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絵本作家の仕事・なり方・収入などを解説‐シゴトニンラボ

今回の記事では、絵本作家のシゴトについて紹介します。

絵本作家と聞くと、小説家以上になり方がわかりにくい職業です。ここでは絵本作家になるための方法も含めて、そのシゴトについて見てみましょう。

仕事内容

絵本作家のシゴトは、絵本を描くことです。子供向けの絵本、大人向けの絵本、中には立体的な仕掛けがある絵本や音が出る絵本などもあります。絵本作家は絵だけを描く人、絵を描きストーリーも考える人に分けられます。

〇子供向け絵本の制作

絵本の絵は独創的でありかつ子どもも楽しめるようなものである必要があります。また、セリフに関しても子どもの心をつかんでいて難しすぎない言葉を使う必要があります。だからといって単純すぎるセリフやキャラクターでは子どもが楽しむこともできないため、工夫が必要です。代表的な子ども向け絵本として『はらぺこあおむし』『スイミー』が挙げられます。

〇大人向け絵本の制作

絵本には大人が読んでも楽しいものも数多くあります。大人向けの絵本は子供向けの絵本と明確に分けられているわけではありませんが、デザインがより芸術的であったり、物語が扱う主題がより重いものを指すことが多いです。わかりやすいものはダークホラー系の絵本で、実際の殺人事件や核兵器、地獄を題材に不気味なタッチの絵で描かれています。エドワード・ゴーリーというアメリカの絵本作家は有名です。

直接的に大人をターゲットに制作される絵本では、子ども向けに制作される絵本より自由で過激なテーマを扱えることが特徴です。

〇図鑑イラストの制作

絵本作家の中には図鑑のイラストを描いている人もいます。図鑑には恐竜図鑑、昆虫図鑑、動物図鑑、鉄道図鑑など様々な種類があります。図鑑の絵は絵本の絵とは違い、なるべくリアルに、本物に忠実に描くことが求められます。

絵本作家が本業ではない、例えばイラストレーターなどが作家に依頼されて絵本のイラストのみを描くこともあります。絵本のストーリーや文章は考えず、イラストのみを担当する人を「絵本画家」と呼ぶこともあります。

なり方

絵本作家になるためには、学歴や資格は必ずしも必要とはされません。

ただ絵本作家は絵を描くシゴトになるため、美術系の大学・短大・専門学校などで絵に関して学んでおくと良いでしょう。そして在学中、もしくは卒業後にコンクールに応募して受賞することがデビューへの近道となります。ここでは絵本作家になるためのいくつかの方法を紹介します。

〇公募の賞に応募する

絵本作家になるための近道は、新人賞などに応募して賞を受賞することです。

賞を受賞すると、多くの場合は開催者である出版社から本を出版することになります。

『講談社絵本新人賞』『MOE創作絵本グランプリ』『ものがたり新人賞』など新人向けの賞は多くあるため、各賞の性質や対象の年齢層を把握して、自身にあった賞に応募しましょう。

〇出版社に持ち込む

絵本作家としてデビューした人や賞の入選経験がある人は、出版社に持ち込んだ作品を編集者に見てもらいやすくなります。デビュー前の人も持ち込みはできますが、編集者から連絡をもらえる人はごく一部となっています。また、出版社によって個性や作風が違うため、自身に合う出版社に持ち込みをすることが大切です。

〇自主で発表する

自身の作品を様々な形で発表することも大切です。絵本作家を目指す人の多くが絵を描く人が集まるイベント、Twitter、Instagram、ブログなどを使って自身の作品を発表しています。そこで編集者の目に留まること、また今までの作品をまとめたポートフォリオを作ることもできるため大切なことになります。

〇個展を開く

ある程度書き溜めた作品がある人は、ギャラリーでまとめて発表し、編集者の人に見てもらうという手もあります。ギャラリーで個展を開けば、ギャラリーが出版社に連絡を入れてくれます。また、自身で知り合いの編集者やSNSで編集者を招く方法もあります。

ちなみにギャラリーの相場は、都内であれば1週間10万円~40万円ほどになります。

一般的な会社員などと異なり、会社からの採用があるシゴトではありません。よい作品を制作し、編集者や多くの人の目に留まるよう努力する必要があります。

年収

絵本作家の年収に関しては公的なデータはありません。そこで、絵本作家の主な収入源である原稿料と印税に関して見てみましょう。

原稿料に関しては、契約に基づいて決まった額が支払われます。ただ絵本作家の場合は原稿料がない場合も多いようです。以下は絵本雑誌の『MOE』の編集長の言葉の引用です。

 …基本、絵本作家の受け取る利益は印税のみです。マンガのような雑誌の連載とは違って描きおろしの絵本には原稿料がありません。 (“絵本作家ってもうかるの?『MOE』編集長コラム「大人が絵本を読むのって変ですか?」第4回”)

 原稿料がないことから、小説家や漫画家よりも専業でやっていくのは難しいといえます。そのためイラストレーターとして活動する人や、専業主婦など他のシゴトと並行して絵本作家をやっている人が多いです。

印税に関しては、本の定価に印税率をかけたものが絵本作家の収入となります。この印税率は5~10%程度になります。さらにこの印税は「発行印税」と呼ばれる発行部数に応じて支払われるもの、「売上印税」と呼ばれる売上部数に応じて支払われるものの二種類があります。本の定価が1200円とすると、年間3万5000冊売れれば年収が420万円程度となり、絵本作家として専業でやっていくことができるといえます。

やりがい・魅力

絵本作家のやりがいは、自身の描いた絵と物語で、特に子どもに楽しんでもらえることです。

絵本は日本中で多くの子供に読まれています。小さな子にとっては楽しいものというだけではなく、自身の世界観や価値観に大きく影響を及ぼすものでもあります。子どもたちに感動してもらうことができるという点でも、絵本作家のシゴトはやりがいのあるものです。

また、かつては子どもだった人が大人になり、自身が読んだ絵本を子どもに読み聞かせしたりと、長く読み継がれていくものでもあります。

つらいこと・大変なこと

絵本作家の大変なことは、収入を得ることが難しいところです。

絵本の市場は小説や漫画と比べると小さなものです。もちろん語り継がれるような名作となれば多くの人が手に取り、安定した収入を得ることができます。また絵本作家として有名になれば安定して作品の売上を上げることができます。しかし無名時代は作品だけで生活をすることが難しいため、絵本と同時に兼業していくことになります。

 

今回の記事はこれで終わりです。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。

参考にしたサイト

『キャリアガーデン』

https://careergarden.jp/ehonsakka/

『スタディサプリ進路』

https://shingakunet.com/bunnya/w0012/x0163/

『13歳のハローワーク』

https://www.13hw.com/jobcontent/02_02_05.html

『イラスト業界情報局』

https://www.amgakuin.co.jp/contents/chara/column/work/picture-book/#i