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【車掌】車掌の仕事やなり方をわかりやすく解説‐シゴトニンラボ

車掌とは

車掌とは、電車やバスの乗務員のことを指します。勘違いされやすいところですが、車掌は運転手ではありません。電車が安全に走れるよう運転手のサポートをしたり、次に止まる駅のアナウンスをするのが車掌の役割です。

広辞苑には「電車などの中で、旅客・荷物の取り扱い、運転に関する事務を行う者」とありますね。さっそく仕事内容について見ていきましょう。

仕事内容

車掌の業務はいくつかありますが、一番の役割は乗客を安全に目的地に届けることです。安全第一という前提で、時間を守って電車の運行をすることも重要な役割の一つです。1分のずれも起きないように、ラッシュ時には乗客がスムーズに乗り降りできるよう案内したり指示を出します。その結果日本の電車は海外と比較すると非常に正確な時間で運行されています。

それでは細かい仕事内容を見ていきましょう。

車内放送

次に止まる駅のアナウンスをするのは運転手ではなく車掌のシゴトです。また、電車の遅延や一時停止のアナウンスも車掌の役割です。基本的に運転士はアナウンスをしません。ちなみに運転手は電車の1番前の車両にいますが、車掌は一番後ろの車両にいます。ひとつの電車に車掌は一人というのが基本です。

ドアの開け閉め

電車のドア(ホームドア)の開閉も車掌のシゴトです。乗客が乗り降りしたのを確認したら、駆け込み乗車に注意しながらドアを閉めます。その際「かけこみ乗車はおやめください」などのアナウンスをすることもあります。

安全確認

電車が出発するとき、到着するときの安全確認を行います。万が一危険を察知した場合は車掌が乗る場所にもある非常ブレーキで電車を停止させます。駅を利用する人が多い朝の時間帯や帰宅時、酔っ払い客が増える深夜帯は特に注意が必要になります。

トラブル対応

乗客同士のトラブルや急病人が出たときに対応します。運転士や止まっている駅の駅員と連絡を取り合い、スムーズに対応します。体調不良の乗客を担架で運ぶ様子を見たことある人は多いのではないでしょうか。

切符の確認

新幹線や地方に出ている特急列車などでは車掌が車内で切符の確認をします。乗客が持っているのが有効な切符か(キセル1などの不正がないか)、指定席の場合は座っている座席が間違いではないかなどを確認します。

以上が基本的な車掌の業務です。その他にも落とし物などのとっさの対応や遅延時の乗客の整理など、車掌のやることはありますが、基本の業務は以上です。

また、近年は「ワンマン・カー」と呼ばれる、運転士一人での電車の運行も増えています。また駅内の案内の自動化も進んでおり、車掌の役割やシゴトは今後見直されていくでしょう。

車掌のなり方

車掌になるために特別な資格や学歴は必要ありません。鉄道会社に就職して、駅員を経験した後に車掌になる方法がほとんどです。鉄道会社はどこも人気があるので、しっかりと対策して採用試験に臨みましょう。

流れとしては以下のルートです。

 

高校卒業

(専門・短大・大学入学・卒業)

鉄道会社採用

駅員として勤務

車掌

 

専門や大卒で採用試験を受ける人が多いですが、高卒者の採用枠がないわけではありません。鉄道会社に入社したら最初は一般の駅員として勤務します。数年の経験を積むと、希望者は社内の車掌になるための試験を受けることができるようになります。

会社によって異なりますが、年に1回か2回試験を行うところが多いです。筆記試験と適性検査によって結果を出します。

試験に合格したら2〜4か月の研修を受け、車掌として電車に乗るようになります。

車掌として働く人は30代40代が多いですが、20代で車掌になる人も少なからずいます。

年収

鉄道会社社員の給料は役職や年齢によってことなります。駅員として数年以上勤務しなければ車掌にはなれないので、車掌になる頃には給料も上がっています。つまり他の駅員よりは給料が高いです。令和2年の賃金構造基本統計調査2によると車掌の平均年収は603万円です。民間企業の平均年収436万円3と比べると高い水準になっています。

車掌は電車の運行とともにするシゴトです。終電に乗ったあと仮眠をとって始発に乗るような夜勤があり、夜勤が多いと給料が上がる傾向にあります。

また、鉄道会社の規模によっても給料は変わります。大手であればあるほど年収は高い傾向にあります。

男女比

鉄道業界はもともと女性が非常に少ない世界です。1987年の国鉄分割民営化によって、それまで国が運営していた鉄道を民間で運営するようになりました。当時女性は鉄道業界全体の1%未満でしたが、現在は15%ほどに増えています。運転士になる女性も車掌になる女性も増え続けています。

スケジュール例

日勤の場合(昼間)

08:20 出社

09:00 乗務

11:30 休憩

12:00 乗務

13:30 休憩

14:00 乗務

17:00 乗務終了

18:00 帰宅

 

最初の乗務の30分以上前には出社してその日のスケジュールを確認します。基本的に一回乗務をこなして、次の乗務まで休憩するという流れを退勤まで繰り返します。食事は持っていったり買ったりして間に済ませます。駅によっては社員食堂があります。

トラブルがない限りは残業などはなく変えることができます。

夜勤の場合

17:00 出社

18:00 乗務

20:30 休憩

21:00 乗務

24:00 終電乗務

01:00 仮眠

04:00 起床

04:30 始発乗務

07:00 乗務終了

08:00 退社

夕方頃に出社します。日勤の人たちと交代し、終電まで乗務と休憩を繰り返します。終電の際にはホームで寝ている人を起こし、忘れ物がないかチェックします。終電の乗務が終わると仮眠室で仮眠をとります。男女別で部屋があるので女性も安心です。

起床したら始発乗務の準備をします。始発前は電車の点検を行います。日勤の人が来る朝7時頃まで乗務をこなし、勤務終了です。

1か月で日勤と夜勤、休みを繰り返す場合もあれば、日勤のみ、夜勤のみの月もあります。日勤と夜勤の繰り返しは体力的にきついこともあります。体調管理が大事になってくるシゴトです。

やりがい・魅力

車掌というのは電車の安全を守る、つまり乗客の安全を守るシゴトです。大げさな言い方かもしれませんが、多くの人の命を預かるという大きな責任感があります。責任感のある人にとってはやりがいのあるシゴトです。

また、電車が好きだという人にとっては好きなことに携わることができるシゴトという魅力があります。アナウンスやドアの開け閉めにあこがれる人は少なからずいるでしょう。

車掌は収入面で他の民間企業を上回っているので、忙しいですが安定した生活を送ることができるでしょう。

大変なこと・つらいこと

車掌と運転士は勤務時間が長く、不規則であることから体力面でつらいという意見が多いです。特に夜勤の場合は仮眠が取れるとはいえ拘束時間が非常に長いため、肉体的にも精神的にも疲労します。そのうえ責任のある業務内容から、さらにプレッシャーがかかります。

重大なシゴトを毎日続け、時間を守り無事故の日々が続いたとしても、それが「当たり前」とされ、台風などで電車が止まると非難を浴びてしまうことがあります。毎日の当たり前をつくっていることを評価されないことは駅員にとってはつらいことです。

 

以上で車掌の記事は終了です。最後まで読んでくださりありがとうございました。

また次の記事でお会いしましょう。

参考にしたサイト

『キャリアガーデン』

https://careergarden.jp/shakaihokenroumushi/

『職業情報提供サイト(日本版O-NET)』

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/83

『スタディサプリ進路』

https://shingakunet.com/bunnya/w0001/x0026/

『13歳のハローワーク』

https://shingakunet.com/bunnya/w0001/x0026/

『JR東日本』

https://www.jreast.co.jp/recruit/works/w01ex.html

  1. 不正乗車のこと
  2. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html
  3. 令和元年 民間給与実態統計調査を参照https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf