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自衛官の給料・階級・仕事内容などを解説‐シゴトニンラボ

自衛官とは

自衛官とは、自衛隊の構成員ですが、自衛隊について皆さんはどれくらい知っていますか?

実は自衛隊は国家公務員特別職であり、中央省庁である防衛省の特別機関なのです。自衛官は必ず「陸上自衛隊」「海上自衛隊」「航空自衛隊」のいずれかに所属します。自衛隊を動かす権利を持っているのは防衛大臣ではなく内閣総理大臣です。

まず始めに、自衛官の仕事内容について解説していこうと思います。

自衛官の仕事内容

まず、自衛隊の役割について簡単に説明します。自衛隊は1954年に、日本の国土と民を守るために組織されました。前身となる警察予備隊が組織されたのは朝鮮戦争が行われていた1950年です。現在日本は戦争状態ではありませんが、有事の際にはいつでも動けるよう日々訓練をしています。

自衛隊の仕事内容は主に3つに分けられます。「日本国の防衛」「災害時の救助活動」「国際平和活動の維持」です。それぞれ解説します。

日本国の防衛

日本の国民、領土、領海、領空を外部の侵略から守ることが自衛隊の本来業務のひとつです。実際に外部から侵略される、ということは日常的に起こるものではないので、有事の際に迅速な対応が取れるよう日々訓練するのです。

周囲を海で囲まれた日本の場合、まずは海と空からの侵入への警戒監視と阻止に努めます。そして実際に侵略や攻撃を受けるような事態が発生した場合、国民を守るための自衛力を行使することが自衛官の任務です。

近年、テロ組織も脅威であり、核、生物・化学兵器などあらゆる事態への備えが求められています。例えば、地下鉄サリン事件の際に自衛隊が動いています。また、石油やガスなどの資源が乏しい日本にとって、それらを調達する海上ルートの安全確保も自衛官の重要な任務となります。

災害時の救助活動

地震や火山噴火といった自然災害や火災、航空機事故などが発生した際、都道府県知事などの要請に基づき、自衛隊は国民の生命や財産の保護を目的に災害派遣を行います。捜索救助、医療、防疫、給水、炊き出しや入浴設備の提供などを行います。近年では東日本大震災や熊本地震の際に救助活動を行っていましたね。

また、日本国内だけでなく、海外で災害が起きたときにも自衛隊は救援活動を行っています。

国際平和活動の維持

日本国内の活動のみならず、難民の救援活動に参加したり、医療技術の発達していない国でケガや病気の治療を行ったりして、他国の国民が安定した暮らしを送れるよう支援活動も行っています。そのため防衛省では外国語に特化した能力を持つ専門職の採用を行っています。

基本的には以上の3つが自衛官の業務です。自衛隊の管理や技術開発、その他の様々な調整を行うのは自衛官のごく一部と防衛省の事務員たちです。

それでは、自衛官として働く人にはどのような配属があるのでしょうか。

自衛官の種類

自衛官は「一般曹候補生」「自衛官候補生」に分かれます。両者はまったく異なる存在で、採用試験も異なります。その違いについて説明します。

一般曹候補生について

18歳以上27歳未満の者を対象に、陸上、海上、航空各自衛隊の部隊勤務を通じて、その基幹隊員となる陸・海・空曹自衛官を養成する制度で、自衛隊の曹となる自衛官を養成します。

「曹」というのは自衛官の階級の一つです。現場に出る自衛官の80%以上がこの「曹」と、最も人数の多い下の階級である「士」で占められます。一般曹候補生も入隊後2年9か月は「士」ですが、その後「曹」の最下位である「三曹」に上がります。

自衛官候補生と最も異なるのは、一般曹候補生は終身雇用であるということですそのため将来が安定しています。曹に上がった後もさらに上の幹部に上がるための試験も用意されており、出世していくことが可能です。

自衛官候補生について

自衛官候補生は試験合格後に最低限の教育を受けると、任期制自衛官になります。任期制自衛官とは、陸上自衛官は1年9ヶ月(一部技術系は2年9ヶ月)、海上・航空自衛官は2年9ヶ月を1任期(2任期目 以降は各2年)として勤務する隊員のことです。教育訓練を受けた後に各部隊・基地等に配属されます。約9ヶ月後、1等陸・海・空士に昇任し、さらに1年後、陸・海・空士長に昇任します。

任期が満了すると退職となり、退職金とともに再就職の支援を受けることができます。また任期を継続することもでき、その間に昇任試験を受けることも可能です。

“チホン”のポスター|自衛官募集ホームページ より引用

自衛官の配属

自衛官は「陸上自衛隊」「海上自衛隊」「航空自衛隊」のいずれかに所属することになります。陸上自衛隊が約14万人、海上自衛隊が約4万人、航空自衛隊が約4万人います。

自衛隊と言っても、全員が全員戦闘部隊として活動するわけではありません。ひとつの隊の中にたくさんの職種があります。非戦闘部隊の職種は様々で、例えば陸上自衛隊には「情報科」「施設科」「通信科」「武器科」「需品科」「輸送科」などがあり、情報や施設面で戦闘部隊をバックアップしています。

自衛官のなり方

先述したとおり自衛官にはたくさんの職種があります。それぞれ採用試験の内容が異なるので、自分のなりたい職種の試験対策をして、受けるようにしましょう。

本記事では多くの人が受験する「一般曹候補生」「自衛官候補生」の試験について紹介します。

一般曹候補生試験

受験資格

日本国籍を所有する18歳以上33歳未満の者。

学歴や資格、身体的な条件はありません。

試験内容

1次:筆記試験及び適性試験 

2次:口述試験及び身体試験

筆記試験の内容は高校卒業程度の国語数学英語と作文の問題があります。

また、2次の身体検査の合格基準に関してはこちらをご覧ください。身体検査の合格基準の一部変更に関するお知らせ

募集期間

年に2回試験が行われています。令和3年の募集は以下の日程でした。

【第1回】

令和3年3月1日(月)~5月11日(火)

【第2回】

令和3年7月1日(木)~9月6日(月)

試験日程

毎年同じ時期に試験は行われています。令和3年は以下の日程でした。

【第1回】

1次 令和3年5月21日(金)~30日(日)

2次 令和3年6月18日(金)~7月4日(日)

【第2回】

1次 令和3年9月16日(木)~19日(日)

2次 令和3年10月9日(土)~24日(日)

合格率

曹候補生試験の難易度は高く、合格率は例年25%程です。300人の定員に対して数千人が受験します。

自衛官候補生試験

受験資格

日本国籍を所有する18歳以上33歳未満の者。

学歴や資格、身体的な条件はありません。

試験内容

試験は1日にまとめて行います。

筆記試験、口述試験、適性検査、身体検査及び経歴評定です。

経歴評定とは、多様な経歴を有する受験者の能力を総合的に評価するものです。

筆記試験は中学卒業程度の難易度ですが、近年高校卒業程度まで難易度を上げようとする計画があります。

募集期間・試験日程

年中いつでも募集を行っています。近くの地方協力本部に連絡してください。

募集した日によって日程が決められます。

合格後の入隊時期も、試験日程によって決まります。

合格率

合格率は25%程で狭き門となっています。

「一般曹候補生試験」と「自衛官候補生試験」の試験概要は以上です。どちらも、合格すると入隊のための資料が送られてきます。必要書類を記入して提出し、入隊予定日を待つのみになります。

その他の方法・試験

その他には中卒者向けの高等工科学校生徒や、大卒で幹部候補を目指す防衛大学校学生、医療後術を使う医科・歯科幹部自衛官など、自衛官になるための様々なルート、職種があります。防衛省ホームページ防衛省・自衛隊をご覧ください。

自衛官の休日

自衛官は地方公務員のため、基本的には土日祝日は休みになります。ただ、有事の際には休むことなく活動に励みます。その後は代休といったかたちで平日が何日か休みになります。また、自分が病気になった時や親の介護、結婚式など様々な場面で可能な限りですが休みを取ることができます。

意外かもしれませんが、休暇を取るということに関しては比較的恵まれたシゴトです。

自衛官の年収

自衛官の給料はその他の公務員と比べても高い水準です。初任給は低いですが、確実に昇給していきます。全年代の平均月収は40万円で、賞与は年2回、合わせて150万円ほどあります。退職金も充実しているので、給料に関しては非常に安定したシゴトと言えます。

男女比

現在女性の自衛官は1万7千人おり、全体の7%程です。自衛官はたくさんの職種があり、育休や産休の制度が充実しているため、女性も働きやすいシゴトです。年々女性の自衛官は増えています。

やりがい魅力

・国を守るという重大なシゴトであること

・災害時など有事のさいに人々を助けること

・人々から信頼され頼りにされること

・仲間とともに心身を鍛えることができる

などが挙げられます。

大変なこと・つらいこと

・厳しい日々のトレーニング

・心身ともに鍛えなければならない点

・階級が細かくわかれていて上下関係が厳しい点

・休みを自由に取れないこともある点

などが挙げられます。

参考にしたサイト

・職業情報提供サイト(日本版O-NET)

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/131

・スタディサプリ進路

https://shingakunet.com/bunnya/w0031/x0401/sigotonaiyo/

・13歳のハローワーク

https://www.13hw.com/jobcontent/05_05_12.html

・防衛省ホームページ

https://www.mod.go.jp/