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社会保険労務士の年収・試験・仕事内容などを解説‐シゴトニンラボ

今回は社会保険労務士のシゴトを紹介します。

「社会保険」とは、健康保険・厚生年

今回の社会保険労務士のシゴトを紹介します。

「社会保険」とは、健康保険厚生年金保険介護保険雇用保険労災保険のことを指し、日本では「国民皆保険」といって、全員健康保険に加入する義務があります。

20歳未満の人だと、健康保険のみという人がほとんどでしょう。アルバイトをしている人だと労災保険にも加入しています。

そんな民全員が加入する社会保険に密接にかかわるシゴトが、社会保険労務士です。今回はいまいちわかりにくい社会保険労務士のシゴトについて詳しく見ていきましょう。

仕事内容

社会保険労務士は一言にまとめると人事・労務のプロフェッショナルです。具体的には、保険や年金などの「社会保険」に関する手続きを行うことが主なシゴトになります。

では、実際にはどのようなシゴトをしているのでしょうか。主なシゴトは3つになります。それぞれ見ていきましょう。

人事労務管理の請負

社会保険労務士は企業から依頼を受けたり、企業内で雇われて人事労務のシゴトをすることもあります。人事労務とは、社員の採用や教育、給与計算や社会保険加入などに関する業務のことです。

本来社会保険に関わること、例えば健康保険や年金、労災保険などの手続きは企業の総務部や人事部が行いますが、例外もあります。

例えば育休や休職、中途入社者などの社員には時々で様々な状況の人がいます。そういった処理が難しい手続きに関して社会保険労務士が依頼を受ける場合があります。そういった際に指導をすることも、社会保険労務士のシゴトになります。

手続きの代行

社会保険労務士は、社会保険関係の手続きの代行をすることもあります。

例えば雇用保険・健康保険・厚生年金・労災保険に関する書類作成、さらには申請や給付後の事務手続き、人件費の計算などを行います。時には役所や労働基準監督署に出向くこともあります。

企業に信頼されるためにはこれらの業務をミスなく、遅れず、正確に行うことが大切です。

社会保険に関する相談

社会保険労務士は、社会保険に関する相談も請け負います。

代表的な業務は年金に関する相談です。例えば給付額の計算、支給申請の代行、年金を受給開始年齢の相談などがあります。

これは全国51か所に設置されている「年金相談センター」で、無料で相談・手続きの代行を依頼することができます。

所属先でのシゴト

社会保険労務士は、法律相談事務所や社会保険労務士事務所で働く人が多いです。また、企業の人事部や総務部で資格を持ちながら仕事をしている人もいます。

では、主な2つの所属先でのシゴトについて見てみましょう。

法律事務所・社会保険労務士事務所

ここでは、依頼主(企業・個人)の相談を受けたり、社会保険手続きの依頼をします。上述のように、相談・依頼は社会保険関連のものがほとんどです。

社会保険労務士事務所は個人で経営しているところが多く、企業の人事・総務や別の個人事務所で下積みをした人が独立して開業します。

企業や別事務所での経験・人脈がなければシゴトをすることは難しいため、まずは企業や別事務所で働くことをスタートとしてみましょう。

企業

企業の人事・総務部でも社会保険労務士は活躍しています。

ここでは給料の計算、社会保険料の計算、社会保険の仕組み整備、労働環境の改善に取り組むことが多いです。

企業に社会保険労務士の資格だけで就職することは難しく、大抵総務部、人事部などでの実務経験が求められます。

また、総務部や人事部は、営業などの現場のシゴトよりも経営層に近い視点でシゴトをすることが求められます。そのため、社会保険労務士も会社の仕組み改善や能率化を見据えたシゴトをする人材が求められています。

なり方

社会保険労務士国家試験の概要

社会保険労務士になるには、社会保険労務士国家試験に合格しなければなりません。

社会労務士の試験は、受験資格がありますが、他の国家試験に比べると制限は緩いです。

ここでは、社会保険労務士国家試験の概要を見てみましょう。

〇試験日程

例年8月末日曜日

〇受験資格

学歴・実務経験・別試験合格の条件のうち1つ以上を満たす人は受験ができます。

学歴に関しては大学で62単位以上を取得した者、短期大学・専門学校を卒業している者というのが主な要件です。

詳しくは『全国社会保険労務士会連合会 社会保険労務士試験の受験資格』(https://www.sharosi-siken.or.jp/exam/shikaku.html)を参照してください。

〇試験内容

筆記試験のみの試験になります。試験方式はマークシートによる多肢選択方式です。

試験では労働基準法など労働に関する法律の問題、労務に関する問題、社会保険に関する問題が出題されます。

詳しくは『全国社会保険労務士会連合会 社会保険労務士試験の概要』(https://www.sharosi-siken.or.jp/exam/howto.html)を参照してください。

〇合格率

社会保険労務士試験は、合格率がかなり低くなっています。参考までに直近3年の合格率を記します。

令和2年…6.4%(受験者34,845人・合格者2,237人)

令和元年…6.5%(受験者38,428人・合格者2,525人)

平成30年…6.2%(受験者38,427人・2,413人)

また職業別で見ると合格者の58.4%が会社員と、仕事をしながら受験している人が多いこともわかります。

詳しくは『厚生労働省 第52回社会保険労務士試験の合格者発表』

(https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000691589.pdf)を参照してください。

社会保険労務士名簿登録

試験合格後は、「全国社会保険労務士連合会」の名簿に登録する必要があります。

名簿に登録するには「2年以上の実務経験」もしくは「指定講習の修了」という条件を満たす必要があります。

この条件を満たして名簿に登録すれば、晴れて社会保険労務士を名乗ってシゴトをすることができます。

年収

『令和元年度賃金構造基本統計調査1』によると、社会保険労務士の平均年収は約486万円となっています。これは日本の給与所得者の平均年収である436万円より50万円高い数字となっています。

ただ注意が必要なのは、この調査の対象となっている社会保険労務士が600人と、他職種に比べて母数が少ないことです。

毎年2000人前後の社会保険労務士が誕生していること、そしてその約60%が企業で会社員をしていることを考えると、企業内で社会保険労務士の資格を活かしてシゴトをしている人も多いということです。

この調査ではそのように働いている社会保険労務士の年収までは調査対象になっていません。あくまで個人事務所や企業で社会保険労務士専業で働いている人の年収が、486万円ということです。

男女比

『厚生労働省 第52回社会保険労務士試験の合格者発表』

(https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000691589.pdf)を見ると、合格者の比率は男性64%、女性が36%と男性の方が多くなっています。

先ほどの『令和元年度賃金構造基本統計調査』の労働者数でも男性65%(390人)、女性35%(210人)とほぼ同じ結果となっています。

スケジュール例

社会保険労務士は、企業に勤める場合と個人で事務所を経営する場合とで変わってきます。

企業では基本的に会社ごとに業務の範囲や分担量が決まっており、一般の会社員と大き区は変わらないスケジュールとなります。

個人事務所の場合ですと、自身の裁量で仕事量を調節することができます。

ここでは個人事務所を経営する社会保険労務士の1日を紹介します。

9:00 出社・連絡確認

10:00 書類作成・提出

12:00 昼休憩

13:00 依頼主の訪問・面談・外回り

16:00 書類作成・提出

17:00 退社

求人・就職情報・需要

全国の令和2年度有効求人倍率では、社会保険労務士は0.92倍となっています。これは、1人の社会保険労務士を希望する求職者に対して、0.92件の求人しかないことを示しています。つまり、求人数が求職者に対して不足している状態にあるということです。

また、社会保険労務士試験の合格者数は毎年2000人前後出ているにもかかわらず、社会保険労務士の専業労働者数は600人とかなり少ない数字になっています。

こういったことを考えると、社会保険労務士は必ずしも資格があれば職に就ける、という職業ではないことがわかります。

やりがい・魅力

社会保険労務士の魅力は、社会保険を通して全ての国民、特に労働者の手助けができる点です。

社会保険は日本国民であれば原則加入する必要があります。その社会保険に関するエキスパートが、社会保険労務士です。

複雑な健康保険制度・年金制度・各種保険制度に関する個人や企業の悩みや相談を聞き、丁寧に解決に導くことができます。また、公務員よりも社会保険に関して専門的に業務を行うこと、顧客の利益をより考えることができるのが、社会保険労務士のシゴトといえるでしょう。

つらいこと・大変なこと

社会保険労務士のつらいことは、試験合格後も常に勉強し続けなければならないことです。なぜ勉強する必要があるかというと、法律は年々改正されていくものだからです。

社会保険労務士は労働に関する法律、社会保険に関する法律、労務に関する法律にくわしくなければなりません。これらの法律は経済や社会情勢に対応して年々変化していきます。

例えば年金なども、受給開始年齢が変わったり、金額が変わったりと、変化を遂げています。

おそらくこれらの法律はこれからも固定されることはなく、年々変化していきます。その変化にずっとついていかなければならないことは社会保険労務士の大変なところといえるでしょう。

 

今回の記事はこれで終わりです。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。

参考にしたサイト

『全国社会保険労務士会連合会』

https://www.shakaihokenroumushi.jp/

『キャリアガーデン』

https://careergarden.jp/shakaihokenroumushi/

『職業情報提供サイト(日本版O-NET)』

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/83

『スタディサプリ進路』

https://shingakunet.com/bunnya/w0001/x0026/

  1. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html