プロゲーマーと聞いて皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか。
ゲームで生計を立てている人?
特定のゲームをやりこんで極めた人?
そもそもプロゲーマーって職業なの?
今回はそんなプロゲーマーについてまとめていきます。この記事を最後まで読めばプロゲーマーの定義や収入、なり方や現実を詳しく知ることができます。(読了目安3分~8分)
プロゲーマーとは
結論から述べると、プロゲーマーに厳密な定義はありません。「その競技(プロゲーマーの場合はゲーム)に取り組むことで収入を得て生計を立てている人」という意味で使われるのが一般的です。これは他のメジャースポーツのプロ選手も同様です。例えば野球、サッカー、バスケットボールなどの場合はプロ団体と契約を結び、その団体から年俸をもらうことでプロになったとされます。
2010年代以前は、ゲームの大会の賞金以外にゲーマーたちが収入を得る手段はほとんどありませんでした。それが2010年代以降はスポンサーとなってゲーミングチームや大会に出資する企業が多く登場したことで、ゲーマーの活躍する場所が増え、プロゲーマーの増加につながりました。この背景には「esports」の登場と発展が深くかかわっています。
esportsとは
esportsは「electronic sports(エレクトロニック・スポーツ)」の略称で、コンピューターゲーム(ビデオゲーム)をスポーツ競技として捉えようとする際の名称です。
1980年頃にコンピューターゲームは登場し、インターネットの普及とともにゲームの競技化が進んでいきました。2000年になると「esports」という呼び名が生まれ、国際的な
大会が各地で開かれたり、多くの競技団体(ゲーミングチーム)が誕生していきました。
esportsの市場規模は現在進行形で拡大を続けており、競技人口も増加の一途を辿って(たどって)います。国際オリンピック委員会(IOC)っては2021年現在オリンピックの正式競技としてesportsの採用を検討しています。ただ暴力性のあるゲームなど、ゲームの内容次第ではオリンピックの理念に反してしまうため、使用するゲームや競技のルールなど、採用のために乗り越えなければいけない課題がたくさんあります。
esportsの普及によって、日本を含む世界中にesportsで生計を立てるプロゲーマーと呼ばれる人々が現れました。以下ではプロゲーマーについてより詳しく解説していきます。
プロゲーマーのなり方と収入
プロゲーマーになるということは、esportsのプレイヤーとして活動をして生計を立てるということです。ゲーマーの収入源となるのは基本的には「大会の賞金」「ゲーミングチームからの給料」「スポンサーからの年俸」の3つです。それぞれ解説していきます。
大会の賞金
大会の賞金が最もシンプルでわかりやすいかと思います。esports団体や企業が主催するゲームの大会には大きな賞金が出ており、一定以上の順位に入れば、賞金を獲得できるという仕組みです。大会によって異なりますが、基本的には性別・国籍・年齢などに関係なく誰でもエントリーすることができます。大会で多く使用されるゲームは「FPS」や「TPS」、格闘系のゲームやシャドウバースなどのデジタルカードゲームなど多岐にわたります。
こうしたゲームの大会は日本を含めた世界各地で日々行われています。esportsの発展に伴い大会に出資するスポンサー企業が増えているため、大会の規模・賞金額は年々大きくなっています。海外の大会では賞金総額が20億円を超えるような規模の大会もあります。日本ではモンストやシャドウバースの大会の優勝賞金が1億円を超えるようになってきていますね。
大会の賞金は非常に大きいですが、上位に入賞して賞金を獲得するのは簡単なことではないです。日々の練習に加えて時の運をつかむ必要もあります。そのため賞金だけで生活をしていくことは非常に難しく、あまり現実的ではありません。プロゲーマーの多くは大会の賞金以外の収入源をもっています。
ゲーミングチームに入る
ゲーム業界では、プロゲーマーたちや企業がesportsに取り組むためのゲーミングチームを組織しています。ゲーミングチームはチーム戦の大会にエントリーするための目的もありますが、日々共に練習したり、組織にすることで個人やチームで活動がしやすくなるというメリットもあります。こうしたゲーミングチームにはスポンサーがつくことが多く、会社員のように毎月給料が出るチームも多いです。大きいチームであればあるほど大きなスポンサー企業がつきやすいため、大きいチームのほうが給料が高い傾向にあります。
肝心なゲーミングチームの入り方ですが、これは基本的にスカウトされる以外にありません。大会で結果を残したり、そのゲーム内で記録を残すなど自分の存在と実力をアピールする必要があります。実力を示す以外には、ゲーム配信で名を馳せるなど、影響力の大きさを示す方法もあります。実際にもこうの実況という人気配信者が、ぷよぷよというパズルゲームの認知度や需要を上げる目的からプロライセンスを獲得した例があります。
また中にはゲーマーの加入を募集しているゲーミングチームもあります。ただこういったチームでは給料や年俸はないケースがほとんどで、収入源にはなりません。こうしたチームに入るのはプロゲーマーになるためのステップとして、という目的が主になるでしょう。
スポンサーからの年俸
esportsに参入する企業の出資先は、主に「ゲーミングチーム」「プロゲーマー個人」「大会」に分けられます。大会への投資というのは、具体的には会場費や賞金への投資です。スポンサー側はユニフォームや会場の一部に自社のロゴを使うことで、自社の存在や製品を広告します。その広告費が出資であり、ゲーミングチームやゲーマー個人が広告塔としてこれを受け取ります。
個人がスポンサーの出資を受けるには、企業側から出資する価値があるのだと思わせる必要があります。企業としては、結果を残している選手やこれからの活躍が期待される選手、影響力(知名度)のある選手に出資したいわけです。そのためプロゲーミングチームに入るよりもハードルは高いでしょう。個人にスポンサーがつくのなら、プロゲーマーの中で成功したといえます。
日本では2010年に梅原大吾が米国企業と個人でスポンサー契約を結んだのが最初です。現在ではたくさんのゲーマーが個人で企業からの出資を受けています。
その他
その他の収入源として、イベントやテレビ番組などの出演料、「YouTube」や「mildom」などの動画配信サイトでの収入などが挙げられます。配信者となる場合、基本的にはアップした動画についている広告を視聴者がみた際に入る広告収入や、生配信中に視聴者が直接お金を送ることができる投げ銭が主な収入となります。中には、動画サイト側が配信者に自社サービスを使ってくれと、お金を出すというケースもあります。当然ですがその際には、契約期間、配信時間や配信ルールなどさまざまな条件があります。日本では「mildom」や「Twitch」で盛んに行われています。
現在動画配信をするゲーミングチームやプロゲーマーは多く、高い人気を誇っています。
プロゲーマーの現状と年収
2020年現在で日本にプロゲーマーは約1000人いると言われています。国内のゲーミングチームは100を超えており、esports業界は知名度や市場規模が成長している真っ只中です。
esportsに参入する企業もとても多く、プロゲーマーやプロゲーマーを目指す人々にとっては以前よりもよい環境だといえます。
しかし、だからといって簡単にプロゲーマーになれるというわけでは決してありません。むしろプロゲーマーを目指す人が増えている分、競争が激しくなっているとも考えられます。
プロゲーマーの年収ですが、人によってかなり異なり、その幅は非常に大きいものとなっています。また賞金の有無や獲得賞金額によって同じ人でも毎年収入は大きく変わります。そのため年収に関しては一概に言えない部分が大きいということを前提に見ていただければと思います。
まず、ゲーミングチームやスポンサーからの固定の収入のないプロゲーマーを目指す人の場合は、esportsでの収入は大会で賞金を獲得しない限り0円になります。実際にはそういった人は多く、アルバイトをしながら生計を立てることになります。
ゲーミングチームが所属ゲーマーに与える給料は毎月10万円~20万円程で、最低限暮らしていくのに必要な程度のことが多いです。給料が10万円など低給の場合は、寮など住む場所が保障されているケースが多いです。ゲーミングチームに所属しているプロゲーマーの年収は120万~240万円となります。そこに賞金額やイベント出演料などその他の収入が入ります。民間企業の年収の平均が436万円ですので、比較するとかなり低い水準となります。
収入を安定させて生活するには、大会で結果を残すなどしてゲーミングチームに入るのが最も現実味があるように思います。ただそれでも、最低限の生活が保障されるに過ぎません。より結果を残してより大きなスポンサーについてもらったり、配信活動で稼げるようにならなければたくさんの報酬を得ることはかないません。反対に賞金が10億円を超える大会で優勝したり、配信活動で人気が出ると一気に生活が変わります。夢のある職業であることは間違いないです。
参考にしたサイト
・ジョブ図鑑
https://job-zukan.jp/e-sports-pro-gamer/11014/
・JeUNホームページ
https://jesu.or.jp/contents/about_esports/
・アオハル
https://ao-haru.jp/esports/game-rekisi/2/