今回は僧侶について簡単にまとめていきます。
タイトルでは僧侶としましたが、「お坊さん」や「和尚(おしょう)さん」、「住職」と呼ばれることもあります。ただし厳密には住職もお坊さんもそれぞれ異なるので、まずはその違いから整理していきましょう。
僧侶・和尚・住職さんの違い
僧侶
僧侶とは「出家」して仏道の修行に励む人々全般を指します。出家とは、俗世間での生活を捨て仏道の修行に励むことを指します。必ずしも世間と隔絶するわけではありませんが、一般的な生活とはかなり異なる生活を送ることになります。
そして僧侶は世間で「お坊さん」や「和尚さん」と呼ばれることもあります。つまり僧侶=お坊さん=和尚さんであり、住職も僧侶に含まれます。出家の方法や僧侶のなり方など、詳しいことは後に説明します。
和尚
和尚さんというのは僧侶の愛称です。ただ地域や宗派によって読み方が異なります。もっとも人口の多い禅宗や浄土宗では「おしょう」と読みますが、真言宗では「わじょう」と読み、「和上」と漢字を当てることもあります。
また、和尚さんは僧侶の中でも立派で周りから一人前だと認識されている人に対して使われるのが一般的です。和尚さんと呼ばれる僧侶は住職であることが非常に多いです。
住職
寺の維持・管理・運営などを担う僧侶の中でも代表的な存在です。基本的にはひとつの寺に住職は一人です。住職になることを目指して僧侶になる人も多くいます。
また、所属する僧侶が多かったり、規模の大きな寺には住職の他にも副住職や会計などの役割を持つ僧侶がいます。寺内で役職を持つ僧侶を「役僧」と呼びます。
僧侶の仕事内容
仕事内容としましたが、どちらかというと日々の過ごし方・生活や修行の内容といったほうが適切かと思います。
それでは、早速みていきましょう。
僧侶は何をして日々を過ごしている?
ここでは寺に住み込みで修行・生活をしている僧侶の生活について説明します。格式が高く規模の大きな寺でない限りは、寺に住んでいるのは住職とその家族のみになります。そのためまずは一般的な寺の住職の生活からみていきましょう。
住職(一般的な寺の場合)
皆さんは僧侶、お坊さんが普段どのような生活を送っているイメージを持っていますか?
早朝に起きて読経をしたり、瞑想をしたり、修行をしているイメージでしょうか。実際は住職になると、それほど修行はしません。早朝に起きますが、それは修行のためではなくて寺の門をあけるためというのがほとんどです。門を開けると二度寝することも珍しくありません。
住職は「寺のお留守番」であったり、「そこにいることが仕事」だといわれることもあります。これらは決して住職を揶揄しているわけではありません。寺の掃除や自身の修行以外のことに関しては全て受け身のシゴトになるのです。例えば参詣に来た人の対応をいつでもできるように寺の中にいる必要があります。
その中でも住職の最も重要なシゴトは葬儀や法要で読経を行うことです。故人の成仏を願い、先祖を供養するのです。葬儀の予約は以前は寺に電話を欠けることでしていましたが、近年はWeb上で予約できることが多くなっています。葬儀や法要は多くの人が仕事が休みの土日に多くあり、住職は土日が忙しいです。1年で最も忙しいのはお盆の時期になります。
葬儀はいつ入るかわからないものではありますが、法要は春や秋の彼岸、お盆に行われることが多く、忙しい時期となります。
大きな寺で住み込みの僧侶もいる寺の住職の場合は、僧侶たちの修行をみて時には説教をしたり指示をだすことも住職の生活の一部になります。
一般的な寺の住職は葬儀や法要のないときは常に寺にいて、掃除など寺の管理をしながら、参詣に来た人の対応や電話対応をして過ごしているとまとめることができます。
僧侶(寺に住み込み)
出家して俗世間から離れた寺に住む僧侶の生活は規則正しいものとなっています。朝は日が昇るのと同時に目覚め、夜は22時頃には消灯します。朝起きたらまず朝のお勤めを行います。仏さまに水やお花をお供えするのです。その後は読経の練習をして朝ごはんを食べます。僧侶は基本的に肉・魚は食べません。いわゆる精進料理というもので、主菜も副菜も野菜が中心になります。ご飯は玄米を使用することが多いです。
昼間は、中堅の僧侶であれば葬儀や通夜に参加することもあります。その他の僧侶は掃除をしたり、読経の練習をしたり、畑仕事をして過ごします。
夕食を食べた後は夜の読経を行い、身支度をして床に就きます。近年は就寝前の自由な時間にスマホアプリやゲームをする僧侶も多くいます。出家といっても完全に世間との関係を断ち切るわけではありません。
なり方
出家して修行を行うためにはまず「得度(とくど)」を行います。得度とは、仏の教えを信じ、仏の心を身に着けることを誓う儀式のことで、これを受けることで人は僧侶になることができます。得度の具体的な内容は、剃髪(ていはつ:頭の毛をそること)をして法衣(ほうえ)や袈裟(けさ)といった僧侶にとって必需品となる衣類を受け取ることです。この際衣服代が十数万円かかりますので用意が必要です。これは僧侶の師匠を見つけ、その師匠と共に行う儀式になります。その師匠は多くの人にとっては自身が修行を行う寺の僧侶になります。そのため出家して僧侶になることを決めたら始めにすることは、自分を受け入れてくれる寺を探すことになります。
寺が見つかったら、身の回りの整理をして出家することになります。それまで住んでいた家を出るにあたって、私物の整理や家族や友人には出家することを伝えましょう。一生会えなくなるわけではありませんが、しばらくは厳しい修行の日々が続きます。
修行の内容は仏教の宗派や寺によって異なります。一通りの修行を終えると一人前の僧侶として認められ、寺内で役職を持つようになったり、住職を目指すようになります。修行の終わりといっても、これはあくまで僧侶として生きていくための通過儀礼に過ぎません。実際は修行に終わりなどなく、住職になっても毎日が修行の日々です。
僧侶になろうと思えば誰でもなることができます。その他の職業のように資格や学歴が必要なく、採用試験もないからです。ただ、厳しい修行に耐えられず僧侶になることをあきらめる人もいます。強い精神力が必要になることは間違いありません。
収入
一般的な僧侶の場合、お勤め代という意味合いで給料が寺から支払われます。金額は寺によって大きく異なりますが、入門して最初の修行中には月1万円〜3万円ほどで、修行が終わり一人前と認められると10万円程になります。この金額は寺によって大きく異なるので、あまり参考にならないというのが正直なところです。働けば働くほど給料が増える仕組みがある寺もあれば、最低賃金で使い走りにされるような寺もあります。
安定した生活や収入も求めてシゴトとしての僧侶を選ぶことはおすすめできません。純粋に仏道に励みたいという人がやるべきシゴトです。
住職の場合は、これも寺によって異なりますが一般的な会社員と同程度の収入を得ている人がほとんどです。寺によっては住職の年収が1000万円を超えることもあります。
ちなみに寺の収入は主に檀家(だんか)から支払われる年会費と葬儀を行う際のお布施になります。お布施とは本来見返りを求めずに施されるものという意味でしたが、現代では、葬儀をしてもらった僧侶に謝礼として渡す金銭という意味で使われています。
檀家についてはこちらの記事をご覧ください。檀家とは?【Coeurlien】
僧侶の私生活
上記からわかるように、僧侶たちは長い時間修行に励み、常に何かしらのシゴトをしています。修行とシゴトに追われる日々ですが、休みが全くないわけではありません。毎日就寝前の時間は自由で、休日も週に1日程度あります。
現代はインターネットやスマートフォンの普及が進み、書類やお金までもが電子化しており、僧侶たちもネットと全く関わらないことはありません。ほとんどの人がスマートフォンを持っており、寺がネット上にホームページを作っていることも珍しくありません。そのため僧侶たちがスマートフォンでゲームをしたり、友人とメッセージのやり取りをすることも可能です。休みの日には外に出かけて恋人と会うこともあります。住職になると収入が増えて安定するので、結婚をしている人も多いです。
このように現代の僧侶たちはある程度世間と関わりながら生活を送っています。中にはメディアに出たり、YouTubeなどの媒体に動画をあげている僧侶もいます。
やりがい・魅力
・仏道に励み修行を行うことで、理想の自分に近づくことができること
・心も身体も鍛えられること
・日本文化に精通し、深くかかわって生活できること
・社会的に大きな役割のあるシゴトだということ
・多くの人に感謝されること
・一生修行をしていくこと
などが挙げられます。
つらいこと・大変なこと
・修行がきびしいこと
・自分の自由の時間が少ないこと
・給料が安く自由に使えるお金が少ないこと
・休みがほとんどないこと
などが挙げられます。
僧侶についてまとめました。
シゴト紹介として紹介していますが、若いうちにシゴトとして僧侶を選ぶことはあまりおすすめできません。仏教に強い関心があり、不自由な生活の中で仏道に一生を費やしていく覚悟を持っている人のみが僧侶になるべきだと思います。
今回の記事は以上で終了です。最後までお読みいただきありがとうございます。
参考にしたサイト
・キャリアガーデン
https://careergarden.jp/hoikushi/
・職業情報提供サイト(日本版O-NET)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/131
・クリアン
https://www.famille-kazokusou.com/magazine/manner/68
・円龍寺かっけいブログ
https://kaxtukei.com/monk-one-days-life-nichizyo
・イーアイデム
https://www.yoriso.com/sogi/article/souryo-shikaku/