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警察官の年収・なり方・仕事内容などを解説‐シゴトニンラボ

皆さんは警察官に対してどのようなイメージを持っていますか?

優しいお巡りさんや市民の味方、はたまたお堅いイメージでしょうか。

ポジティブなイメージ、ネガティブなイメージどちらもあると思います。

私は以前財布を落としてしまい交番に相談に行きました。その際の警察官の方の丁寧で親身な対応がとても印象に残っています。まさに市民、正義の味方だと感じました。

この記事ではそんな警察官のシゴトを深掘りし、まとめていきたいと思います。

警察官の仕事内容

警察官は国民の安全を守り、社会の治安を維持する公務員です。

その職種は細かく分かれていますが、主なものは以下の5つです。

・地域警察

具体的なシゴトは管轄内のパトロール、遺失・拾得届の受理、交通案内、防犯活動であり、普段の生活の中で最も関わりのある警察官です。我々が日々接する交番のおまわりさんの多くはここに属します。また各地域で発生した事件・事故の捜査を行い、事件現場の保存や救助活動を行います。地域の安全を守るのに重要な役目を果たしています。

・交通警察

いわゆる「白バイ警察」です。交通事故をなくすことが目的で、安全指導や取り締まり、検問などを行っています。その他交通整理などを請け負っています。交通事故が起きた際に捜査の中心になったり、学校・保育園・幼稚園へ交通安全指導に行ったりするのも交通警察の大事な業務。交通規制や暴走族対策などの仕事もあります。

・刑事警察

犯罪を捜査し、犯人を検挙して事件を解決することが目的です。犯罪捜査は、現場検証、聞き込みや証拠集め、張り込みや取り調べ、逮捕全てのことを指します。テレビドラマなどで事件を解決している刑事はこれにあたります。実際の刑事に華やかさはなく、地道な作業の繰り返しです。最も忙しい部署の一つでありながら、最も人気の部署です。

・生活安全課

少年犯罪の捜査や地域のパトロール、サイバー犯罪やDV被害など身近の犯罪にあたっているのが生活安全課です。最も幅の広い業務に取り組んでいるのがこの部門です。ネットの不正アクセスや日々手口が新しくなる詐欺の対応をしており、時代の先端をゆく部門になります。

・総務・警務

街の交番に勤めるお巡りさんと異なり、警察本部で運営や企画、広報や予算管理を行います。警察官をサポートする重要なシゴトで、総務・警務に勤める多くは事務官吏です。警察の事務員になるには「警察事務職員採用試験」に合格する必要があります。これは警察官とは全く別の試験です。

勤務時間は各部門や配属先によって異なりますが、交番勤務の場合は昼番、夜番、24時間番など不規則で長時間の場合が多いです。

また、警察という組織は非常に上下関係が厳しいという特徴があります。これは武力のシビリアンコントロールの徹底や緊急事態の時に上司の指示でスムーズに動けるようにするためです。

警察官のなり方

警察官になるためには警察官採用試験または国家公務員試験に合格する必要があります。前者は一般的な警察官になる「ノンキャリア警官」、後者は国家公務員である「キャリア警官」になります。キャリア警官は法律の整備や地方警察の監査業務などのデスクワークが中心で、仕事内容が異なります。いわゆる管理職であり、給料はノンキャリ警官よりも高くなります。ノンキャリ警官の毎年の採用が1万5千人程度であるのに対してキャリア警官は10人程です。

試験内容や受験資格がそれぞれ異なり、キャリア警官になるには大卒以上の学歴が必要になります。試験については後に説明します。

試験に合格した者は全員が全寮制の警察学校で学び、各都道府県の自治体へ配属されることで警察官になります。警察官になる条件として、「高校を卒業していること」があります。高校を卒業していればそれ以上の学歴は必要ありませんが、試験では大学卒業レベルの知識が必要になります。その他に多くの自治体では「21歳以上30歳未満であること」や「業務に支障のないこと」という身体的な条件が必要です。これらを踏まえて警察官になるための最も一般的なルートは以下です。

高校を卒業する

(大学、短大を卒業する)

試験を受ける

警察学校を卒業する

各自治体へ配属

警察試験

ここでは一般的な警察官になるための「警察官採用試験」についてまとめます。警察官になるための試験は公務員試験であるため、東京都の警察庁志望の場合は東京都の試験を、千葉県の警察官を目指すのであれば千葉県の試験を受験する必要があります。

警察官の採用試験では「教養試験」「論文試験(作文試験)」「体力検査」「適正試験」「面接試験」といった試験が実施されます。高卒者向け試験、大卒者向け試験どちらも試験科目は同じです。自治体によって内容は様々ですが、たいていの場合これらの中から組み合わせて出題されます。それぞれ見ていきましょう。

・教養試験

教養試験は5つの選択肢から正しいもの、または間違っているものを選ぶ「五肢択一式」で行われます。すべての自治体で実施され、一定以上の得点を取れないと二次試験に進むことができません。出題される科目は以下のとおりです。

【一般知能分野】

・文章理解(現代文・古文・英文)

・判断推理

・数的推理(数的処理・判断推理)

・資料解釈

【一般知識分野】

<社会科学>

政治、経済、社会、法律

<人文科学>

日本史、世界史、地理、思想、文学・芸術

<自然科学>数学、物理、化学、生物、地学英語(警視庁のみ)

・論文試験

論文試験(作文試験)は課題に対する思考力、表現力、文章構成力などの試験を見るための試験であり、主に警察官としての心構えや、治安・犯罪の現状に対する認識、犯罪に対する意見などについて論述します。

時間は60〜120分、字数は800〜1200字程度という形が一般的です。

例えば以下のような問題が出題されました。

〈警察官に求められる倫理観とは〉    平成25年度 群馬県警察官

〈都民が警視庁に期待することについて述べ、警視庁警察官を志す者として、その期待にどのように応えていくか具体的に述べなさい。〉    平成22年度 警視庁

・体力テスト

内容としては垂直跳びや立ち幅跳び、握力、腕立て伏せ、上体起こし(腹筋)、反復横跳び、持久走、シャトルラン、バービーテスト(起立状態から両手足を伸ばして四つん這いになり、再び起立状態に戻る動作を繰り返すもの)など種目は様々であり、これらの中から6種目行うのが一般的です。

実際に犯人を捕まえることもある警察官には最低限の体力が求められます。日ごろから体力を落とさないようにすることが求められます。

・適性検査

警察官に適性があるかどうかをチェックする試験です。論文試験などのほかの試験と異なり、合否にはほとんど関係しません。クレペリン検査やY−G式性格検査が一般的です。

・クレペリン検査・・・たくさん並んだ1桁の数字の隣り合う数字をその答えの1の位に答えていくというものです。たとえば、「2 + 7 + 6=15」となる場合は15の一の位である「5」が答えとなります。これにより作業の能率や正確性を計ります。

・Y−G式性格検査・・・自分の性格や行動に関する120項目の質問に「はい」「いいえ」「わかりません」のいずれかで答えるものです。似たような試験を受けたことも多いかと思いますが、これにより大まかな性格の特性の分類を行います。

・面接試験

上記の教養問題や論文試験後に、二次試験というカタチで面接を行うところが多いです。面接は集団面接、個人面接、グループディスカッション、のいずれか、または組み合わせによって行われます。

試験はいつ行われる?

警察試験は「警視庁」「5月型県警」「7月型県警」に分類されます。

・警視庁

警視庁は年に3回、4月、9月、1月に試験を行います。年に3回試験を行いますが、8~9割が4月の試験で採用されるので、最初の4月試験が一番の勝負になります。

・5月型県警

これは千葉や埼玉など、関東圏の県警や大阪、兵庫といった関西圏の試験です。5月に筆記試験を行い、そこから7月までの間に二次試験である面接試験が行われます。年に2回試験を行う県が多く、多くの場合2回目は9月に行われます。

・7月型県警

東北や九州など、5月以外の県です。年に1回、7月に試験が行われます。

これらの試験はいずれも日程が被らない限りは併願可能です。日程が嚙み合えば、警視庁1回目〜5月県警〜7月県警〜警視庁2回目、5月県警2回目〜警視庁3回目というように年6回試験を受けることが可能です。

警察官の配属先

警察学校を卒業すると「卒業配置」といい、各都道府県の管轄警察署に配属されます。学校での成績順に都市部の重要警察署に配属されますが、卒業配置後の任務内容は全員同じです。まずは地域課(地域警察)に所属して交番のお巡りさんからのスタートです。

その後、刑事・交通・生活安全などの各部署を回って経験を積むこともあります。卒業配置後の勤務は約8か月。その後再び警察学校で総括的な学習を行い、再度卒業配置時の警察署に戻って、ようやく1人前の警察官になるのです。ここで1年から2年ほど交番勤務を続けた後、それぞれの道へと進んでいきます。

警察官の年収

令和元年に行われた国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均年収は436万円です。給与所得者とは、労働によって給料を得るすべての人を指し、アルバイトや非正規雇用者も含みます。

警察官の平均年収は約700万円です1危ないシーンに巻き込まれてしまうこともある職業ですからある種当たり前かもしれません。ですがここで注意しておきたいのが警察官の給与は採用区分や地域、年齢や階級によって大きく変わるということです。

初任給の給料が約21〜25万円で、階級が上がって行くにつれ基本給も上がっていきます。公務員であるがゆえに給料が正当に上がりやすいです。

初任給の差は受けた試験の種類によって変わります。大卒のⅰ類、短大卒のⅱ類、高卒のⅢ類の3種類です。ただ、違いがあるのは初任給のみであり、以後は階級によって給与が変わります。階級を上げるための昇任試験はⅢ類合格者よりもⅰ類合格者のほうが早く受けることができます。そのため大学卒業者のほうが出世しやすく、年収も高くなりやすいといえます。

男女比

平成16年度までは女性の割合は5%未満でした。以降女性の占める割合は増える一方であり、現在警視庁では警察職員46,581人(2020年1月1日)のうち女性は4332人であり、その割合は9.3%です。その他の道府県警察も同様であり、業界全体の男女比は男:女=9:1といえます。

学歴

警察官になるためには高卒以上の学歴が必要です。実際警察庁の約5人に一人が高卒者です。高卒の警察官は早くから現場に出て経験を積めるというメリットがありますが、一方で出世が遅いというデメリットがあります。出世を目指すのであれば、大学卒業を目指すべきです。

また、キャリア警官を目指すなら大卒以上の学歴が必要になります。

資格

都道府県によっては、持っていると一次試験で加点される資格があります。

例えば「簿記検定二級」、「TOEIC600点以上」、「柔道・剣道2段以上」、「運転免許証」などです。繰り返しますが、都道府県によって異なり、加点がない県もあります。あくまで参考程度です。

独学でなれるのか

独学でもなれますが、お金を出して予備校に行くほうがよいです。予備校はお金はかかりますが、講師や教材、授業など合格するための環境が揃っています。効率よく合格のための学習ができるという点が独学と比べて圧倒的に優れています。

とはいえ警察試験は公務員試験の中では、独学でも合格しやすい試験です。問題集を購入し、抜かりなく対策をすれば誰でも合格地点に届きます。実際独学で合格する者も一定程度います。予備校に通わない、通えないからといってあきらめる必要はありません。

スケジュール例

交番勤務(昼番)の場合

8:00 出社 朝礼や準備をする

8:30 夜番の人と交代する

12:00 昼食

13:00 交番に戻る

17:00 巡回、パトロール

20:00 日報の作成(報告書)

20:30 勤務終了 夜番と交代

 

基本的には訪問者への対応、書類の作成やパトロールをしています。

昼食とありますが、事件や事故の対応で決まった時間に食事がとれるとは限らず、食事を取れないことも多いそうです。また、決まった時間に帰れず残業や、帰宅した後に仕事をすることもあるそうです。

シゴトニンTVの未来図

かつては女性警官と男性警官によって業務内容が異なっていましたが現在ではその内容にほとんど差がありません。昔は女性警官は白バイに乗ったり、前線に出てパトロールや防災活動を行うことはなかったのですが、近年は当たり前にそれらの業務を行っています。交番勤務の女性警官を見ることは珍しいことではないと思います。民間人の相談や事件の内容によっては男性よりも女性警官が担当する方が望ましいケースがある。今後女性警官のシゴトとその需要は増え続けることが予想されます。

女性も男性と同様にキャリアを望める業界です。

勤務時間・休日

警察官の休日は4週間で8日であり、基本的に土日が休みです。大きな事件や自己が起きた際には勤務している人員が足りず、休日を返上して現場に向かわなくてはならない、ということもあります。休日はあっても、そもそもの勤務時間が長く、残業も比較的多いため、体力的にハードな職業だといえるでしょう。

求人・就職情報・需要

上記のように毎年5月、7月に各県警、4月、9月、1月に警視庁の試験があります。倍率は高いですが、毎年チャンスがある(身体的な条件あり)ので警察官になりたいという明確な意思がある方は対策をしてトライしてみましょう。

警察官の転職

警察官は拘束時間が長く、ショッキングな現場を見かけるなど、精神的な負担が少なくないシゴトです。離職率が最も高いのは25歳未満の警察官たちで、定年退職も合わせた全体の離職の約40%を占めています。

警察官の転職先として多いのが警備員です。共通しているシゴトが多いためシゴトに慣れやすいという理由があります。また、民間企業で営業として働くケースも多くみられます。未経験者でもできることが理由です。

転職すると時間が生まれたり、厳しいルール・プレッシャーから解放されるというメリットがありますが、給料が下がったり、新しい人間関係を築き上げいく苦労など、デメリットも当然あります。

やりがい・魅力

困っている人の問題を解決したり、パトロールによって地域の安全を守ることは誇らしいことであり、やりがいや生きがいに直結します。たくさんの人と触れ合い、様々な種類の仕事に取り組むことは楽しさにつながっています。社会的な信用が厚く、勤務地の尞に住めることや給与面待遇の良さは魅力だと思います。

大変なこと・つらいこと

勤務時間が長く、食事や睡眠を決まった時間に取れないことが大変です。事件や事故がないことを願ってもそれらは必ず起こってしまうので、常に心と体の準備をしなければなりません。また問題を解決できなかったときや被害者の顔を見る時はつらいです。

向いている人・適性

正義感が強く、コミュニケーション能力が高い人が向いています。

また体力や忍耐力、精神力があることも重要です。

体育会系の組織のため、当たり前のように礼儀を大事にできる能力も必要です。

まとめ

今回の記事はいかがだったでしょうか。

警察官は地域の治安維持に努める公務員であり、非常に重要なシゴトです。

難しい試験やその後の警察学校など一筋縄ではいきませんが、給料が高くやりがいもある魅力的なシゴトです。

警察官を目指す方、興味を持ってこの記事に目を通したあなたのためになれば幸いです。

最後に参照したサイトをいくつか挙げます。

参考にしたサイト

・警視庁ホームページ

https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/

・ユーキャン

https://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/1295/column/column01.html

・ベネッセ

https://benesse.jp/juken/201502/20150225-4.html

・キャリアガーデン

https://careergarden.jp/

・パブリネット

https://www.homemate-research.com/bc186/publilog/17/

  1. こちらの令和2年に行われた「地方公務員の給与の実態」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/r02_kyuuyo_1.htmlを参照しています