シゴトニンデータベース

イラストレーター‐シゴトニンラボ

今回の記事では、イラストレーターのシゴトについて紹介します。

実はイラストレーターは歴史の深いシゴトです。シゴトとしての商業的なイラスト、例えば新聞や本の絵を描く人は、15世紀にヨーロッパで活版印刷技術が発明されて登場しました。さらに19世紀に大量印刷が広く行われるようになって、イラストを描くイラストレーターも増加しました。では現代ではイラストレーターはどんなシゴトをしているのでしょうか。

仕事内容

イラストレーターのシゴトは、商品、ポスター、雑誌、看板などにイラストを描くことです。

またウェブサイト、Youtube広告などのデジタルイラストを描くイラストレーターもいます。イラストレーターはクライアントの要望を重視する、つまりイラストの商業的価値を踏まえて描くことが大切です。名前が知られたイラストレーターになると、クライアントの要望を踏まえたうえで自由度の高いイラストを描くことができます。

ここでは主に4つのイラストレーターのシゴトを見てみましょう。

出版のイラスト

このシゴトは本、雑誌、新聞、絵本など出版メディアに絵を描くシゴトです。

特に本の表紙、絵本の挿絵はより自由度が高く、自身の個性を活かしやすいシゴトです。また小説家や絵本作家と共同してシゴトをするため、自身のイラストが気に入られればその後継続してシゴトを依頼されることもあります。

広告のイラスト

このシゴトはポスター、商品パッケージ、企業広告のイラストを作るシゴトです。

時には他の作品とのコンペにかけられることもあります。結果選ばれた場合も修正を繰り返す場合もあるため、手間がかかるシゴトでもあります。その分報酬や知名度は上がるシゴトになっています。

ウェブのイラスト

web媒体でのシゴト、例えばSNS、ソーシャルゲーム、Youtubeなどでイラストを描くシゴトもあります。

このシゴトはデジタルで絵を描くことが求められることが多いです。イラストレーターはサイトのレイアウトやキャラクターのデザインを考える場合もあるため、幅広い能力が求められます。

アニメ・ゲームのイラスト

アニメ、ゲームの絵を描くイラストレーターもいます。

キャラクターデザイン、原画と呼ばれる重要なイラスト、動画と呼ばれる原画をつなぐイラストを描くのが主なシゴトです。キャラクターデザインは重大なシゴトであるため、実績や知名度が高いイラストレーターが依頼される場合がほとんどです。

なり方

イラストレーターになるには必要な学歴や資格などはありません。

イラストレーターになるために必要な能力は、なんといっても画力です。イラストレーターは一枚絵が上手いだけではなく、キャラクターのデザイン力、クライアントの要望を満たす絵を描く対応力、イラスト全体のレイアウトを考える構成力も必要とされます。特に駆け出しのイラストレーターはシゴトを選ぶことは難しく、商業的な価値が高い絵を描く能力が求められます。

ここではイラストレーターになるための主な3つのステップを紹介します。

学校でイラストに関して学ぶ

イラストレーターになるために大学や短大、専門学校で絵に関して学ぶ人が多いです。イラストを学べる学校は専門学校が多いですが、私立大学、短大にも多くのデザインを学べる学校があります。国公立大学は少ないですが、東京藝大などの美大にはイラスト科が設置されているため、そこで学ぶことができます。

学校ではデッサンなどの基礎からイラストの課題など実践的な内容まで幅広いことを学ぶことができます。また、デジタルでのイラストの描き方、学校によってはCGデザインについて学べるところもあります。大学ではそれらに加えてイラストの歴史、理論、分析について学べるところもあります。特に美大では音楽から美術まで様々な表現者がいるため、人とのつながりができて創作にもいい刺激となるでしょう。

イラスト関連の会社に就職する

学校卒業後、イラスト制作会社、デザイン会社、ゲーム制作会社などに就職するイラストレーターもいます。

ただ現在は外部の個人や企業にイラストの業務委託をする会社が増えており、正社員として専属のイラストレーターになることは難しいです。就職活動をする場合はポートフォリオ1面接があるため、ゲームのキャラクターデザインや背景イラストなど、自身の強みや制作してきたイラストに合う会社を探すほうが良いでしょう。

また、ポートフォリオの充実とシゴトの依頼を受けるために、Twitterやpixivといった各種メディアを活用することも大切です。特にpixivなどの投稿サイトには多くのイラストレーターがおり、イラストレーター同士の交流、時にはメディア関係者の目に留まってシゴトにつながることもあります。シゴトに直接はつながらずとも、先ほど述べたポートフォリオが充実することにもなるので、一石二鳥と言えるでしょう。

フリーランスとして働く

イラストレーターにはフリーランスとして働く人も多くいます。『イラストレーター白書2019』の調査によると、調査人数2,661人中85.7%が個人事業主、つまりフリーランスで働いているという結果が出ました。

同調査によると、受注するシゴトの約8割はキャラクターイラスト、約7割は一枚絵となっています。その次にはマンガのシゴトが約35%となっており、やはりキャラクターを描くことが必須であるシゴトが多いことがわかります。そのため、イラストレーターとしてシゴトを受注し続けるためにはキャラクターを上手に描く必要があるといえます。

年収

イラストレーターの年収は公的な調査がないため、はっきりとしたことは言えません。またフリーランスで働く人が多くを占めるため、個人差がとても大きいです。

ここでは『ポケモンカードゲーム』の公認イラストレーターであるさいとうなおき氏の調査を参考にしましょう。さいとう氏は2296人のイラストレーターに対して調査を行いました。その結果が以下です。

5000万円以上…0.7%

2000~5000万円…1.7%

1000~2000万円…3.4%

800~1000万円…2.2%

600~800万円…5.1%

300~600万円…22.6%

100~300万円…35.2%

~100万円…29.1%

 

この調査では経費を差し引いているのかがはっきりとはわからないため、純粋な売上による年収であるのかは不透明です。また調査対象のプロフィールもわからないため、やはり公的な調査ほどの正確性はないといえます。しかしイラストレーターの年収を考えるうえで非常に参考になるデータではあります。

やはり年収が低い層と高い層がはっきりと分かれていることがわかります。年収300万円の層が60%以上を占めていることからも、知名度や実績がなければイラストレーターを専業にしていくことは難しいことがわかります。

男女比

『イラストレーター白書2019』によるとイラストレーターは男性29.5%、女性68.4%となっています。特に20代前半(20~24歳)の女性が最も多く、調査数の23%を占めています。次に多いのが20代後半(25~29歳)の女性で、全体の約17%を占めています。このことから、イラストレーターには比較的若い女性が多い職業と言えます。

求人・就職情報・需要

近年、ソーシャルゲームやアニメ、マンガ、YouTubeの流行もあり、イラストレーターの需要も高まっています。

これまでイラストレーターは書籍や新聞、ポスターなど印刷媒体にイラストを描くことが多かったため、イラストも手書きがほとんどでした。しかし2000年代から状況が変わり、コンピューターソフトやCGを使ってイラストを描くことが一般的になってきています。現在紙だけでシゴトをするイラストレーターは考えられず、デジタル化の波に対応して技術を身に着けていくことが必須と言えます。

やりがい・魅力

イラストレーターの魅力は自身が描いたイラストが多くの人の目に触れ、時には感動する人がいることです。

『イラストレーター白書2019』の調査によると、イラストレーターの8割以上の人が「絵が好きだったから」イラストレーターになったと回答しています。そういった人にとって、自身が描いたイラストがシゴトになるということは、大変なこともありますがこの上ないやりがいとなるでしょう。

また、時には多くの人々、さらには作家や監督といった表現者にイラストを認められることもあります。

つらいこと・大変なこと

イラストレーターの大変なところは、顧客や人々の要望を満たす絵を描かなければならないことです。

漫画家など他の商業的価値が求められるクリエイターにも言えることですが、イラストレーターはまずクライアントの要望を満たす絵を描かなければなりません。さらに基本的には担当の編集者に手直しをされる漫画家と違って、イラストレーターのクライアントには様々な人がいます。その中で度重なる手直しの要求やイラストを認められないこともあります。そういった中でもイラストを辛抱強く描いていくことは大変なことでもあります。

 

今回の記事はこれで終了です。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。

参考にしたサイト

『キャリアガーデン』

https://careergarden.jp/illustrator/

『職業情報提供サイト(日本版O-NET)』

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/342

『スタディサプリ進路』

https://shingakunet.com/bunnya/w0017/x0169/

『MUGENUP イラストレーター白書2019』

https://mugenup.com/wp-content/uploads/2020/01/8cd93b9c8dd7c2d5d7401440b7568642.pdf

『yutura 絵師2000人に年収調査』

https://ytranking.net/blog/archives/62365

  1. 自作の作品集。自分に何ができるかをアピールするためのツール。