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【作曲家】作曲家のなり方・年収などを解説‐シゴトニンラボ

作曲とは?~作詞・作曲・編曲の違い~

ひとつの楽曲を作るのに必要な要素は、作詞・作曲・編曲の3つ(歌詞のない曲なら作曲と編曲のみ)です。作詞は歌詞を作ることで非常にわかりやすいですが、作曲と編曲の違いはわかりにくく、編曲とはなにか説明できる人は少ないと思います。

簡単に表現するなら、作曲は主旋律(メロディー)を作ることを指します。歌を歌うときのリズムのことです。一方編曲は主旋律以外の全ての部分を作ることを指します。演奏に使う楽器を選び、楽器ごとの譜面を作り、コーラスやハモリを入れたりすること全てが編曲に含まれます。編曲とは曲のアレンジであり、編曲家のことを(アレンジャー)曲のアレンジャーと呼ぶこともあります。作曲家が作ったメロディに編曲家が音楽的な装飾を加えることでひとつの楽曲が出来上がります。

かつては作曲と編曲を別の人が行う、つまり作曲家と編曲家が分かれていましたが、近年は作曲家が編曲も行うことが増えてきています。その主な理由は、編曲ソフトを使うことでパソコンひとつで編曲ができるようになったからだといえます。このようにパソコンを使った音楽作成の手法を総称してDTM(デスクトップミュージック)といいます。

そんな作曲家の仕事内容を見ていきましょう。

仕事内容

作曲家の仕事内容はとにかく「作曲」すること(正確には作曲と編曲)を行うことです。

曲の種類や用途は様々で、J-POPやロック、クラシック、アニメのOP・EDにテレビドラマの挿入歌やゲーム音楽全般、サウンドエフェクトなど上げだしたらキリがありません。

これら全てのテーマを全て1人で作るのは非常に難しいので、作曲家はそれぞれ自分の得意分野を持っていることが多いです(もちろん広く全般を扱う作曲家もいます)。

 

シゴトとして作曲を行うとき、その方法は大きく二つに分けることができます。

その二つとは作曲依頼を受けて作曲する方法クラウドソーシングです。この二つの方法の具体的な流れや内容について簡単に説明します。

作曲依頼を受けての作曲

作曲の依頼人には様々なパターンがあります。例えば自身で作曲をしていない歌手や歌手デビューをする声優やタレントなどの芸能関係者、テーマパークなどの娯楽施設やゲーム制作会社、当然個人での依頼も多くあります。

作曲依頼を受ける際にはクライアントのイメージした曲になるべく近いものを作るために、しっかりと要望を聞き、時には意見交換を行うことです。

クラウドソーシング

近年勢いを増しているのが「クラウドソーシング」という業務形態です。クラウドソーシングとは、crowd(群衆)とsourcing(調達)を足し合わせた造語で、インターネット上で企業や個人が不特定多数の群衆に業務を発注する業務形態です。例えば、ある企業が自社のイベントで使う曲を外部委託して制作してほしいとき、クラウドソーシングを扱う専門サイトに依頼内容を載せることで、不特定多数の作曲家やクリエイターに作曲依頼をできるということです。その依頼内容を見て依頼を受けたいと思った個人が依頼を受けることで両者が目的をはたすことができます。クラウドソーシングは、発注側は人材採用コストを抑え、必要な時にピンポイントで業務を依頼できるメリットがあります。一方で受注側は自分のスキルを活かし、好きなタイミングで働けるというメリットがあります。

クラウドソーシングは作曲に限らず、イラストや衣服のデザインや学習関係など様々なジャンルで行われています。それらを行うプラットフォームとして最も有名なのはココナラです。興味のある方はご覧ください。音楽に特化したクラウドソーシングとして「Audiostock(オーディオストック)」や「getstage(ゲットステージ)」などのサービスがあります。

 作曲家の仕事内容は基本的に作曲・編曲を行うことですが、それ以外の活動をしている人も多くいます。例えばシンガーソングライターとして自身で作詞・作曲・演奏まで行う人や、自身の所属する音楽会社でプロデューサー業を行う人、クラシックや楽器の演奏家として活躍しながら楽曲提供を行っている人など様々です。

続いては作曲家の所属や働き方について見ていきましょう。

作曲家の所属と働き方

作曲家の働き方は音楽事務所や芸能プロダクションなどの会社に雇用される方法とフリーランスとして個人で活動する方法の2つに分けられます。それぞれ解説します。

会社に所属する作曲家

Sony Musicやavex、ジャニーズやアミューズなどの会社は専属の作曲家を雇っています。スケジュールの管理や事務作業などはその他の社員が行うため、作曲家は作曲に専念することになります。会社に所属する一番のメリットは安定した給料から安定した収入が得られる点です。

会社が受注してきた依頼や会社の方針に従って作曲を行うため、必ずしも自分の作りたいような曲が作れるわけではないことや、自分のペースで働くことができないことが会社に所属するデメリットといえます。

フリーランス

どこにも所属せず、自分で事務所を立てたり完全に個人で活動する方法です。作曲家の多くはフリーランスとして働いています。

フリーランスのメリットは、自分のペースで仕事に取り組むことができる点と、成功すれば企業に勤めるよりもずっと大きな収入を得られる点にあります。

一方で収入が安定しないというデメリットがあります。いくら作曲能力があっても依頼が無ければ収入を得ることはできません。営業活動をして仕事を獲得することがフリーランスとして活動するうえでは最も重要なことになります。

 それぞれにメリットデメリットがありますが、作曲家として生計を立てたいのであればまずは会社に雇用されることを目指すべきだと我々は考えます。会社で経験と実績を積み、人脈を広げるなどの準備をしたうえでフリーランスに挑戦するのならば心配は少ないですが、はじめからフリーランスで生計を立てていくのはかなり難しいと思われます。

 では、作曲家になるその具体的な方法について簡単に整理していきましょう。

作曲家になるには

作曲家になるにはいくつかのルートがありますが、前提として作曲能力がなければ作曲家になることは不可能です。作曲家として様々なジャンルの楽曲を手がけるのであれば、独学で作曲スキルを身に着けるのはかなり難しいです。音楽系の短大や大学、専門学校に通うべきでしょう。そうした学校に通いながら自身のスキルを高めていくのです。

また音楽系の学校であれば作曲に関わらず、声帯学や楽器学まで音楽に関する様々なことを学べるため、自分が音楽とどのように関わっていきたいのかを納得いくまで考えることができます。音楽関係のシゴトに就きたいと考えているのなら、音楽系の学校に進学するのがお勧めです。

作曲家になる方法ですが、作曲のコンペティションで入賞したり、ヒットソングを出して「名を上げる」ことが一番の近道になります。名を挙げることができれば作曲依頼による楽曲提供で生計を立てることができるでしょう。

音楽業界は近年縮小しており、作曲家作曲家を募集している音楽会社や芸能プロダクションはほとんどゼロに近い現状です。ただ一部のゲーム会社などサウンドクリエイターとして募集をかけている例はいくつかあります。

その他にはクラウドソーシングを積極的に利用して報酬を得る方法や、副業として楽曲提供をする方法があります。

 作曲家になって、作曲家として生計を立てていくことは非常に難しいと言えます。本当に作曲家になりたいのであれば常にセンスを磨き、地道な努力で経験と実績を積んで行くことが重要になります。

収入源と年収

まず会社に所属しているかフリーランスかで収入源も年収も大きく変わってきます。それぞれ分けて見ていきましょう。

会社に所属する作曲家

会社に所属する作曲家は一般的な会社員同様、毎月の給料と賞与(ボーナス)が入ります。その平均年収は400万円〜500万円ほどであり、これは民間企業の平均年収436万円と近い水準となっています。そのため収入に関しては一般的な会社員とほとんど同じです。

フリーランス

フリーランスの場合収入は人によって差が激しいので一概に平均年収を出すことはできません。作曲のシゴトだけでは生活できない人から年数千万円稼ぐ人までピンキリです。

収入源は楽曲提供による「報酬」と印税契約による「印税収入」に分けられます。

わかりやすいのは報酬で、これは楽曲を提供して、それに対して支払われるお金のことです。一曲あたりの報酬は10万円〜50万円が相場となっています。楽曲を提供するということは曲の著作権を提供するということでもあります。そのため印税は作曲家には入りません。クラウドソーシングはこの報酬制ですね。

一方印税契約とは、報酬がない(わずかにある場合もあります)代わりに著作権を作曲家が得るという内容の契約です。著作権を持っていると「印税収入」を得ることができます。印税収入は様々なタイミングで楽曲の著作者に支払われるお金です。例えばCD が売れた時やテレビ番組で曲が使われたとき、カラオケで歌われたときなどにその都度入ります。そのため曲がヒットすればとても大きな収入になり、中には印税だけで数億円になることもありますが、曲の人気がなければ数万円の収入になってしまうこともあります。印税についてはこちらの記事でも触れていますのでよければ合わせてご覧ください。https://shigotoninlab.com/singer/

最後に

今回は作曲家についてまとめました。

近年音楽業界は縮小している一方で、パソコンひとつで編曲が可能になったことやクラウドソーシングの普及など、作曲家として収入を得るチャンスは増えていると言えます。作曲だけで生計を立てていくのは非常に難しいですが、作曲家になる可能性や手段が以前よりも増えているということです。

この記事が少しでも皆さんの参考になったなら幸いです。

参考にしたサイト

・キャリアガーデン

https://careergarden.jp/shousetsuka/work/

・スタディサプリ進路

https://shingakunet.com/bunnya/w0012/x0162/

・Wellen

https://wellen.jp/compose/composition-income/

・MuzicViral

https://musicviral.jp/2017/10/02/sakkazimusyo/