今回の記事では、アニメーターのシゴトについて紹介します。
アニメーターのシゴトは、近年注目されています。かつてはアニメは「オタク文化」というイメージが強かったですが、今では世間にアニメ文化が浸透し、国民的現象になることもしばしばあります。また、世界的にも日本のアニメは注目されており、同時にアニメを作るアニメーターのシゴトにも注目が集まっています。
この記事では、アニメーターのシゴトの概要を見てみましょう。
仕事内容
アニメーターのシゴトは、アニメの絵をかいて動きを表現することです。新海誠監督や細田守監督、宮崎駿監督などがやっているシゴトがアニメーターのシゴトといえます。
アニメーターは絵を上手く描くことも必要ですが、絵を繋げて流麗な動きを表現することも大切なポイントになります。
ここではアニメーターの主な3つのシゴトを見てみましょう。
〇動画
動画は新人のアニメーターが最初に任されるシゴトです。
アニメには「原画」と呼ばれる要所の画があり、その間をつなぐのが「動画」になります。原画がいくら良くても動画の画が自然で正確に描かれていなければ、アニメは不自然なものになってしまいます。そのため正確に動きを意識した画が求められます。
〇原画
原画は実力や経験を積んだアニメーターが任されるシゴトです。
アニメには原画と呼ばれる要所の画があります。この原画担当には動画よりも緻密で正確な画が求められます。画面のどこに何を描くかを考え、絵画のように緻密に描きます。第一原画では構成や配置を決め画を大まかに描き、第二原画では画を仕上げます。
〇キャラクターデザイン
キャラクターデザインはキャラクターを創造するシゴトです。
このシゴトは一から作り出す場合、小説など原作のキャラクターから膨らませる場合、漫画など既にデザインがあるキャラクターをアニメ用に再構成する場合があります。
一から作り出すのは、ジブリや原作がないアニメ映画など、完全オリジナルの場合です。小説などは原作のキャラクターのイメージを大切にキャラクターを描きます。既にデザインがある漫画などは、アニメ用に衣装を変えたり、キャラクターの線をアニメに合うように変えたりします。
なり方
アニメーターになるには必要な学歴や資格などはありません。
アニメーターになるのに大切な能力は、絵を上手く描く能力です。ここでいう絵の上手さは一枚絵が上手いだけではなく、画面を構成する力、動きを流麗に表現する能力、原作のファンを満足させる力など様々なことが求められます。
そのため独学だけではなかなか難しく、学校で学ぶか、会社で実践しながら画力を向上させる人が多いです。ここではその2つについて詳しく見てみましょう。
〇学校でアニメの画について学ぶ
専門学校や芸術系の大学でアニメーションを専攻すると、アニメーションについて学ぶことができます。専門学校が多いですが、私立の美大や一般大学でもアニメーション専攻の学科があります。国公立では大学院まで目を向けると、東京藝術大学にアニメーション専攻があります。
大学ではアニメーション制作だけではなく、アニメの歴史、成り立ち、理論などについても学ぶことができるため、より理解は深まるでしょう。専門学校は在学年数が少ないため、より実践的内容に重きを置いた授業になります。
〇会社で画力を向上させる
学校で学ばず、Twitterなどで自作のポートフォリオ1を作り、会社の入社試験を受けて入社する方法もあります。この場合は会社入社後描き方やシゴトの進め方に関して指導を受けることが多いため、より向上心が必要となります。
アニメーターの年収
一般社団法人日本アニメーター・演出協会の『アニメーション制作者実態調査報告書20192』によると、2017年のアニメーターの平均年収は約440万円です。これは全国の労働者の平均年収の436万円よりわずかに高い結果となっています。ただ、この調査は有効回答者が360人しかいないため、実際はこれより高いこと、低いことも考えられます。
また、同表で一ヶ月あたりの収入を見ると、約27万円となっています。
就業形態を見ると正社員14.7%、契約社員6%、役員2.1%と継続雇用者は25%にも満たしません。それに対しフリーランスは50.5%、自営業は19.1%とほぼ70%を占めています。このことからアニメーターの収入は給与というよりも報酬という形の方が多いことがわかります。
男女比
『アニメーション制作者実態調査報告書2019』によるとアニメーターは男性57.6%、女性41.4%となっています。このことから、男性の方が若干多いことがわかります。ただし回答者の数が382人と少ないため、この調査の通りであるとも言えません。
求人・就職情報・需要
近年、Netflixなどの配信サービスの普及もあって、日本のアニメは世界中の多くの人に見られるようになってきました。またアニメ『BEASTARS』のようなCGアニメーションに積極的に取り組んでいる制作会社もあり、アニメーターの活躍の幅も広がっています。そのため需要はまだまだあるといえます。
ただし日本のアニメ市場は世界中から注目されていて、海外の製作会社やアニメーターも日本へ進出してきています。海外のアニメーターに負けないように、知識や技術をみがき続けていく必要があります。
やりがい・魅力
アニメーターの魅力は、自身が描いた絵が作品となり世に送り出されていくことです。
アニメーターの作業は非常に地道で、一枚一枚絵を描いていくことがシゴトです。ただ、自身が描いた絵が実際にアニメとして動いている映像を見た時の達成感には計り知れないものがあります。
そして自身が描いた作品が世の中のアニメファンやさらに多くの人に楽しまれるものとなることも、アニメーターならではのやりがいと言えます。
つらいこと・大変なこと
アニメーターの大変なところは、締切前はとても忙しくなるところです。
アニメーターのシゴトはキャラクターを生み出したり原画を考えたりと華やかなシゴトがある一方、似た絵を複数枚繋げて動かす、クライアントの要望に応えたシゴトをする、時には同じ絵を何度もやり直して書くなど、地道なシゴトも多くあります。
そういった中で共同作業の側面が強いアニメでは、締切も厳守する必要があります。駆け出しのころは労働に見合った報酬を受け取れるとも限らないため、特に大変といえるでしょう。
今回の記事はこれで終わりです。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。
参考にしたサイト
『キャリアガーデン』
https://careergarden.jp/animator/
『職業情報提供サイト(日本版O-NET)』
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/343
『スタディサプリ進路』
https://shingakunet.com/bunnya/w0013/x0154/
『一般社団法人日本アニメーター・演出協会アニメーション制作者実態調査報告者2019』http://www.janica.jp/survey/survey2019Report.pdf
- 自作の作品集。自分に何ができるかをアピールするためのツール。
- http://www.janica.jp/survey/survey2019_report.html