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【探偵】探偵という仕事の業務内容や年収などを解説‐シゴトニンラボ

今回紹介するシゴトは探偵です。

探偵というと、『名探偵コナン』のコナンのように、凶悪事件を解決するようなシゴト、と考える人もいるかもしれません。確かに探偵のシゴトは警察では対応できない依頼を扱いますが、それは殺人事件や凶悪事件を扱うというわけではありません。

今では現実の探偵のシゴトをなんとなく知っている人も多いかと思いますが、今回は一緒に探偵の詳しいシゴトを見てみましょう。

仕事内容

探偵のシゴトの定義

探偵は、依頼者からの依頼に基づき、特定の人の所在行動情報を調査する仕事のことです。

早速、警察庁がHPで発表している探偵業務の定義を見てみましょう。

探偵業務とは、主に以下のような業務のことをいいます。

・他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として

・面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い

・その調査の結果を当該依頼者に報告する

この探偵業務を行う営業を「探偵業」といいますが、専ら放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道をシゴトとして行う個人を含む)の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるものは除かれます。

要するに、探偵のシゴトは

①特定の人に関して依頼を超えない範囲で情報を集める

②様々な方法で現場での調査を行う

③調査結果を依頼者に報告する

④学術調査や報道などの取材を前提としていない

この4つを満たしているシゴトを指します。また日本の探偵は、警察では対応できない分野を中心にシゴトをしています。犯罪に関わることもありますが、数はとても少ないです。

アニメのように凶悪事件や殺人事件には関わることはほぼありませんし、関わることもできません。

業務上犯罪に巻き込まれることは稀にありますが、基本的には警察で対応できない民事の依頼を受けることになります。

それでは具体的な探偵の業務について見ていきましょう。

「調査業務」

「仲裁業務」

「助言・護衛業務」

の3つに分けられます。

調査業務

調査は探偵業の核となるシゴトです。

警察では対応できない依頼、友人や知人には聞けない、聞いてもわからない部分を調査することがシゴトになります。

調査依頼者からの依頼に応じて、調査業務は4つに分けられます。

〇素行(そこう)調査

素行とは、「普段の生活状態や行い」のことを指します。依頼者から依頼された人物の素行を調べて、危険な点や問題点を依頼者に報告することが素行調査のシゴトになります。

実際どのような依頼があるかというと

・社員の不審行動の証拠を掴みたい

・子どもの非行防止のため調査したい

・浮気している可能性がある配偶者の調査

このような場合に、探偵に素行調査の依頼がやってきます。中でも浮気調査はとても多くようです。はっきりとした統計はありませんが、依頼の多くが浮気調査であるようです。

〇所在調査・行方調査・人探し所在

所在とは「モノ・人がいる場所」のことを言います。つまり所在調査は、依頼者の依頼を受けて特定の人がいる場所の情報を入手することを指します。

実際どのような依頼があるかというと

・債務者の住所調査

・家出した人の捜索

・配偶者の浮気相手の家

このような場合に所在調査の依頼がやってきます

〇信用調査(資産調査)

信用調査とは、経済上信用できるかどうか判断するための資産情報、経済状況を調査するシゴトです。

実際どのような依頼があるかというと

・債務者の返済能力の確認

・隠し財産の調査

・企業への信用調査

このような場合に信用調査の依頼がやってきます。

〇身元調査

「身元」とはある個人の現在までの経歴や素性という意味です。身元調査は企業が採用内定者に行うようなものだけではなく、婚約者に行う結婚調査なども含んでいます。

実際どのような依頼があるかというと

・採用者の経歴や素性を確認

・縁談相手の調査

このような場合に身元調査の依頼がやってきます。

仲裁業務

探偵は人と人のトラブルを仲裁することもあります。

例えば浮気調査でも調査で証拠をつかんで終わるだけではなく、関係修復に力を入れている探偵業者もあります。他にもご近所トラブルの仲裁をすることもあります。

助言・護衛業務

信用調査に基づき、経済面の助言をします。トラブルが起きた際には、解決に向けて動くこともあります。

またストーカー調査の際には、帰り道の付き添いや警備を行うこともあります。また襲われた際の対処方法や、帰り道に関する助言を行うこともあります。

なり方

探偵には特殊な能力、例えば推理力などは要求されません。もちろん人の居場所を探すときに推理力が役に立つことはあるかもしれませんが、推理力は特別必要とされません。また、学歴や特別な資格も必要ありません。

その代わりに探偵としての経験は問われます。探偵としての経験を身に着けるためには、探偵会社に入る必要があります。探偵会社は門戸が広いため、入って実務をするまでの道のりはそれほど険しくはありません。

ですが探偵になった後も実務を通じて調査スキル、対人スキルを向上させる必要はあります。また業務上車を運転することが多いため、普通自動車運転免許は必須となります。

雇用形態

探偵の雇用形態は主に正社員、非正規雇用、開業の3つになります。それぞれ見ていきましょう。

◎正社員

探偵は、正社員としての雇用の門戸が広い職業です。

探偵業務には長時間のシゴトや連勤せざるを得ない案件もあるため、シフト制のアルバイトより正社員の雇用に需要があります。

◎非正規雇用

探偵にはアルバイトでのシゴトもあります。

探偵のシゴトはいくつかの求人サイトで募集もされています。勤務地が都心や繁華街に集中している傾向はありますが、条件が合う求人があったらアルバイトとして探偵業務をすることができます。

ですが先ほども述べた通り、探偵業務は1つの案件に時間がかかる場合もあります。連勤や出張ができるかどうか判断することも必要となります。

◎開業

探偵として経験やスキルを身に着けたら、自身で探偵事務所を開くこともできます。

ですが未経験からいきなり探偵事務所を開業することはお勧めできません。ある程度探偵事務所で働いてから自身が開業する場合の専門分野や規模を考えたほうが良いでしょう。

また、探偵事務所を開くためには都道府県の公安委員会に届出をする必要があります。

年収

求人ボックス給料ナビ1によると、探偵の平均年収は正社員で379万円です。

全国の正規非正規を合わせた平均年収は436万円2であるため、それに比べると給与は低くなっています。

また探偵事務所によっては歩合制(成功報酬制)を採用している職場もあり、人によって年収に大きな差が出ることも考えられます。

学歴

探偵に学歴は関係ありませんが、探偵としての知識を身に着ける「探偵スクール」に通えば、就職活動で有利になることはあります。

探偵スクールでは調査の方法、撮影の方法、探偵の事務作業などについて学ぶことができます。

探偵スクールでは求人を紹介したり、事務所を直接紹介してくれるところもあります。

ですが1~2カ月のプログラムで15~30万円程の学費であるため、入学は自身の状況を考えてから判断しましょう。大学生ならばアルバイトとしていきなり現場に入り、自身に合っているか判断する選択肢もあります。

資格

探偵としての資格は必須ではありません。

しかし探偵としての技能を客観的に証明する際に役立つ資格として民間資格があります。

以下の2つをご紹介します。

◎探偵調査士検定

日本探偵業協会が実施している検定です。

受験資格は、都道府県公安委員会に探偵業の届け出を行うことです。

試験は以下の2つから構成されます。

筆記試験

90%以上の正答率で合格となります。筆記試験の合格者は、当日午後に実施される技能試験を受けることができます。

技能試験

尾行・張り込みに関する技能、パソコンのスキル、カメラ、写真、ビデオの取り扱いに関する試験です。(講習を含む)(2時間2回合計4時間)

 

また、受験のための費用は220,500円と、一般的な資格試験に比べて高額になっています。

◎探偵業務管理者検定

探偵業務の中でも管理職向けの資格になります。

受験資格は探偵調査士検定の合格者かつ公安委員会に探偵業の届け出をしていることになります。

試験は以下の2つから構成されます。

筆記試験

95%以上の正答率が必要とされます。(探偵業法及び関連法令の中から出題)

面接試験

関係法令に基づいた具体的な設問形式により行います。(講習を含む)(2時間内)

受験費用は総額115,500円です。

探偵のスケジュール例

探偵は依頼に基づいて動くため、スケジュールも一定ではありません。また、勤務時間も人それぞれ異なります。

自身でシゴトの内容を決めて動くこと、そして結果を出すことが求められるため、プレッシャーがかかるシゴトです。

以下では探偵事務所勤務の探偵の1日を紹介します。

10:00 出社

11:00 問い合わせ・来客対応

12:00 昼食

14:00 調査場所に移動

15:00 調査開始

20:00 調査終了・帰宅

やりがい・魅力

探偵の魅力は、依頼内容が千差万別で刺激があることです。

もちろんデスクワークもありますが、探偵のシゴトの核は調査業務です。調査業務では依頼者の話を聞くことも多く、多くの人の人生を知ることができるでしょう。

また、調査は人と人の仲を修復することもあります。例えば家出した子どもを見つけるシゴトならば、親と子どもを引き合わせ、時には修復を手伝うこともあります。上手くいかないこともあるでしょうが、探偵は人と人の仲を取り持つこともできます。

つらいこと・大変なこと

探偵の大変なところは、時には危険なこと、犯罪に関わる案件に直面することです。

例えばストーカーからの警護や、反社との関係調査がそれにあたります。社会の暗い面に触れることもあるため、ショックな出来事もあるかもしれません。

また、現在は成功報酬制の探偵業者が多いため、成果を出さなければならないという重圧の中で働くことは大変なことだといえるでしょう。

今回の記事はここまでになります。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。また次の記事でお会いしましょう。

参考にしたサイト

キャリアガーデン

https://careergarden.jp/tantei/

13歳のハローワーク

https://www.13hw.com/jobcontent/05_05_25.html

警察庁HP『探偵業について』

https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/tanteigyou/index.html

一般社団法人 日本探偵業協会

https://www.jda-tokyo.jp/

  1. https://xn--pckua2a7gp15o89zb.com/%E4%BA%BA%E6%B0%97%E8%81%B7%E7%A8%AE%E3%81%AE%E7%B5%A6%E6%96%99%E6%83%85%E5%A0%B1
  2. 国税庁 令和元年 民間給与実態統計調査を参照https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf