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アウトドアインストラクターの種類・年収・仕事内容などを解説‐シゴトニンラボ

アウトドアインストラクターとは

雄大な自然の中でおこなうスポーツやレジャーの安全な楽しみ方を人々に教えるシゴトです。

聞き馴染みのない言葉かもしれません。しかし、アウトドアインストラクターは意外と身近なシゴトです。

小学校のころ、富士山のふもとを散策したとき。中学生のころ、一回も滑ったことのない雪山に、「スキー学校」という名目で連れて行かれたとき。いつも先頭にいたのは、担任の先生ではなくアウトドアインストラクターです。

キャンプ・登山・グランピング、スキー・スノーボード、パラグライダー・スカイダイビング・バンジージャンプ、カヌー・カヤック・スキューバダイビングなど、アウトドアインストラクターが関わっているレジャー1はたくさんあります。

それでは具体的な仕事内容についてみていきましょう。

仕事内容

キャンプをはじめとするレジャー活動、スキーやカヌーなどの野外スポーツ、自然保護を目的とした野外活動などを安全に楽しみ、自然とどう関わるかを利用者に教えるシゴトです。

「アウトドアインストラクター」という名称は、これらのさまざまな分野の指導者を総称した名称です。大きく以下の3つに分けられます。

・レジャースポーツのインストラクター

・野外活動のインストラクター

・自然保護・環境教育のインストラクター

それぞれ見ていきましょう。

レジャースポーツのインストラクター

知識や技術、用具の使用法等を利用者に提供し、指導します。特にスキューバダイビングやスキーのインストラクターが該当します。

野外活動のインストラクター

地域の青少年研修施設等を活用して、教育的な目的で開催される講座や研修会での講師として必要な知識や技術を指導するほか、一般市民向けの行事や教室等を通じて、娯楽としてのスポーツ、自然体験活動として利用者や参加者に伝達します。キャンプやサイクリングのインストラクターが該当します。

自然保護・環境教育のインストラクター

自然観察会などを通し、自然と人間との在り方など環境保護のために必要な視点を持ってもらうことを目的とした指導を行ったり、環境問題の解説者(インタープリター)として、国立公園や観光地等に設置されているビジターセンターの訪問者を対象として解説を行うなどの活動を行っています。

最近では野外活動を通じて、主に子どもの自然体験の必要性について社会にアピールする活動なども担っています。

 

上記のようにレジャーやスポーツの専門的な知識を生かして、アウトドアスクールやアウトドア講習会・研修会などで講師として働くシゴトです。

アウトドアスポーツやレジャーの楽しみ方から、知識や技術までを指導します。そのジャンルは多岐にわたり、キャンプやグランピング・登山・スカイダイビングやパラグライダー、スキーやスノーボードなどさまざまです。

自然に関する知識が豊富な人は、山岳ガイドや自然ガイド、自然教室などを通じて、老若男女に自然の楽しさや大切さを伝える活動をすることもあります。

雇用形態・働き方

アウトドアインストラクターは、アウトドア系の企業や自然体験施設などで働きます。
企業や施設の正社員として働く場合は、その他民間企業の社員と同じように給料が支払われ、ボーナスや福利厚生も与えられます。

オン・オフシーズンのある観光施設や、季節によって仕事量が大きく増減する仕事の場合、契約社員やアルバイトでの雇用になる場合が多いです。
そのため、ほかの仕事と掛け持ちをしたり、夏場だけ、冬場だけと期間限定でアウトドアインストラクターの仕事をしたりするという働き方をとる人も多いです。

所属先・勤務先

アウトドアインストラクターの主な活動地域、働き場所として自然活動を実際に行う山間部、海浜、里山等、若しくはそれらに隣接する施設等のほか、アウトドアショップ、スポーツ用品店等が挙げられます。自分の知識を生かして商品を販売するほか、お店が主催するイベントでガイドやインストラクターをする場合もあります。

そのほか、旅行会社に就職し登山や自然散策時のガイドをしたり、スポーツインストラクターとしてジムや専門の練習施設で働いたりする人もいます。

活躍の場が幅広いだけに、この仕事を目指していく場合には、自分がどのようなアウトドアインストラクターとして働きたいのかをよく考えてみることが大事だといえるでしょう。

活動や業務の中心が人々の余暇活動のサポートであるため、土日や休日を中心とした勤務になる場合が多く、キャンプ中などは終日勤務になる場合もあります。年齢層は幅広く、個人の体力が続けば高齢期まで働くことができます。近年は女性のインストラクターも増えています。

なり方

アウトドアインストラクターになるために決まった道はありません。前で述べたように、アウトドアインストラクターとして活躍できる場所が非常に多いので、より自身のやりたいことにちかい職場を探して採用試験を受けましょう。

ただし、アウトドアスポーツにはさまざまな普及団体があり、リーダーとして指導をしたりレクチャーを行ったりできるようになるためには資格の取得が必要なことも多いです。多くの資格は講習や実習、専門学校でのカリキュラムを受講することで取得できます。

種目によっては18歳以上、16歳以上などの年齢制限があり、未成年でインストラクターになるには保護者の同意書が必要な場合もあるので注意が必要です。

このシゴトに就いてから一人前の仕事ができるようになるためには多くの現場経験が必要になります。近年では活動内容がより高度化し、単に経験の年数だけでなく、指導する内容の「質」が問われています。野外活動を先導できる基礎体力とともに、常に新しい知識を吸収する向上心、人に奉仕することをいとわない気持ちやホスピタリティ・マインドが求められる。

年収

アウトドアインストラクターの年収は勤務場所によって異なりますが、平均の月給は18万円から20万円ほどです。年収にすると、200万円〜250万円程となり、正社員の中では低い水準となっています。日本の給与所得者の平均年収である436万円2と比較するとわかりやすいです。

勤務先によっては、「インセンティブ制度」をとっているところもあり、天候や季節によって左右されるため収入は不安定な部分もあります。「インセンティブ制度」とは従業員や組織のモチベーションを高めるために、目標の達成度合いによって会社から与える報酬のことをいいます。仕事の成果によって報酬が分かりやすく変動するため、実力主義や成果主義の要素が強い報酬制度です。また、さまざまな資格を取得していたり、インストラクターを指導したりするような立場になれば、さらに手当てが付く場合があります。

将来的にアウトドアの専門家の需要は広がる可能性がありますが、安定した収入を維持するにはかなりの専門性と自助努力が必要とされるでしょう。

資格

アウトドアインストラクターとして働くために特別な資格は必要ありませんが、資格を持っていることで採用の際に有利になることがあります。

アウトドアスポーツやレジャーに関する民間や普及団体の資格はいくつもあります。より深い知識や技術を身に付けたい人や、専門的な指導をしたい人は、取得しておいて損はありません。

また、アウトドアスポーツやレジャーは、ときにけがや事故が起こることもあります。

こうしたアクシデントに対応できるよう、救急に関する知識もしっかりと持ち合わせていた方がよいでしょう。

スケジュール例

アウトドアインストラクターは、勤務先や仕事内容によってさまざまなスケジュールで働いています。ここではラフティング3の指導をしているアウトドアインストラクターを例にご紹介します。

 

7:00 出勤

7:30 河川の様子を調査

水質調査や水量などを確認し、異常はないかを確認します。

スタッフ同士でミーティングをし、担当のツアーの道具などを準備します。

9:30 ラフティングツアー開始

参加者と準備体操をし、漕ぎ方をしっかりと指導したあとボートに乗り込みます。

12:30 ツアー終了・休憩

下り終えたら、現場で待っているスタッフと合流。

参加者を送り届け、その後自分も休憩します。

14:00 午後のツアー開始

同じルートを通るとしても、午前中とは気温や天候が違うこともあるので気が抜けません。川や天候の様子には常に気を使います。

16:00 終了・帰社

使用した道具の手入れや、スタッフ間で情報の交換を行います。

17:00 帰宅

やりがい・楽しさ

アウトドアインストラクターの醍醐味は、大自然の中で思い切り体を動かして働けるというところです。自然の中で働くという仕事はほかにあまりないため、身体を動かしたり、自然が好きだったりする人にはうってつけの仕事と言えるでしょう。

また、お客様と直に触れ合う仕事のため、笑顔や感謝の言葉に直接触れることができます。

自分の技術や知識を生かして、お客さまに心からアウトドアを楽しんでいただけたと思ったときに大きなやりがいを感じます。

大変なこと・つらいこと

アウトドアインストラクターの大変なところは、仕事中は常に緊張感をもっていなくてはいけないところです。お客さんを自然の中で楽しませるには、常にさまざまなところに注意を払います。特に子どもやお年寄りを相手にするときは、事故やけががないように常に気を張っていなくてはなりません。

また、アウトドアインストラクターの仕事はどうしても夏場や週末、夏季や冬季の休み期間などに偏りがちで、時期によっては仕事がないということもあります。

さまざまな仕事を掛け持ちしてアウトドアインストラクターを続けている人も多いです。

向いている人・適性

アウトドアインストラクターは、自然を愛する心がなければ務まりません。

自然が大好きで、毎日屋外で働いていても苦にならないという人がアウトドアインストラクターに向いているでしょう。

ただし、自然が好きなだけでなく、自然の厳しさや過酷さもしっかりと知り知識や技術を習得しなくてはなりません。

自然を楽しむためには、正しい知識をしっかりと持ち、いざというときにもとっさに対応できる能力が無くては、一人前のアウトドアインストラクターになることはできません。

志望動機・目指すきっかけ

アウトドアインストラクターを目指すきっかけとして多いのは、「体を動かすシゴトをしたい」「自然の中で働きたい」というものです。

また、お客さんと直に触れ合う仕事だけに「お客さんを楽しませたい」「自然のすばらしさを伝えたい」という思いでアウトドアインストラクターを目指す人もいます。

どちらにしても、自然に対する思いとお客さんに対する思いのどちらか一方だけでなく、両方を合わせた志望動機のほうがより採用側には好印象となります。

勤務時間・休日・生活

アウトドアインストラクターの休みは不規則なことが多いです。

多くの人が休日となる土日祝日や夏季休業・年末年始にお客さまが集中し仕事が増えることが一番の要因です。

そのため、繁忙期はなかなか休みを取ることができず、仕事が落ち着いてからまとめて休みを取るという会社も多いです。

またアウトドアインストラクターは、屋外で働く仕事だけに、どうしても自然現象に左右されます。特に天候で仕事量が変わる仕事の場合は、悪天候のときは仕事がなくなり突然休みとなることもあります。

求人・就職状況・需要

アウトドアインストラクターの求人は、全国にあります。

レジャー施設職員やアウトドア用品の販売員、スポーツインストラクターや自然指導員など、「アウトドアインストラクター」という名前以外でも、似たような仕事を行えるさまざまな求人があります。

アウトドアインストラクターは、勤務地によって仕事が全く異なるため、自分がいったいどのようなシゴトを行いたいのか、どんな分野で活躍したいのかをしっかりと考えて求人に応募しましょう。

転職状況・未経験採用

転職での採用は新卒採用と異なり即戦力が求められます。どのような職種であれ、未経験からの転職採用は難しいです。

アウトドアインストラクターになりたいと思っても、未経験者となると、一から勉強をしなくてはならず、知識や技術を身に付けるために時間もお金もかかるので、転職して目指すのであればそれなりの覚悟が必要です。

反対に、もともとアウトドア関連のショップで働いていたり、スポーツインストラクターをしていたりと、経験のある人がスキルアップを目指すにはよい仕事と言えるでしょう。

アウトドアインストラクターの現状と将来性

アウトドアやレジャーは一定の需要があり、それを指導するアウトドアインストラクターは、リゾート地や小中学校の林間学校などさまざまな場所で活躍しています。

今後もアウトドアインストラクターの仕事がなくなることはないでしょう。

これからの時代は、少子高齢化のため、よりシニアな層にも対応していくことがのぞまれます。

また、インストラクターとしての仕事だけでなく、アウトドアイベントの企画・運営やプロデュースなど、指導の場以外にも活躍の場を広げることが期待されます。

 

以上でアウトドアインストラクターの記事を終わります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

参考にしたサイト

・職業図鑑

https://aaaaaa.co.jp/

・O₋NET 

https://shigoto.mhlw.go.jp/

・キャリアガーデン

https://careergarden.jp/

・JobQ

https://careergarden.jp/

 

  1. 自由時間や余暇のこと。転じて休日の娯楽を指す
  2. 国税庁 令和元年 民間給与実態統計調査を参照https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf
  3. 「ラフト」と呼ばれるゴムボートに乗って川を下るレジャースポーツ