今回の記事では、調理師のシゴトについて紹介します。
調理師とは、プロの料理人のことを指します。調理師は様々な料理のジャンルで活躍しています。中華料理人、イタリアンのコック、フレンチのコック、板前など、料理を作る人達が調理師と呼ばれています。
この記事では、様々な調理師のシゴトの概要について見てみましょう。
仕事内容
調理師のシゴトは味、見た目共に優れた料理を作り提供することです。
調理師はコックや板前と呼ばれるレストランや料亭で働く人から、給食や病院で調理をする人までいます。ここでは主に二つの調理師のシゴトについて見てみましょう。
料理をする
調理師はレシピに基づいて、またはレシピを考案して、技術や知識を最大限に発揮して調理をします。
和・洋・中で調理技術は異なりますが、味が美味しいことと見た目の良さが求められる点は同じです。全体を統括するコックや板前、料理長の指示に従って調理を完成させていきます。
準備・片付け
開店前の準備や片付けも調理師のシゴトで、特に新人にとっては大事なシゴトです。
新人は開店前の掃除、食材のチェック、野菜を切るなどの下準備など先輩の調理師が料理を作るための準備をします。また、皿洗いや温度チェックなどの雑務も行います。
経験を積んだ調理師は、味付けが必要な仕込み、簡単な清掃など準備作業にかける時間は短くなります。
調理師の分野
調理師は一般的に和食、洋食、中華などそれぞれの専門分野に分かれて料理を作ります。専門分野によって調理技術は大きく異なります。ここでは主な3つの調理分野について見てみましょう。
日本料理
日本料理は、懐石料理や天ぷら料理、うなぎ料理など様々な種類があります。
大きな旅館や料亭ではシゴトが分業化されており、6つのシゴトに分かれています。それぞれ簡単に見てみましょう。
・追い回し…掃除、下準備などの雑務
・先付け…盛り付け作業
・焼き場…焼き魚や天ぷらなど火を使う調理
・煮方…煮物、吸出しなどを煮る調理
・板場…刺身を造る調理
・花板…調理場全体の管理
日本料理は、上記のポジションを上から順番にステップアップしていくことになります。
西洋料理
西洋料理は、イタリア料理、フランス料理などの洋食を指します。
西洋料理もシゴトが分業化されており、主に5つのシゴトに分かれています。それぞれ簡単に見てみましょう。
・ブッシェ…肉や魚を仕分けて調理
・ソーシェ…ソース類の調理
・ガルド・マンジェ…オードブルやサラダの調理
・アントルメティエ…スープや野菜、パスタの調理
・パティシエ…パンやデザートの調理
西洋料理も日本料理と同じく、最初は下積みから始め、その後様々な分野の調理を担当して、自身の専門を決めていくことになります。
中華料理
中華料理はその名の通り、中国の料理を指します。その中でも北京・四川・広東・上海は中華四大料理と呼ばれ日本にも広く伝わっています。
中華料理人には宴会などの高級中華料理を作る人、チャーハンや回鍋肉など中華料理の中でも日常的に食べるものを作る人がいます。
なり方
調理師になるために必要な学歴や資格は必要ありません。ただし、調理師資格という国家資格は存在します。
調理師資格は、食材の調理だけではなく、栄養や衛生に関する知識も含まれています。そのため食材の安全を確保するすべを学ぶために取得する調理師もいます。ここでは、調理師試験について詳しく見てみましょう。
調理師資格を取得する方法は二つあります。
一つ目は、調理師試験に合格して免許を取得する方法です。調理師試験は学歴要件は中学卒業以上、かつ職歴の要件(2年以上調理業務に従事)を満たせば受験することができます。
二つ目は、調理師養成施設を卒業後、免許を申請して取得する方法です。この方法では試験を受ける必要はなく、卒業することで免許が取得できます。
調理師試験の概要
〇試験日程
例年10月下旬の土曜日に行われます。実施場所については『令和3年度調理師試験 – 調理技術技能センター』を参照してください。
〇試験内容
試験は全60問、マークシートによる選択方式になります。
試験科目は以下の6つになります。
・公衆衛生学
・食品学
・栄養学
・食品衛生学
・調理理論
・食文化概論
公衆衛生学では、健康問題などが出題されます。食品学と栄養学では食品の分類、栄養素などについて、食品衛生学では食材の保存方法や食による被害の予防について学びます。調理理論では調理の技術や変化について、食文化概論では食の歴史などについて出題されます。
合格基準と合格率
原則としては60%以上の得点率で合格となります。ただ、1科目が平均点を大きく下回る場合は不合格となります。
合格率は例年65%前後で推移しています。
年収
『令和元年度賃金構造基本統計調査』1によると、調理師の平均年収は約341万円です。これは全国の労働者の平均年収の436万円より95万円低くなっています。コックや板前の中には調理師免許を持っていない人も多くいるため一概には言えませんが、比較的低い年収だといえます。
また同表で、企業人数規模別の月収を見てみましょう。
・1000人以上…約27万円
・100~999人…約24万円
・10~99人…約25万円
以上を見ると、規模の大きさと月収にはあまり関係がないといえます。
次に、平均賞与も比較してみましょう。
・1000人以上…約42万円
・100~999人…約40万円
・10~99人…約34万円
以上から、賞与に関しても組織の規模によって大きく変動することはないといえます。
男女比
『令和元年度賃金構造基本統計調査』によると、一級調理師の数は男性10,267人、女性7,517人となっています。これは比率にすると男性約58%、女性約42%と、若干男性の方が多くなっています。
求人・就職情報・需要
『職業情報提供サイト(日本版O-NET)』によると調理師の有効求人倍率は、1.61倍となっています。これは1人の調理師志望の求職者に対して1.6件の求人があることを示しています。つまり、調理師は人手が不足している状態にあるといえます。
需要に関しては、一般社団法人日本フードサービス協会の調査http://www.jfnet.or.jp/files/nenkandata-2020.pdfによると、2020年度は様々な外食産業で売上は10~50%減少しました。とはいえ、外食産業に必要な調理師の需要は今後もあるといえます。年間データを見ても、1994年から2019年までほとんどの年で売上は微増し続けていました。新型コロナが収まれば、回復していくことが考えられます。
やりがい・魅力
調理師のやりがいは、料理で人を感動させられることです。
厳しい修業に耐え、研鑽を積んだ腕を奮って作った料理で多くの人が感動することは、料理人としてはやりがいとなるでしょう。
また、自身の手で店を大きくしたり、開業して繁盛させることを目指したり、というように、料理を通してのし上がっていくこともやりがいと言えます。
つらいこと・大変なこと
調理師の大変なことは、下積み期間での待遇や修行の厳しさです。
レストランや料理店では力仕事が多くあり、早出残業も多く発生します。また、その中で店内コンペで料理を出すためにレシピを考案したり、料理の腕を磨く必要もあります。給与も一般的な新卒より低い場合が多いです。
そういった中でも厳しさを乗り越える体力と覚悟が必要となります。
今回の記事はこれで終わりです。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。
参考にしたサイト
『キャリアガーデン』
https://careergarden.jp/chourishi/
『職業情報提供サイト(日本版O-NET)』
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/100
『東京都福祉保健局』
『公益社団法人 調理技術技能センター』
http://www.chouri-ggc.or.jp/chourishishiken/all_delegation/