今回はパン職人のシゴトについてまとめていきます。
仕事内容
パン職人はその名の通り「パンを作る職人」です。店で販売するパンを作ったり、新メニューの開発を行います。パンの作り方はパンによって異なりますが、基本的な工程は以下の通りです。
①材料を用意する
水や小麦粉、ドライイーストなどパン生地に必要なものを用意します。
②材料をこねてパン生地を作る
材料を混ぜ合わせてこねていきます。台に生地を叩きつけたりしながらこねていると、そのうち手にくっつかなくなります。その後は生地を伸ばしてまとめてという作業を繰り返します。
③一次発酵
まるめた生地をボウルなどに移してラップをかけて1時間以上放置します。乾燥させないようにラップを欠けておくのがポイントです。この発行によって生地の大きさが2倍以上に膨らみます。
④ベンチタイム
発酵させて膨らんだ生地の空気を抜きます。生地を平らに伸ばして空気を抜いた後、再び丸めてさらに15分ほど休ませます。
⑤成形
ベンチタイムが終わると、いよいよパンを焼く準備にとりかかります。パンの形を焼き上がりのイメージの形に整えます。パンの中にクリームをはさんだり、具材をのっけるのはこのタイミングになります。
⑥二次発酵
パンを焼く前、成形した生地をオーブンに入れ、再び発酵させます。30分〜40分で2倍弱の大きさに膨らみます。
⑦焼く
オーブンで生地を焼いてパンの完成です。
このパン作りは生地のこね方や発酵させる時間の調整などが未経験者にとっては非常に難しく、誰にでもできるものではありません。そのためパン屋にはパン作りのスペシャリストであるパン職人が必要なのです。
大きなパン屋の場合はホールスタッフがいて、パン職人がいて、経営者や店舗責任者がいますが、小さな個人の経営するパン屋の場合は、それらの役割を一人(あるいは二人、三人など少人数)で全て担うことになります。朝早く、店のオープン前にパンを焼き上げ、商品として並べ、開店後はレジ打ちをしたり、接客をします。閉店後は売れ残ったパンを回収し、店内を片付け、翌日の準備や仕込みを行うというハードなスケジュールになります。
パン屋の朝は非常に早いです。パンを発酵させるための時間もあり、焼き上がりまで時間がかかるので、オープンの時間と店の規模にもよりますが、朝4〜6時の間には準備を始めることになります。そのためもあってかパン屋の閉店時間はその他の飲食物を販売するお店よりも早い傾向にあります。17〜19時の間に閉店する店舗がほとんどです。
ホールスタッフやレジ打ちなどそれぞれの役職がある大きな店舗の場合は、パン職人はその日の分のパン作りが終わると勤務終了となり、閉店より前に帰宅することも多くありますが、個人店の場合はそうはいきません。働き方によって労働時間やその仕事量が大きく異なる職業だということができます。
なり方
パン職人になるための方法をいくつか紹介します。まず前提として必要なのはパンを作るための知識と技術になります。
独学で自分で情報を集め自宅で技術を身に着けていく方法もありますが、パン職人になる人の多くは専門学校で学びます。技術的なことはもちろん、開業のために必要な知識や経営についても学ぶことができます。卒業後はパン屋に就職したり自分で開業してパン屋を始める人が多いです。ただ、開業するとなるとそのための資金や「食品衛生管理者」などの資格取得といった準備が必要になるので、卒業してすぐに開業する人はわずかです。
パン屋への就職方法ですが、基本的にはパン屋の求人を探し、応募するやり方が基本になります。パン屋の採用試験や求人は大手のチェーンを除いて不定期です。個人経営のパン屋は規模が小さいため正社員の募集をしているケースはあまり多くありません。アルバイトや期間を限定した契約社員のような働き方はできても、正社員として長く働くことは難しいでしょう。専門学校によっては大手チェーンのパン屋とつながりがあり、学生の就職をサポートしてくれることもあります。
そもそもパン屋の求人は、正社員の場合はパン作りの経験や専門学校の卒業を条件とするところが多く、未経験者にはきびしいものとなっています。そのためパン職人になってパン屋で働きたいのであれば専門学校に通うのがおすすめです。高卒直後でなくとも、たとえば社会人向けの夜間スクールなどもあります。
厚生労働省の調査によるとパン職人の有効求人倍率は1.06倍となっています。これはパン職人として働きたい人100人につき求人が106件あることを意味します。ただ、東京都に限ると有効求人倍率は0.56倍となっています。
年収
令和二年に行われた『賃金構造基本統計調査』1によると、パン職人の正社員の平均年収は334万円となっています。民間企業の平均年収436万円2と比べると、低い水準であることがわかります。初任給は20万円ほどで、手取りは15〜17万円ほどが相場です。
東京に限ったパン職人の平均年収は382万円であり、地方によって差があることがわかります。
パン屋で働くアルバイトの時給は一般的なもので、900〜1100円の範囲に収まる店舗がほとんどです。
パン職人の1日
ここでパン職人(パン屋)の一日のスケジュールを見てみましょう。あくまで一例ですので参考程度に考えてください。(製菓とパンのおしごとパン屋さんの1日って?流れについて解説を参考にしています)
06:00 出勤
08:00 焼き上げやパンの陳列
09:00 開店
11:00 休憩
12:00 接客と焼き上げ
16:00 翌日の生地の仕込み
19:00 閉店
20:00 帰宅
パン屋の朝は早いです。開店よりもかなり早い4〜6時にはパン屋に行って、パン作りを始めます。前日に仕込んでいた生地があれば、その確認も行います。パンの焼き上げを行いつつ、焼きあがったパンを商品として並べていきます。パンを並べ終え、朝のミーティングやレジの確認などの準備をした後に開店します。
休憩の時間は日によって異なりますが、昼頃に交代で休憩を取っていきます。簡単な食事もこのときに済ませることが多いです。
夕方になりお客さんの数が落ち着いてきたら、翌日に焼くパンの生地の仕込みをしていきます。そうして時間がきたら閉店します。パンが売り切れた時は閉店時間より早く店を閉じます。
閉店後は片付けをして、売り上げの確認作業や掃除などの閉店作業をします。もろもろの作業が終わると帰宅します。
一日のパン屋の流れは以上です。一日中働くこともあれば、半日休みのこともあります。働く時間は企業のパン屋の正社員・アルバイト・個人店経営者などそれぞれ異なります。
やりがい・魅力
・自分の焼いたパンがお客さんに売れること
・パン作りが好きな人にとっては最高なシゴト
・新メニューの開発
・お店に人気が出るように試行錯誤すること
などが挙げられます。
つらいこと・大変なこと
・朝が早いこと
・労働時間が長いこと
・年収が高くないこと
・立ち仕事で労働時間が長いため体力的にハードなこと
などが挙げられます。
参考にしたサイト
・職業情報提供サイト(日本版O-NET)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/131
・スタンバイ
https://jp.stanby.com/contents/detail/panshokunin
・神戸女子大学
https://nyushi.kobe-wu.ac.jp/mag/feature/article-812/
・製菓とパンのおしごと
https://www.kobeseika.ac.jp/contents/boulanger/aday/
- https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html
- 国税庁 令和元年 民間給与実態統計調査を参照https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf