スタイリストとは
スタイリストとは、テレビや雑誌撮影の際にモデルやタレントの着る服をコーディネートする人およびシゴトのことです。撮影内容に合わせた衣装を選びクライアント1に満足してもらうことが指名です。
おしゃれで華やかなイメージがあるスタイリストについて深堀りしていきます。
仕事内容
主な仕事内容はモデルや依頼人の「コーディネートをすること」です。雑誌にしろテレビ番組にしろCM撮影にしろスタイリストの仕事内容はコーディネートすることに尽きます。コーディネートの他には衣装を用意することもスタイリストの仕事ということができます。基本的な仕事の流れは以下の通りです。
依頼を受ける
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打ち合わせを行う
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衣装のコンセプトを決定する
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衣装を決定し、リースする
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撮影時衣装を管理
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撮影終了後衣装を返却
依頼を受けたら当日のシチュエーションやクライアントの要望に応じて衣装のコンセプトを打ち合わせで決定します。その後は実際にブランドに赴き衣装をリースします。最近はリース専用サイトやエアークローゼットなど現地に行かなくても衣装のレンタルができるため、スタイリストの負担は減っています。
リースとは…リースとは、「ユーザーが借りたいと思ったモノを長期的に貸借すること」を指します。流れとしては、下記のようになります。
①ユーザーがメーカー等から借りたいモノを選定。
②リース業者がメーカー等からモノを購入。
③購入したモノをリース業者がユーザーに貸す。
④一定期間リース料を支払う。
撮影時の衣装は基本的にその場限りでしか使わないため、毎回衣装を購入していてはもったいないですよね。スタイリストとリースというシステムは切っても切り離せない関係になっています。
撮影当日に衣装を運んだり、使用前にアイロンをかけるなど、衣装の管理もスタイリストの仕事です。撮影時間が不規則だったり、移動距離が長いことも多いため体力的にもハードです。
撮影終了後に衣装を返却して、一件の仕事が完了します。
なり方
スタイリストになるためには、スタイリスト事務所の求人に応募することが一般的であり、一番の近道です。
高校・専門学校・短大・大学卒業
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スタイリスト事務所に所属
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スタイリストアシスタントとして下積み
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スタイリスト
という流れです。スタイリスト事務所に入るために必要な資格などは特にないので基本的に誰でも入れますが、服飾系の専門学校を卒業した人が多いです。入社して数年は上司のスタイリストとともに行動し、仕事を覚えます。打ち合わせから衣装の返却まで一人でこなせるようになって初めてスタイリストになったということができます。事務所に入る以外ではフリーランスのスタイリストになる方法がありますが、未経験では非常に難しいです。フリーのスタイリストのアシスタントにつく方法もありますが、コネクションや経験がないと難しいです。現役のフリーランスのスタイリストもほとんどは事務所で経験を積み、そこで培った人脈を活かして独立をしています。スタイリストを目指すのなら、まずは事務所の求人に応募しましょう。
スタイリスト事務所に所属するには
業界内で経験やコネクションのない学生や他業種の社会人はインターネットや雑誌で求人を探し、電話、メールをしていくしかありません。反対にスタイリスト業界にコネクションのある人がコネクションを利用することで、容易に事務所に入るケースもあります。
スタイリストの雇用形態
前でも述べましたが、スタイリストは事務所所属とフリーランスとに分かれます。
事務所所属
事務所所属のスタイリストは事務所が受注した仕事を行います。テレビ専門や雑誌専門の事務所もありますが、ほとんどの事務所が幅広い仕事を受注しています。
フリーランス
事務所に所属していない、仕事を取るところからシゴトまでを個人でこなす形態です。人脈が豊富で、仕事をたくさん取れるのであればたくさん稼ぐことも可能です。アシスタントを雇わない限りは請求書の作成や交通費の精算などといった事務仕事も自分で行わなければいけません。
専属スタイリスト
事務所、フリーランスどちらでも、特定の芸能人に気に入られることでその人の専属スタイリストになるケースがあります。専門になった場合はその人と年中行動をともにしますので、深い信頼関係をいかに築けるかが重要になってきます。
その他特定のフリースタイリストの専属アシスタントや特定の一般人の専属スタイリストも存在します。一般専属スタイリストという時は芸能人の専属スタイリストを意味します。
年収
スタイリストの平均年収は約320万円です。日本の給与所得者の平均年収である436万円2と比べて低い水準となっています。事務所所属のほうが収入は安定しています。フリーランスは個人によって差が大きく、200万円未満から、上は1000万円越えまであります。また芸能人の専属スタイリストは高収入の傾向があります。個人間で収入の幅があるということは、夢があるということでもあります。ただフリーのアシスタントはアルバイトのようなもので、年収は100〜150万円という場合がほとんどです。そのため事務所に入って経験を積むことをお勧めします。
男女比
スタイリストの男女比は約1:1です。男性には男性の、女性には女性のスタイリストがつくケースが多いため、自然と1:1に収束していくようです。ちなみに服飾系の専門学校の学生数は女性の割合のほうが高いです。
資格
スタイリストになるために資格は必要ありませんが、いくつか役に立つ資格を紹介します。
パーソナルカラー検定
人と色に関して色彩知識と配色調和を身につける検定です。個人に似合う色を見分け、コーディネートに活かすことができるのでお勧めです。スタイリストはもちろん、美容師にも多く資格を持っている人がいます。
色彩検定
色彩検定とは色に関する幅広い知識や技能を問う検定試験です。もともと服飾系の団体が主宰していた資格のため、ファッション分野に強く、服飾関係の仕事に就いているほとんどの人が持っています。撮影場所、個人に合った色を選ぶために、持っていて損のない資格です。
美容師資格
美容師資格を持っていると、スタイリストとしての仕事の幅が広がります。ただスタイリストになってから美容師資格を取ることは難しいです。美容師からスタイリストに転身する、または美容師専門学校を卒業してスタイリストになる人はスタイリスト業界では強いという話です。
スケジュール例
09:00 スタジオ入り
09:30 ミーティング
10:00 モデルスタジオ入り
10:30 打ち合わせ
11:00 撮影開始
13:30 休憩、昼食
14:30 撮影開始
17:00 撮影終了
17:30 画像チェック
19:00 仕事終了、帰宅
スタイリストはモデルより早く現場に入り、カメラマンやプロデューサーと撮影内容、コンセプトなどを再確認します。その後モデルがスタジオ入りすると、モデルを含めて打ち合わせを行い、撮影に入ります。一組の衣装で何カットも撮影するため、撮影は長期戦になります。キリのよいところで休憩をはさみ、後半の撮影に入ります。撮影が終わると撮れた画像をチェックします。ここで実際に使う写真を選びます。それが終わると現場を片付けたり、リースの衣装をきれいにまとめるなどして1日の仕事終了です。
道具・持ち物
スタイリストは現場で使う小道具や衣装管理のための道具を常に持っておく必要が「あります。多くのスタイリストが常備している道具、
持ち物を紹介します。
・筆記用具全般。
・クリップ各種
・縫い針と糸
・はさみ
・透明テープ
・クリアファイル
・スマホ充電器
以上のモノは特によく使います。クリップはヘアクリップから衣装を止める目玉クリップです。透明テープは靴のそこに貼って靴底が汚れないようにします。資料やリース表を入れておくファイルや持ち運びの携帯充電器も必須です。
やりがい・魅力
・自分のコーディネートで飾ったタレントやモデルがテレビ番組や雑誌に載って多くの人々にみられることに喜びを感じます。
・ファッションが好きな人がファッションを仕事にできるというのは大きな魅力の一つです。
・関係を築き気に入られれば専属のスタイリストとして好きな芸能人と密な関係になれるかも?という欲望がモチベーションややりがいにつながることがあります。
つらいこと・大変なこと
・実は地味で体力が必要な仕事です。ファッションが好きで現場が好きでないとなかなか続けられない仕事です。
・現場で衣装が破れたり、サイズが合わないなど緊急の事態には、新しい衣装のコーディネートをその場で考えなければなりません。そういったときに冷静に立ち回るのは大変なことです。
まとめ
スタイリストになるためにはとにかく事務所に入ることです。フリーランスのスタイリストにアシスタントとしてつく手もありますが、収入は期待できません。
服飾系の学校に通い、色彩検定などの資格を取っておくのが近道でしょう。
その仕事内容は一見華やかですが、地味で体力の必要な仕事です。収入は人によってばらつきがあり、スタイリストになれば安定した生活が送れるとは限りません。
スタイリストに向いているのは、こころからファッションが好きな人や、撮影現場にスタイリストとして参加したい人です。または立ち仕事を続けるガッツと精神力がある人ということができます。
以上で今回の記事は終わります。最後までお読み頂きありがとうございました。
参考にしたサイト
・キャリアガーデン
・スタディサプリ
https://shingakunet.com/bunnya/
・ESMOD Fashion Work Media
https://www.esmodjapon.co.jp/column/stylist/about/#i-2
- 依頼人のこと
- 令和元年 民間給与実態統計調査を参照https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf