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【気象予報士】気象予報士の年収や合格率などを解説‐シゴトニンラボ

今回のシゴトは気象予報士です。「木原さーん、そらジロー」の木原さんの方が、気象予報士になります。『news every.』をご覧の方はご存じかと思いますが、木原さんは芸人でもアナウンサーでもありません。彼は気象に関する高い専門性を持つ「気象予報士」になります。

では気象予報士とはどのようなシゴトでしょうか。気象予報士のシゴトは、気象庁から提供される気象に関するデータをもとに独自に天気の予想をするシゴトです。「独自に」という所が重要で、お天気キャスターとの違いはここにあります。気象予報士は天気を予報することができますが、お天気キャスターは気象予報士が予報した天気を伝えることがシゴトになります。

また、気象予報士になるには、気象予報士の国家試験に合格する必要があります。そのような高い専門性を持つ彼らのシゴトについて、全体像を追ってみましょう。

仕事内容

気象予報士のシゴトは主に気象予報」「気象予報解説・伝達」「気象に基づくコンサルティング業務の3つに分けることができます。その3つのシゴトを見てみましょう。

気象予報

気象予報士のシゴトの核となるのがこの気象予報です。気象庁から提供される気象観測データから、独自に天気の予測を行います。気象衛星1、気象レーダー、アメダス2などの気象観測データを天気図や開花予想図、グラフにしたりもするため、高い計算能力と応用力が求められます。

国家資格の受験資格には制限がないため、誰でも受験して合格すれば気象予報士になることができます。ですが合格には気象に関する膨大な知識、データ解析能力が必要とされるため、難易度が高くなっています。さらに気象会社などへの就職活動をして合格しなければ、気象予報士として給料を得ていくことは出来ません。

気象予報解説・伝達

予報して作成した情報をもとに、第三者に気象に関して伝える業務です。伝える相手は様々で、例えば船を運航する企業、天気予報をTVで見る視聴者、防災気象情報を求める地方自治体など、官民・集団個人の多岐にわたります。ただ、伝える相手は自身が働く職場、職種、階級によってある程度固定されています。

気象に基づくコンサルティング業務

解説・伝達にも関わる業務で、気象予測に基づき企業や官公庁へのコンサルティングを請け負います。例えば気象から企業の商品の需要予測、エネルギー(ガス・電力など)の需要予測、交通運行・運航の管理の支援をしたりします。

特に大切なのは、エネルギーの需要予測です。太陽光発電や風力発電などは気象に左右されやすいエネルギーです。そのようなエネルギーの需要を予測し、供給量や発電量を計画していくことが求められます。

また、防災対応の指導なども行います。

なり方

気象予報士となるためには、国家試験である気象予報士試験に合格する必要があります。受験資格の制限はなく、年齢・性別・国籍・学歴などに関係なく誰でも受験することができます。ただ試験の合格率は例年4%~5%程で推移しており、かなりの難関といえます。受験者数は6000人前後で推移していますが、合格者数は300人程度です。さらに気象会社の求人はとても少ないため、試験に合格した後の就職活動も狭き門と言えるでしょう。

まず気象予報士試験の合格を目指すなら、大学や専門学校で気象関連の学部に進学することが近道となります。ただ受験資格に制限がなく10代から70代まで幅広い方が合格しているため、独学で合格を目指すのもありでしょう。極端な例ですが、過去には中学生も合格しており、専門として学んでいないからといって試験で不利になることもありません。

気象予報士試験は「今後の技術革新に対処しうるに必要な気象学の基礎知識」、「各種データを適切に処理し、科学的に予測を行う知識及び能力」、「予測制度を提供するに不可欠な防災上の配慮を的確に行うための知識及び能力を認定すること」を目的としています。つまり気象に関する知識、データ処理能力・応用能力、予測制度を作るための防災知識という多角的な能力が求められることになります。

続いて、気象予報士試験の日程と内容についてまとめます。

日程

試験は毎年2回、8月と1月に行われます。試験日から合格発表には1か月半の時間がかかるため、学生で新卒の就職活動がある方、転職活動を考えている方はスケジュールに注意が必要です。

試験内容

http://www.jmbsc.or.jp/jp/examination/examination-3.html#examin301

試験内容に関しては上記URLの「試験案内」を参照してみてください。

こちらでは表に簡単にまとめます。

 

試験時間 科目 方式
9:40~10:40 学科試験 予報業務に関する一般知識 マークシートによる多肢選択式
11:10~12:10 予報業務に関する専門知識
13:10~14:25 実技試験 気象概況及びその変動の把握

局地的な気象の予報

台風等緊急時における対応

記述式
14:55~16:10

 

学科試験の全部、もしくはどちらかに合格した場合、1年以内に行われる試験では合格した科目については免除となります。忙しくて実技の対策ができない社会人の方や学生も、時間に余裕を持つことができます。

雇用形態

気象予報士として働く場合、主に4つの雇用形態があります。どの雇用形態でも気象予報士の資格は必須となります。また、気象庁が2013年に実施した「気象予報士現況調査3」によると、気象現象予測に従事した経験がある方は気象予報士資格保持者全体の21%、シゴトではなく地域のボランティアや防災活動等で役立てたいと答えた方が約半数でした。自身が気象予報士としてどう働きたいか考えることも重要ですが、自身がやりたいことは何かも考え、ボランティアとして気象予報士資格を生かしていく道もあります。

民間企業の正社員

民間の気象会社の他に、TV局、商船会社、運輸会社など気象データを用いる会社で働くことになります。新卒と中途採用で入職する方法が主となります。ですが求人数は他職種に比べて少ないです。特に気象予報士の新卒採用となると、数はとても少なくなります。

民間企業の契約社員

働く場所は基本的に正社員と同じですが、期限が決まっている契約社員として働くことになります。契約社員から正社員になることは少ないですが、実務経験を積むことができるため、社会人経験があり会社組織に慣れている方や正社員としての就職を急いでいない方は、契約社員として経験を積む手もあります。また、フリーランスとしてのシゴトをメインにしたい方は契約社員という期限付きの雇用形態が合っている可能性もあります。

フリーランス

主にTV番組でフリーの気象予報士として活躍することになります。番組出演のためには気象予報士としての知識だけではなく、番組で視聴者に向けて話をする能力も必要とされます。

公務員

地方自治体の附属機関の準地方公務員、気象庁や防衛省などの国家公務員の2つの形態があります。基本的には行政職と年収面での差はなく、安定した働き方ができます。また、自治体や国の防災対策にも関わることができるため、人によっては強いやりがいを感じることができるでしょう。

年収

政府の職業情報提供サイトO-NET(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/3)によると、令和初年度の平均年収は496.8万円です。日本の給与所得者の平均年収である436万円を60万円程上回っており、給料が高いシゴトと言えます。

反面、ハローワークの「無期または4か月以上の雇用期間のあるフルタイム」の求人の有効求人倍率は0.46です。気象予報士の職を希望する方は気象予報士資格を持っていることが前提となるため、他職種と単純比較することはできませんが、求職者に対してシゴトに就ける人数が限られている、とは言えます。

男女比

気象予報士の男女比は2013年の「気象予報士現況調査4」によると、男性88%、女性12%となっています。これは気象予報士資格保持者の男女比率になりますが、女性はかなり少ないと言えます。試験自体においては一切差別はありませんが、世間に浸透している性別役割意識が影響5していることは考えられます。

やりがい・魅力

気象予報士は気象を通して人々の暮らしを支える仕事です。

気象を予測することで防災情報の充実に貢献し人々の安全を守ることもあれば、TVの視聴者に今日の天気を伝え、人々に貢献することもできます。

気象予報の仕事は、自然現象の仕組みが知りたい人、気象情報を広く役立てたい方はやりがいを感じられるでしょう。

つらいこと・大変なこと

気象予報士試験に合格することと、時代の流れとともに勉強することが多いことが、大変なことだと言えます。

合格率5%前後の気象予報士資格を取るためには、専門的な知識を備えている必要があります。また、合格後に気象予報士としてシゴトをしていきたいなら、コミュニケーション能力、ビジネススキル、なにより現場で最新のデータを扱う力が求められます。

気象予報士試験に受かるまでももちろん大変ですが、それからも日々勉強していかなければならないことは大変なことだといえます。

向いている人・適性

気象予測にまつわる知識や理論を学び続けられる人、データを分析し目的に応じて図やグラフに加工できる処理能力がある人は向いているでしょう。

気象予測の情報技術の発展において行かれないためには、気象予報に関する最新の情報を知っている必要があります。気象予報の情報を学ぶことがつらい人よりは、楽しいと思える人のほうが向いているでしょう。

また、気象予報士は多くの気象データを扱うため、データ処理能力、応用力が求められます。こういった理数系の分析能力に長けた方は向いているでしょう。

参考にしたサイト

・職業情報サイトo-net

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/94

・キャリアガーデン

https://careergarden.jp/kishouyohoushi/

・スタディサプリ

https://shingakunet.com/bunnya/w0028/x0376/nenshu/

・一般財団法人 気象業務支援センター

http://www.jmbsc.or.jp/jp/examination/examination.html

  1. 気象観測を行うことが困難な場所を観測する衛星のことを指します。
  2. 雨・風・雪などの気象状況を把握するために降水量・風・温度・湿度の観測を自動的に行う機械で、全国に1000か所以上設置されている。
  3. https://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/yohoushi_tyousakekka.pdf
  4. https://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/yohoushi_tyousakekka.pdf
  5. 理系科目は男性の方が得意、というレッテルなど