体的な年収やその他のデータを調べることができます。ローカル局の社員の平均年収はこれらのキー局の7割程になるといわれています。つまり約1000万円というわけです。

民間企業の平均年収は436万円なので、高収入であることは間違いありません。

フリーアナの場合、給料は芸能事務所に所属するタレントと同じようなシステムになります。つまり、仕事量(主に番組出演)とギャランティによって給料が決まるということです。極端な例を出すと、仕事がひとつも無ければ給料は0円になります。ただフリーアナに転身する局アナは知名度や人気がある人がほとんどのため、仕事に困ることは珍しいケースのようです。人気の絶頂にいるフリーアナウンサーなら年収一億円も夢ではありません。

男女比

シゴトニンの独自の調査によると、NHK以外のテレビ局は女性のアナウンサーの数が男性アナウンサーの数を上回っています。NHKのアナウンサーの数の比率は男性:女性=3:2ですが、その他の局では男女比率が逆になります。

一方テレビ局の社員全体では男性が非常に多く、女性が少ない傾向にあります。日本民間放送労働組合連合会が行った「在京テレビ局女性割合調査」によると、東京都にあるテレビ局(キー局+東京MX+NHK)の女性社員の割合は平均で22.6%となっています。もっとも女性比率が高かったのは「フジテレビ」で24.7%であり、反対に最も女性比率が低かったのは「NHK」で18.6%でした。その中でも役員や局長の女性比率は10%にとどまる結果となっています。女性が少なく、男性が中心になっている業界だといえますいえます。

テレビ業界の男女比は、局によってわずかな差はあれど、アナウンサーは女性比率が高く、その他の部門はほとんどの社員が男性であるとまとめることができます。

スケジュール例

テレビ番組に多く出演するアナウンサーは、自分の働く時間が番組の収録時間に左右されるので、人によって大きく異なります。ニュース番組の場合は生放送になるので、遅刻の類のミスは許されません。ハードなスケジュール、時間管理が求められます。

実際のスケジュール例をみてみましょう。

例1)朝の番組を担当するアナの場合

03:00 出社

03:30 リハーサル     

06:00 本番開始

08:00 本番終了

12:00 退社

(スタディサプリ進路を参考にしています)

まず朝の3時に出社します。バスや電車といった公共機関は動いていない時間なので、タクシーや自転車、徒歩などの方法で出社します。用意された衣装に着替えて、メイク、ヘアセットなどを行います。衣装の用意やメイクは自分で行ったり、ヘアメイクさんが担当したり、テレビ局によって異なります。

本番前にはニュース原稿の下読みと練習を行います。このときにもしわからない漢字があれば読み方や発音を調べて確認します。原稿の重要な箇所やイントネーションで気をつけるところにはマーカーを入れることもあります。原稿の確認やその他スタッフの準備が完了するとリハーサルを行います。

リハーサルでは本番の流れや進行を確認します。それらが終わると本番を待つのみです。

そして生放送の番組が始まります。一度番組が始まると進行を止めることはできないので、手洗いは必ず済ましておく必要があります。

番組が終了するといったん心が休まります。休憩の後すぐに帰宅するわけではなく事務処理などの仕事があります。

やりがい・魅力

・ニュースやバラエティ番組に出演できる点

・多くの視聴者に認知される点

・視聴者からの人気や名声を獲得できる点

・たくさんの人(スタッフや共演者)と関わるシゴトであること

・給料がかなり高いこと

などが挙げられます。

つらいこと・大変なこと

・出勤の時間が深夜夕方だったり明け方だったりで、多くの人とは異なる生活習慣になること

・多くの視聴者に認知される一方で、ネット上での誹謗中傷を受けたり、プライベートで顔を隠す必要があること

・生放送では多くのプレッシャーがあること

・つねに正しい日本語と発声が求められること

などが挙げられます。

参考にしたサイト

キャリアガーデン 

https://careergarden.jp/hoikushi/

職業情報提供サイト(日本版O-NET)

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/131

スタディサプリ進路

https://shingakunet.com/bunnya/w0031/x0401/sigotonaiyo/

・NHK

https://www.nhk.or.jp/faq-corner/1nhk/01/01-01-01.html