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【ピアニスト】ピアニストのなり方や収入について解説‐シゴトニンラボ

ピアニストと聞いたとき、私たちはコンサート会場で演奏する1人の女性や男性を思い浮かべます。彼女らが実際にはどのような活動を行い、どのように生計を立てているのか、ピアニストのなり方などを詳しく解説していきます。

活動内容

コンサート

ピアニストの活動内容は人によって様々ですが、ピアノを演奏するという点で共通しています。その最たる舞台がコンサートです。

コンサートの演奏はソロ(1人)の場合と複数人での演奏があり、どちらの場合も大きな仕事となります。コンサート前は、規模にもよりますが1〜3ヶ月前から選曲や弾き方、衣装や当日のスケジュールについて何度も話し合って準備をしていきます。毎日の練習と数回のリハーサルは欠かせません。

演奏ジャンルはクラシックやジャズが多いです。クラシックはピアノ演奏の王道であり、世界中で愛されています。楽譜に従いながらも感情を込めて音を響かせることで観客の心を動かすような素晴らしい演奏になります。

一方でジャズの場合は楽譜に従うよりも、アドリブをきかせた即興演奏がメインになる場合がほとんどです。ピアニストとして音楽に関わってきた経験や、その場で演奏を楽しむ心が重要になるでしょう。

コンサートはピアニストにとって最も大きく、誇りのある活動です。

音源収録

コンサートでの生演奏のほか、音源を録音する仕事も多くあります。コンサートでソリストを務められるような人気のピアニストであれば、ピアノ演奏CDを発売している人も中にはいます。音源収録は基本的には他のミュージシャンなどのアーティストの音楽作品に参加するということが多いです。

クラッシックやジャズ音楽の一部として参加することもありますし、最近ではJ-Popの伴奏としてピアノが採用されていることも珍しくありません。音楽の幅が広がるとともにピアニストの活動が増えている現実があります。

その他の活動

その他の活動として、依頼を受けて結婚式やレストランで演奏をすることもあります。飲食店で従業員として働いているピアニストも、フリーで活動するピアニストもいます。

また、ピアニストの中にはピアノ教室の先生をする人も多いですコンサートを年に1回2回行い、その他の空いている期間で教室を開くのです。コンサートや音源の収録は自分に声がかからなければ参加することはできません。

コンサートやCD販売のみで生活できるピアニストは全体のごく一部です。そのため教室を開くことで生計を立てるピアニストは少なくありません。

ピアニストの働き方

フリーランス、音楽やレーベルの事務所に所属する働き方、ピアノのある飲食店や結婚式場の従業員をやりならピアノ演奏をする働き方があります。

フリーランスで働く場合は自分で出演依頼や仕事を受けることになるので、クラシック、ジャズ、J-Popといった複数のジャンルの演奏ができると仕事の幅が広がります。知名度を上げて、大きな仕事を得られるようになると、収入が安定し、大きく稼ぐことも夢ではなくなります。

また、飲食店のピアニストになる場合、店によっては夜勤となり、昼夜逆転の生活になることもあります。

自分に合った働き方をして、無理をしないようにしましょう。

続いて、ピアニストになる方法を解説します。

ピアニストになるには

その他多くの職業と違って、ピアニストになるための決まった方法というのはありません。しかし中でも多くの人が通る王道ルートは存在します。以下の流れです。

①音楽大学に入学

②(留学)

③コンクール・オーディション

①②音楽大学に入学し、専門性の高い講義とレッスンを受けることでさらなるスキルアップを目指します。海外留学を視野に入れる場合は言語のトレーニングもする必要があります。

大学在学中、卒業後にコンクールのオーディションに応募し、出演することでピアニストとして活動することになります。

③また、事務所に所属するためにデモテープを送ったり、ピアニストを募集している結婚式場やレストランに従業員として入社することでピアニストになることができます。

ピアニストとしての知名度を上げるきっかけとして、コンクールで入賞することが挙げられます。日々の練習をしっかり行うことが大切です。

また、ピアニストのみで生計を立てるのが難しい場合、ピアノ教室を開いて講師をするという人も多いです。

ピアニストの資格

ピアニストの世界は、完全な実力主義です。ピアニストになるための資格や免許はありません。留学や、音大への進学も必ず必要というわけではありません。

資格が必要ないということはピアニストを目指す人にとっては良い面と悪い面があります。

良い面としては、ある意味で誰でもピアニストになることができる点です。学歴や資格がなくても自分の実力で挑戦することができます。

悪い面は、自分の実力を証明するための資格がないため、常に腕を磨いて自分の価値を観客に証明し続ける必要があることです。

ピアノ教室を開くのなら取っておいて損のない資格がありますので、紹介します。大手の楽器メーカーが認定する試験で、ある程度の実力を保障するものになります。音楽教室の求人でこれらのものが必須となっているようなところもあります。

ヤマハグレード

ヤマハ音楽振興会が主催する検定試験で、「音楽を指導する人や学ぶ人が総合的な音楽力を身につけ、創造的で豊かな音楽表現に取り組むこと」を目的としています。

ピアノは13級から1級まであり、指導者となるためには5級以上が目標とされているようです。

カワイグレード認定制度

河合楽器製作所が設けている「カワイグレードテスト」で、16級から2級まであります。指導者や演奏家を目指す人は6級以上を取得することになるようです。

ピアノ教師資格認定試験

日本ピアノ教育連盟が主催する検定試験です。

初級・中級・上級があり、それぞれ年齢に関する受験資格があります。上級になるほど課題曲数と難易度が増えます。またレポートの提出も上級になるほど難しく、指導実践試験では大学生レベルの生徒にレッスンを行うことになります。

この資格を取得することによって、ピアノ学習者に適格な能力を有すると認められることになります。

ピアニストの年収

ピアニストの平均年収は令和2年の賃金構造基本統計調査1によると、全年代の平均年収は599万円となっています。日本の給与所得者の平均年収が約436万円2であり、比較的高い収入があると言えます。

ピアニストの収入源は、主にコンサートの出演料とピアノ教室の講師としての収入、その他の収入と分けることができます。コンサートの出演料は、一般的なピアニストで約10万円が相場です。知名度のあるピアニストは1回の出演料が100万円を超えるケースもあります。コンサートの出演料だけで生活できるピアニストは一握りであり、一流と言えます。

ピアノ講師の収入は、自分が教室を開いている場合と、ピアノ教室の求人に応募して採用される場合とで収入に差は生まれるでしょう。生徒1人あたりの月謝は5000円~15000円が相場となります。

その他の収入とは、前述した通り結婚式やレストランでの演奏や音源収録など単発の仕事で得る収入です。1つの仕事の収入は演奏先のお店や勤務時間、ピアニストによって異なります。レコード会社や音楽事務所に所属しているピアニストの場合、固定制の給料の場合もあります。

ピアニストの1日

ピアノ講師の場合

午前中 買い物や家事

12:30 ピアノスクールへ

13:00 レッスン

18:00 レッスン終了、帰宅&自由時間

ピアノ講師は人によって異なりますが、基本的には午後にレッスンがあって午前中は自由に過ごすことが多いです。ピアノ教室に通うのは多くが小中学生であり、授業が終わる午後、夕方にレッスンが固まるのは自然です。土日など小中学校が休みの日は午前中からレッスンがあることも多いです。

近年は大人の習い事としてのピアノ教室も増えており、レッスンの対象は広がっています。

コンサートがある日

09:00 会場入り&準備

10:00 リハーサル

12:00 昼休憩、本番に向けて集中

14:00 公園開始

16:00 公演終了

17:00 帰宅

午後に公演がある日のスケジュールです。このリハーサルは「ゲネプロ」と呼ばれ、本番とまったく同じ通りに演奏します。コンサートは2日3日連続して行われることも少なくないです。そういった場合は帰宅後、次の日のために練習することもあります。

コンサートのない日は本番に向けて毎日練習をしたり、ピアノ講師をして過ごします。

魅力・やりがい

ピアニストは人に感動を与えることができるシゴトです。そういったシゴトは実は多くありません。例えば映画やゲーム政策に関わる人たちはその作品で人々に感動や楽しさを与えますが、ピアニストはより直接的に、目の前の観客を感動させることができます。そのためよりダイレクトに達成感や充実感を得ることができます。コンサート本番で、練習の成果の発揮できた時はやり切った思いになるでしょう。

また、ピアニストになる人はほとんどがピアノが好きな人です。好きなことをシゴトにできるという意味で魅力があります。

大変なこと・つらいこと

ピアニストは活動するためにお金がかかるという面があります。例えばコンサート時の衣装を用意するのは自分自身ですし、チケットが売れ残ってしまった際に、自分で負担しなければなりません。別のシゴトを掛け持ちしたり、アルバイトをしながらピアニストを続ける人も少なからずいます。

また、始めは収入が不安定という面があります。ヤマハや河合といった大手の楽器メーカーの教室に所属することができれば収入が安定しますが、そうでないフリーランスの場合は自分で仕事を取っていかなければなりません。ピアノ教室を開くためには事務的な手続きやその後の宣伝が必要になります。

収入が安定するまでの大変さがあるシゴトではあります。

参考にしたサイト

『キャリアガーデン』

https://careergarden.jp/jyuuishi/

『スタディサプリ進路』

https://shingakunet.com/bunnya/w0026/x0348/

『13歳のハローワーク』

https://www.13hw.com/jobcontent/01_02_01.html

『cool-woker』

https://cool-worker.com/270.html

『Toshin.com』

https://toshin-job.com/job/479/

  1. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html
  2. 国税庁 令和元年 民間給与実態統計調査を参照https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf