今回の記事は保育士の紹介です。
保育士というと、小さい頃にお世話になった人も多いかと思いますが、保育士がどんなシゴトをしていたかまでは思い出せないのではないでしょうか。また、保育園の先生と幼稚園の先生の違いがわからないという人もいるかもしれません。
今回は保育士に焦点を当ててシゴトの解説をしていきます。
仕事内容
保育士のシゴトは、「保護者に代わり子どもの世話をすること」です。
保育士は3歳から6歳を専門とする幼稚園教諭とは違い、0歳から6歳という幅広い子どもの世話をするシゴトになります。具体的にどのようなシゴトをするのか、簡単にまとめました。
子どもの世話
子どもは時に危険な行動を取ったり、体調の変化が激しい場合があるため、保育士は子どもの行動や体調を常に気にかける必要があります。
子どもが取りそうな行動を予測したり、微妙な変化を察する力が必要になります。特に言葉を発せられない乳児の場合は、より注意してみる必要があります。
年齢が高くなってくると、他の子どもと喧嘩をしたりすることも出てきます。その場合も大事にならないように目を配り、仲直りや人への謝り方など社会性を身に着けることに繋げていくことが大切です。
子どもの生活習慣の定着
多くの保育園では食事の仕方やうがい、歯磨きなど生活習慣を身に着けさせる工夫がされています。全てを保育士が手伝ってあげるのではなく、最終的には子ども自身ができるようになることが目標となります。
遊び
生活の中で1人遊び、集団での遊びなど様々な遊びの計画をすることや、子どもが自主的に遊ぶ機会を作ることも保育士のシゴトになります。
特に集団での遊びではそこから友達ができたり、相手の意見を聞いたりするなど、社会性を身に着けるためにも重要になります。
室内での遊びは「粘土」や「椅子取りゲーム」、「塗り絵」や「爆弾ゲーム」などがあります。室外の遊びは「鬼ごっこ」や「ドロケー」。「だるまさんが転んだ」やボールを使う「ドッジボール」などがあります。
行事
保育士は入園式や卒園式以外にも、運動会や発表会などの行事の計画を立て実施します。
事前準備、園児の指導、保護者への連絡通知、当日の運営までも行います。時には地域住民と連携して行事を行うこともあり、そういった場合は住民との調整も行う必要があります。
保護者のサポート
保護者に子どもの様子を報告することも保育士のシゴトです。保護者も自身がいないところで子どもがどう過ごしているのか、周りとどんな接し方をしているかを知ることは、子どもを深く理解することにつながります。
なり方
保育士になるためには、2つのステップを踏む必要があります。それぞれ見ていきましょう。
養成施設を卒業し保育士資格を取得する
保育士になるには、国家資格である「保育士資格」が必要となります。保育士資格は厚生労働省指定の養成施設を卒業すれば、無試験で取得することができます。指定の養成施設一覧はこちらです。https://www.mhlw.go.jp/content/000526901.pdf
大学を卒業せずとも「保育士国家試験」を受験し合格すれば保育士資格は取得できますが、合格率は10~15%と非常に低い数値になっています。
学校は短大や専門学校では2~3年、大学では4年であることがほとんどです。
2~3年の短大や専門学校は、「学費を軽くしたい」「早く現場に出たい」という方にはおすすめです。ただし期間が短い分、4年制の大学よりも授業が多かったり長期休みが短くなることは注意が必要です。
4年制の大学は「幼稚園教諭と保育士資格の両方を取りたい」「保育や福祉に関して深く学びたい」という人におすすめです。学費が高くなってしまうデメリットはありますが、国公立大学であれば2年制の短大と学費が変わらない場合もあるため、ひとまず国公立大学を目指す、ということも視野に入れるとよいでしょう。
保育士として就職する
保育士は指定の学校を卒業すれば資格は手に入りますが、就職試験を受ける必要はあります。
保育士の就職活動は最終学年になる直前の3月頃から求人の情報が少しずつ出始めます。多くの学生がこの時期から就職活動を意識し始めます。
6月になると多くの学校で保育実習が始まりますが、同時にエントリーが始まる保育園も出てきます。そして8月頃から選考活動が本格化し、9~12月に内定をもらう学生が多いです。
では勤務先はどのように決めたらよいのでしょうか。保育士の勤務先は主に4つに分けられます。
・保育園
・病院
・児童福祉施設
・企業内保育士
以上です。それぞれみていきましょう。
保育園
ほとんどの保育士は保育園で働いています。保育園では前述のように0~6歳までの子どもを預かり保育するシゴトをします。ちなみに保育園には私立保育園と公立保育園があり、公立保育園は公務員の保育士によって運営されている場合が多いです。
保育園で働く保育士は、子どもの身の回りの世話、教育、運営業務、調整業務など多くのシゴトに従事します。
病院
病院で入院している子どもの世話をする保育士もいます。
ここでは保育園と同じような身の回りの世話をしながらも、怪我や病気の子どもを保育する意識を持つことが大切です。
例えば一般の保育園よりもさらに子どもの体調を把握したり、病気や怪我の子ども達がストレスをなるべく感じないような遊びをしたりといった配慮が求められます。
児童福祉施設
代表的な児童福祉施設には「児童養護施設」、「児童相談所の保育所」、「母子生活支援施設」などがあります。
もしも公務員として保育士になりたいと考えている人は、こういった施設でシゴトをする可能性もあります。もちろん民間も運営しているため、公務員でないと働けないというわけではありません(児童相談所は公務員の保育士のみ)。
こういった福祉施設は、様々な事情を抱えた子どもが多くなっています。それは社会的事情である場合もあれば、身体的、精神的事情である場合もあります。福祉施設で働く保育士は、こういった多様な子ども達に対応して保育していくという難しさがあります。
企業内保育所
企業内保育所とは、企業の中に併設された保育所のことで、利用者は社員とその子どもたちです。
企業内保育所は規模が小さいことが多く、運動会や旅行などの大きなイベントがない場合もあります。ですが規模が小さい分、保育士と子どもがゆっくり関われますし、何かあった際にすぐ企業内にいる親に連絡を取れることも企業内保育所の良い点です。
保育士の年収
『令和2年賃金構造基本統計調査1』によると、保育士の平均年収は374.5万円です。これは、全国の労働者の平均年収436万円2より約60万円低くなっています。
また、公務員保育士か民間の保育士かによっても給与が変わってきます。『令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果3』によると、確かに一般保育士の場合公務員と民間で大きな差はありません。
ですが主任保育士になると公務員だと平均56万円であるのに対し民間では平均42万、施設長では公務員平均63万、民間平均56.5万と、どちらも公務員の方が高い結果になっています、特に主任保育士の場合、平均月額に約14万円もの差があります。
また、退職金の設定が不明瞭な民間に対して、公務員では人事院が定めた表に従って退職金が支給されます。
あくまで年収や退職金の面だけで考えると、公務員の保育士には大きなメリットがあるといえます。
男女比
『令和2年度保育士登録者数4』によると、男性の保育士登録者数は82,330人、女性は1,583,219人の合計1,665,549人となっています。男女比でいうと、男性が約5%、女性が95%と圧倒的に女性が多い職業になっています。平成27年の調査では男性が59,225人だったことを考えると男性保育士も増えてきてはいますが、まだまだ少数となっています。
スケジュール例
保育士は早い場合は6時に出勤し、遅くとも21時には退勤となることがほとんどです。もちろんこの時間全て働くわけではなく、日によって早番、遅番などのシフトに分かれています。例えば「お泊り保育」などの行事がある際は1泊することもありますが、年に1~2回程度で、基本的には夜勤はありません。
ここでは、一般的な保育園に勤務する保育士の1日を紹介します。
6:00 出勤・引継ぎ確認・ミーティング
7:00 子どもたちの出迎え
8:00 朝の会
8:30 クラスごとの遊びや、簡単な読み書き
11:30 給食準備
12:00 給食
13:00 昼寝・事務作業
15:00 レクリエーション・おやつ
16:00 引継ぎ・退勤
求人・就職情報・需要
保育士の令和2年度の有効求人倍率は2.86倍と、非常に高い数値になっています。これは保育士になりたい求職者1人に対して、約3件の求人が存在していることを表します。
2000年代から問題視されていた待機児童問題は年々減少し、令和2年には1万2439人まで待機児童が減りました。ですが有効求人倍率をみるとまだまだ保育士の数は足りず、保育園が人手不足の状態にあり、保育士の需要は変わらず高いことが窺えます。
やりがい・魅力
保育士のシゴトの魅力は、小さな子供の成長に関わっていけることです。
幼稚園では3歳から預かるのに対し、保育園では0歳から子どもを預かり、長い子は小学校入学まで保育園に通います。
赤ちゃんの頃から世話をしていた子どもが成長し、読み書きや運動ができるようになる姿を見れることは、子どもが好きな人にとっては大きなやりがいを感じることができるでしょう。
つらいこと・大変なこと
保育士の大変なところは、業界全体が人手不足に陥っている点です。
子どもは1人育てるだけでも大変だといわれますが、大勢になると尚更です。子ども自体は大好きな人でも、人手不足の影響で業務に追われ、子どもの体調の変化や行動を見落としてしまうことは考えられます。そういった多くの業務とプレッシャーと戦っていかなければならないことは保育士のつらいことといえます。
このつらさは職場次第ということもありますが、業界全体が人手不足になっていることは認識しておいたほうが良いでしょう。
今回の記事はこれで終わりです。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう。
参考にしたサイト
『キャリアガーデン』
https://careergarden.jp/hoikushi/
『職業情報提供サイト(日本版O-NET)』
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/131
『13歳のハローワーク』
https://www.13hw.com/jobcontent/05_05_12.html
『厚生労働省 保育士の現状と主な取組』
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000661531.pdf
『令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果』
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/data/pdf/chousa/kekka.pdf
- https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html
- 令和元年 民間給与実態統計調査を参照https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf
- https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/data/pdf/chousa/kekka.pdf
- https://www.mhlw.go.jp/content/000656131.pdf