今回紹介するシゴトはカメラマンです。
カメラマンというと、多くの人に馴染みがある職業ではないでしょうか。学校の旅行や遠足の撮影や、運動会にいたカメラマンを覚えている人もいるのではないでしょうか。
私たちが実際のカメラマンに写真を撮ってもらう時は、上記のような特別なイベントがあることがほとんどですが、実はカメラマンはありとあらゆる場面、媒体で活躍しています。そんなカメラマンのシゴトについて見てみましょう。
仕事内容
カメラマンは広告・雑誌などの媒体に掲載するための写真を撮影するシゴトです。
カメラマンは人、動物、料理、風景などあらゆるものを撮影します。さらに同じ被写体を撮影する場合でもファッション、スポーツ、報道など、ジャンルによって撮り方や場所も全く変わってきます。ここではカメラマンが活躍するジャンルを見てみましょう。
〇広告・出版関連
ポスターや雑誌などに掲載する「商業写真」と呼ばれる写真を撮影するシゴトです。
掲載媒体のコンセプトやイメージに沿って写真を撮影し、完成まで仕上げていきます。わかりやすい例でいうと、ファッション雑誌に出ているモデルを撮影したりします。人、服、建築物、料理など撮影の対象が幅広いため、様々な被写体を綺麗に撮影できる能力が求められます。
〇報道
新聞や雑誌などに掲載するために事件や事故、政治や経済関連の写真を撮影します。
事件や事故などが起こった際に、現場に駆けつけて撮影をします。その場で関係者の取材を行ったり、映像を撮ったりもします。
報道カメラマンの中には戦地に行き、現場の様子や人を撮影する「戦場カメラマン」と呼ばれるカメラマンもいます。危険と隣り合わせのシゴトで、時には戦場で命を落とすカメラマンもいます。覚悟がないと務まらないシゴトといえるでしょう。
〇スポーツ関連
スポーツ選手の撮影、スポーツイベントや試合の様子を撮影します。
撮影した写真は新聞やスポーツ雑誌、ニュースなどで使用されます。スポーツは特に動きや状況の変化が多いため、試合の状況を把握するスポーツの知識、躍動感ある写真を撮影する技術も求められます。海外の大会や日本人が出る海外の試合を撮影することもあるため、海外に行くこともあります。
〇ウエディング関連
結婚式に密着し、主に新郎新婦の写真を撮影します。
このシゴトをするカメラマンは新郎新婦の入場、キス、ケーキ入刀、指輪をはめるシーンなど、重要なシーンを中心に撮影します。
〇自然関連
海、山、川などの風景を撮影するシゴトです。
このシゴトをするカメラマンの中には、過酷な活動をする人もいます。例えば海にダイビングして海中を撮影する人、冬の山に登山して風景を撮影する人など肉体的に大変な場所で写真を撮影します。
被写体全てに言えることではありますが、自然というのは特に予測がしにくいです。そのため撮影する対象に関する知識も持ち、適切な時期や場所で撮影する必要があります。
〇動物関連
特に動物を専門的に撮影するシゴトです。
動物カメラマンは、ペットや動物園の動物というよりも、野生動物の撮影をする人のことを言います。
野生動物を撮影するため、大自然の中に身を置くことが多くなります。また、日本では撮影できないような動物を撮影しに海外に出かけることもあります。
なり方
カメラマンになるために必要な資格や学歴はありません。そのため、カメラマンになるルートも様々なものがあります。ここでは主な5つのルートを紹介します。
〇大学や専門学校に進学する
カメラマンになるために、専門的な知識や技術を学ぶ学校に通う人もいます。
学校には芸術・美術系の写真撮影に関することを専門とする学科、写真のデザインを専門とする学科などがあります。特に美術大学に多く設置されています。
写真に関して学べる学科は国公立大学が2校、私立大学が14校、短大が4校、専門学校が38校となっています。
国公立大学である長岡造形大学・視覚デザイン学科と、東京藝術大学・先端芸術学部では写真のデザインに関することを中心に学べます。私立大学である日本大学写真学科や東京工芸大学写真学科では、撮影技法など写真に関してより深く学ぶことができます。
『スタディサプリ進路』https://shingakunet.com/bunnya/w0017/x0239/
で学校の一覧を見ることができるため、参考にしてみてください。
ただ、学校を卒業しても必ずカメラマンとして安定した地位に就くことができるわけではないことは注意しておきましょう。
〇スタジオに勤務する
スタジオには「スタジオマン」と呼ばれる、主に撮影をサポートするシゴトをする人達もいます。
スタジオマンは初めからカメラマンのメインアシスタントとして働けるわけではありません。サブアシスタントとして清掃や撮影の片づけなどのシゴトに従事し、その後機材セットや撮影時の助手業務など本格的なアシスタント業務を行うようになります。
そしてメインアシスタントとして多くの撮影現場に関わり、自身でも撮影技術を磨いていくことでカメラマンとして一人前になることを目指します。
〇メディア系の会社に就職する
出版社や新聞社、スタジオなどの採用試験に合格すれば、専属のカメラマンとして働くことができます。
専属のカメラマンは門戸が狭く、新卒の学生で雇われることは難しいです。学生時代から相当な実績があれば雇われる可能性もありますが、基本的には業界で経験を積んだカメラマンがなるものと考えておきましょう。また、近年出版社や新聞社も専属のカメラマンが少なくなり、フリーランスとしての契約が増えていることにも注意しましょう。
〇アシスタントとして下積みを積む
現在カメラマンとして活躍している人のアシスタントとして、知識や技術を学びながら働く人もいます。
主なシゴトは連絡調整や機材準備、荷運びなどカメラマンの雑用的なシゴトをすることになります。ただ、目の前でカメラマンの撮影現場を見れること、自身の写真をプロのカメラマンに見てもらったり人脈が広がることは大きなチャンスになります。時には撮影をすることもあるため、学べることは多いでしょう。
〇独学でカメラマンになる
撮影の技術を独学で学んでカメラマンになる人もいます。
カメラマンになるためにはアシスタントやスタジオに勤務するなど下積みが大事であるため、多くの人が独学で学んだあとスタジオなどに勤務します。中にはInstagramやTwitterで写真家として有名になる人もいますが、ごく一部といえるでしょう。
独学で写真を学びSNSも個人的に活用しながらも、収入源として、または現場の経験を積むためにスタジオに勤務する人が多いです。
年収
カメラマンの年収に関しては、公的なデータはありません。ここでは『求人ボックス 給料ナビ』から、カメラマンの平均年収を見てみましょう。
・正社員…平均年収357万円
・アルバイト…平均時給992円
・派遣社員…平均時給1599円
ただし、このデータがすべてではないことも留意しておきましょう。芸術や芸能、メディアに関わるシゴトの多くは、年収の差が激しいです。アシスタントのうちは月収10万円台であることが多いですが、有名なカメラマンでは数千万円を稼ぐ人もいます。
求人・就職情報・需要
『職業情報提供サイト(日本版O-NET)https://shigoto.mhlw.go.jp/User』の統計によると、カメラマンの所属する職業分野「写真家・映像撮影者」の有効求人倍率は0.42倍です。これは、カメラマンを希望する求職者100人に対して42件しか求人がないことを示しています。
さらにこの職業分類には、テレビカメラマンや制作カメラマンなど映像撮影者も含まれているため、実際はもっと低い有効求人倍率であることも考えられます。
特に商業分野ではなく芸術分野、いわゆる「作品」だけで募集しているところは非常に少ないです。
やりがい・魅力
カメラマンのやりがいは、写真を撮って誰かの心を動かしたり、社会の流れを変えるきっかけになれることです。
自身が身に着けた技術や知識を使って写真を撮影し、それが評価されれば、大きい達成感を得ることができます。また、誰かの人生にとって大切な記憶や思い出を、写真という形で残すこともできます。
報道カメラマンや戦場カメラマンに特にいえることですが、時には自身が撮影した1枚の写真が社会の流れを変えるきっかけになることもあります。
つらいこと・大変なこと
カメラマンの大変なことは、一瞬のシャッターチャンスを逃がせないところです。
動いていないものやスタジオ撮影では、モデルや時間の都合はありますが、ある程度のやり直しは可能です。
しかし自然の中や戦場、野生動物、ニュース、イベントなどを撮影するカメラマンは二度とやり直しできない場面をシャッターに収めなければなりません。そのため、撮影中はある程度神経を張っていなければならないことは大変なことといえるでしょう。
今回の記事はこれで終わりです。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。
参考にしたサイト
『キャリアガーデン』
https://careergarden.jp/cameraman/
『職業情報提供サイト(日本版O-NET)』
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/357
『スタディサプリ進路』
https://shingakunet.com/bunnya/w0017/x0239/
『13歳のハローワーク』
https://www.13hw.com/jobcontent/03_05_09.html