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【声優】声優の仕事内容やなり方についてわかりやすく解説‐シゴトニンラボ

今回の記事では、声優のシゴトについて紹介します。

声優というと、アニメに声を吹き込む職業、とイメージしている人が多いのではないでしょうか。実は声優のシゴトはそれだけではなく、洋画や海外ドラマの吹き替え、ゲームのキャラクターの声、テレビでのナレーションを担当する声優もいます。ここでは、声優の詳しいシゴトを見てみましょう。

仕事内容

声優はアニメ、ゲーム、海外映画、海外ドラマなどの登場人物のセリフを読み上げ演じるシゴトです。

声優は活躍するジャンルによって声の出し方や演じ方が全く変わる職業で、熟練した技術と豊富な知識の両方が必要とされるシゴトです。

加えて近年の声優はラジオ・歌・LIVE・テレビ番組・YouTube・写真集など、メディアでマルチに活動する存在にもなっています。また、俳優よりも数が少ないこともあってか、有名な声優だと同時期放送のアニメに複数本出演していることがあるほど多忙になります。

ではここで、主な声優のシゴト内容7つを紹介します。

〇アニメのアフレコ

アニメのアフレコは、アニメのキャラクターに声を吹き込むシゴトです。

アフレコとは「after recording」、つまり既にある映像に後から音を吹き込むことを指します。アニメには稀にプリレコ「prerecording」と呼ばれる先に声を録音し後に映像を作るものもありますが、ほとんどの場合アフレコです。アニメのアフレコは声優志望者に特に人気があり、声優の花形と言える職業です。

声優はただセリフを読み上げればいい、というわけではなく、キャラクターの心情、周りの声優の演技との調和、ストーリー展開、ディレクターの意向など様々な要素を考えながら演技をする必要があります。

〇海外映画・ドラマのアフレコ

海外映画・ドラマのアフレコは、日本語以外の言語で制作された映画やドラマなどの吹き替えをするシゴトです。

声優は片方の耳のイヤホンから外国語版を聞き、片方の耳で他の出演者の声を聴きながらマイクの前で演技をします。

アニメのアフレコとの違いは、既にオリジナルの俳優の演技があることと、より映像の空間を想像する必要があることです。声優には海外版で作られた作品の雰囲気やキャラクターを壊すことなく、かつ魅力的な吹き替え版を作ることが求められます。また、映画やドラマは現実空間で演技しているため、その臨場感を消さないためにも空間を想像して演技をすることが求められます。

〇CM・テレビ番組・ラジオ番組のナレーション

テレビ、ラジオ、インターネットなどでナレーションをするシゴトです。

テレビの広告やテレビ番組、ラジオ番組、コマーシャルなど、ナレーションのシゴトは幅が広いです。近年ではYouTubeの広告や動画内のナレーションなどさらに多くのシゴトが生まれています。

〇ゲーム・アプリのアフレコ

ゲームやスマホアプリのキャラクターに声を吹き込むシゴトです。

近年のゲームでは全セリフに吹き替えをしたり、スマホアプリでもプロの有名声優が吹き替えをすることも珍しいことではありません。また、アニメのような高い水準が求められるゲームもあります。

〇ラジオパーソナリティー

声優としてデビューしアニメなどの吹き替えをすると、ラジオパーソナリティーをすることもあります。

人気がある声優だと自身がメインパーソナリティーを務める番組を持つこともありますが、新人でもアニメの宣伝などで地方局ラジオ、時には首都圏のラジオに出演することもあります。

ラジオはお便りなどファンとの距離が近いため、作品だけではなくラジオでファンを増やす人もいます。

〇歌手活動

声優の中には、自身が出演するアニメの主題歌や劇中歌、キャラクターソングを歌う人もいます。

多くの場合はそのアニメ限定の単発のシゴトであることが多いのですが、歌手として人気を集める声優もいます。その場合はCDを出したり、LIVEをしたりと、主にアニメソングを歌う歌手活動にも携わることになります。

〇テレビ・出版での芸能活動

芸能事務所に所属し、芸能活動をする声優もいます。

ここでいう芸能活動とは例えばソロ写真集の出版、テレビ番組やネット番組への出演、YouTubeでの活動などのことを指します。また、中には声優だけではなく俳優活動をする人もいます。

なり方

声優になるとはすなわち「声優プロダクション」に所属するということです。プロダクション所属後はオーディションに合格することで仕事を獲得します。人気のある声優はオーディションを経ず、依頼が来ることもあります。

声優プロダクションに所属するためには知識や技術の基礎を学ぶことが必要になります。そのため、声優になる人の多くは声優養成所に入ることになります。

また、専門学校の声優学科に入る人や大学のメディア学部から声優になる人もいます。それぞれ見てみましょう。

声優養成所

声優になるための1番の近道は、声優養成所に所属することです。養成所は主に声優プロダクション付属養成所独立系養成所の2つに分かれます。

養成所には面接や実技試験に合格すると所属することができます。養成所試験の倍率は公開されていませんが、プロフィット養成所という人気の養成所はHPで20倍近い倍率があると発表しています。他の養成所は1〜5倍程度だと言われています。

プロダクション付属の養成所はプロの声優の指導を受ける機会があったり、オーディションの情報を入手できたりとメリットが豊富にあります。

養成所では演技実習・声優表現・ボイストレーニング・ボーカル・台本の読解講座など、声優になるための知識と技術を学びます。半年から2年程度学び、卒業するタイミングで受ける声優プロダクション試験に備えます。

声優養成所に入る以外では、「専門学校」や一般の「大学・短大」から声優になるという人もいます。

〇専門学校

専門学校の声優学科では、声優になるための基礎から実践までを幅広く学びます。

養成所との主な違いは時間をかけて基礎からじっくり学べることです。専門学校は必ず2年以上、なおかつ指定の単位数分授業を取る必要があるため、養成所より拘束時間は長くなります。

また、学内でのオーディション講座があったり、発音や発声練習・マナーなどの基礎を学べるなど、サポートが充実していることが特徴です。

〇大学・短大

大学・短大では、声優に関して専門的かつ実践的に学べる学部はほとんどありません。そのため大学ではメディア学部、映像学部、芸術学部など、映像分析や劇場の手法などを学ぶことになります。

そして大学や短大卒業後、養成所に入所して声優を目指すことになります。

以上の施設を卒業した後は声優プロダクションに所属し、仕事を獲得していくことになります。

声優プロダクション

声優プロダクションに声優として正式に所属するには、養成所内オーディションに合格する、もしくは実力を認められて入所する方法があります。どちらの場合も簡単なことではなく、1つの養成所内でも数人、中には1人もデビューできない年もあります。

オーディションやプロダクションに関する情報が多く集まるのは養成所や専門学校なので、多くの人がそういった施設に通うわけです。

また、プロダクションに所属したからといって必ず安定した生活を送っていけるわけではありません。声優は一般の正社員と異なり、月に決まって給料をもらうというシステムではありません。所属プロダクションが受注したシゴトを受け、その都度報酬をもらう「歩合制」というシステムです。簡単にまとめると、シゴトをやればやるだけ収入が増え、シゴトが少なければそれだけ給料も少なくなるというシステムです。そのため、しっかりとシゴトを獲得することが重要になります。

◎オーディションに受かる

正所属であっても、シゴトを得るにはオーディションを勝ち抜く、もしくはシゴトの紹介を受けることが必要です。声優として人気が出るまではオーディションを勝ち抜かない限りシゴトはありません。近年は携帯ゲームやアプリが普及したことで声優の需要が高まっています。オーディションのチャンスが多いということは、それだけ合格するチャンスも多いということです。

アニメやゲーム、洋画の吹き替えなど幅広い経験を積み、自身の声質や演技に合ったジャンルやキャラクターを見つけることが大切です。そしてオーディションでシゴトを勝ち取っていくと、安定してシゴトを得ることができるようになります。

年収

声優の年収に関しては、公的なデータはありません。また、シゴトによって報酬が変化する歩合制を採用しており、人によって年収が大きく変わるため平均年収もあまり参考になりません。

声優の収入に関して、ここではその出演料などの報酬を見てみましょう。『外画動画出演実務運用表』(https://nippairen.com/wp-content/uploads/2017/12/20170401unyohyo.pdf)

という『日本俳優連合』(https://www.nippairen.com/)が出している表を参考にします。

まず声優は実力や経験、人気でランクが決まっています。出演料はその年の基本ランクと作品の長さ、作品の利用目的の3つの要素によって決められます。

そして、出演料は①基本対価(基本ランク×時間割増率)に、②目的利用率を掛け算して計算されます。目的利用率とは放送、ビデオ、上映などの媒体ごとに設定される数字のことで、出演が決まった時点で80%追加され、媒体が増えると利用率が積みあがっていきます。

ランクはデビューから3年間はジュニアランクと決まっていて、一番上のランクであるノーランクでは上限なしの都度交渉が可能になります。ランクは自己申告制ですが、実力や人気に合わないランクだとシゴトが来ないため、事務所と協議してランクを決定しています。

参考までに書くと、30分のアニメのギャラは1万5千円~4万5千円程度で、ノーランクだとさらに高くなることもあります。そこに目的利用率などが加算されてさらに高くなることもあります。

男女比

声優の人数に関しては、公的なデータはありません。

ここでは『声優名鑑2021』(https://seigura.com/news/61150/)のデータを参考にしてみましょう。声優は男性607名、女性は955名となっています。これは比率にすると男性約39%女性約61%と女性が高い数字となっています。

男性の方が少なくはありますが、2001年の男性145名に比べると4倍以上に増えています。また、女性も2001年の225人から4倍以上に数を増やしており、声優という職業自体の数も増え続けています。

やりがい・魅力

声優のやりがいは、アニメや映画などのキャラクターに声を吹き込み、命を与えられることです。もちろんアニメやドラマ、映画、ゲームなどの製作には多くの人がかかわっていますが、最終的にキャラクターに声を与えることは声優にしかできません。自身が好きな作品や好きなキャラクターの声優を務めた時のやりがいは、私たちには想像もできません。

また、人気が出ると出演機会が増え、収入もとても高くなります。一般の会社員ではめったに手にできない人気と収入を得る可能性があることが声優の大きな魅力の一つです。

つらいこと・大変なこと

声優のつらいことは、売れる声優が一握りしかおらず、新人や無名の声優は簡単にはシゴトを得られないことです。

声優は、有名声優になるとオーディションを受けずとも自然と声がかかる、同時期に複数作品を掛け持ちするということもありますが、無名の声優は自身からシゴトを取りにいかねばなりません。それが端役だとしてもオーディションで役を取ったり、シゴトの紹介を積極的に受ける必要があります。

それに加えてレッスンやトレーニングもあり、アルバイトで生計を立てる声優もいます。複数作品に出演して人気、実力共に認められれば安定してシゴトができますが、それまでは時間的、肉体的にも大変に感じることがあるでしょう。

今回の記事はこれで終わりです。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。

参考にしたサイト

『キャリアガーデン』

https://careergarden.jp/seiyuu/

『スタディサプリ進路』

https://shingakunet.com/bunnya/w0013/x0132/

『13歳のハローワーク』

https://www.13hw.com/jobcontent/02_06_10.html