こんにちは記事を開いてくださりありがとうございます。
呪術廻戦19巻の表紙を飾る魅力的なキャラ日車寛見も弁護士。
メディア化される作品に登場する法曹界の人物は弁護士が最も多い。(日本で21世紀に放送された法廷ものドラマ16本のうち、15本が弁護士が着目)それもそのはず、弁護士の人数は約43206人(弁護士白書2021)であるのに対し、検察官は2000人弱、判事は3000人弱と10倍以上存在するためだ。人々の生活に触れる機会が最も多いのも弁護士であるがゆえに登場回数が多くなるのも納得だろう。
今回の記事は、弁護士になるためにはどうしたらよいのか、ということが特によくわかる内容になっています。
仕事内容
法律の専門家として社会で起こる様々な問題を法的に解決していくシゴトです。
弁護士というと「意義あり!(ちなみに英語ではObjection!と言います)」というセリフが僕なんかはよく思い浮かぶんですが、あれはドラマやゲームの中でのシーンで現実はほとんど出ることがありません。実際の弁護士の業務の多くは調査と分析と文章の積み重ねから構成され、非常に地味なことの積み重ねが多くを占めます。
「意義あり!」が世の中で大きく出回るきっかけとなった逆転裁判シリーズ。このゲームでは主人公が超大声で、時にはプレイヤー自身が声を出す必要があることもあるため法廷でも大声で叫ぶと思われがちだが実際は非常に厳かな雰囲気で進むので、こんなに大声が出ることは少ない。また現実の法廷ではゲーム程の頻度で意義あり意義ありすることもないのはもちろんだろう。
具体的には言えば、事件に関するトラブルや相談業務、法的な手続きを行います。弁護士が扱う事件は「民事事件」と「刑事裁判」に分けられます。それぞれ簡単に説明します。
民事事件
民事事件とは、人vs人、会社vs会社、人vs会社など、人間の紛争を解決する手続きを裁判所に求めるものです。具体的には、貸したお金の返還請求、離婚をめぐる争い、会社と従業員の労働紛争、会社同士の買収問題等があります。国や地方自治体を訴える争いも、広い意味で民事事件に含まれます。
刑事事件
刑事事件とは窃盗などの犯罪の犯人だと疑われている人の有罪・無罪などを決めるための手続に関する事件のことを指します。事件は六法の1つである刑法によって定義されます。
民事事件に関する業務はその事件の深刻さによって様々です。法律の専門家として助言をするだけで解決することもあれば、書面の作成や相手方に交渉に行ったりする場合もあります。話し合いで解決しない場合は訴訟を起こして裁判に持ち込むケースもあります。
民事裁判において弁護士は依頼人の要望を聞き、事実関係を調査して、依頼人に有利となる証言や書類を集め、依頼人の弁護を行います。ドラマやゲーム内での弁護士は非常に雄弁で目立ちますが、実際の民事裁判は事務的で、書類集めなどの準備作業がほとんどです。
刑事事件において弁護士は被害者や被告人の代理人として事件を調査したり、検察官を相手に弁護活動を行います。実は刑事事件を担当する弁護士は少数派です。警察官や検察官と異なり、弁護士には捜査権限が与えられておらず、事件の調査や証拠集めが難しいことが主な要因です。
弁護士の仕事は、「法律の観点から人々の生活をサポートし、安心して暮らせる世の中を作っていくシゴト」とまとめることができます。
なり方
弁護士になるためには「司法試験」に合格し、その後「司法修習」と呼ばれる一年間の研修を受ける必要があります。順に説明していきます。
司法試験には受験資格があり、誰でも受けることができる試験ではありません。法科大学院で2年間または3年間学ぶことで受験資格を得ることができます。大学院に通わない(通えない)場合でも、「予備試験」に合格することで受験資格を得ることができます。
予備試験は短答式試験(一次)、論述式試験(二次)、口述式試験(最終)に分かれており、一次試験を突破した者のみが二次試験を受けることができ、同様に二次試験を突破しなければ最終試験を受けることができません。この予備試験は年に1回のみ行われ、その合格率は例年約4%です。
法科大学院修了者、予備試験合格者ともに受験資格は5年間です。司法試験は1年に1回行われるので、一度受験資格を持ったら5回まで試験を受けられることになります。
続いて司法試験の内容についてまとめます。
司法試験は5月中旬に4日間の日程で行われます。
例えば2021年の司法試験日程は以下の通りです。
2021/05/12(水) | 選択科目(3時間) | |
公法系科目第1問(2時間) | ||
公法系科目第2問(2時間) | ||
2021/05/13(木) | 民事系科目第1問(2時間) | |
民事系科目第2問(2時間) | ||
論文式試験 | 民事系科目第3問(2時間) | |
2021/05/15(土) | 刑事系科目第1問(2時間) | |
刑事系科目第2問(2時間) | ||
2021/05/16(日) | 短答式試験 | 憲法(50分) |
民法(75分) | ||
刑法(50分) |
司法試験は論文式試験と短答式試験に分かれています。
・論文式試験
公法系科目:憲法、行政法
民事系科目:民法、商法、民事訴訟法
刑事系科目:刑法、刑事訴訟法
選択科目:知的財産法、労働法、租税法、倒産法、経済法、国際関連法、環境法から1つ
・短答式試験
憲法、民法、刑法
論文試験は必須科目が「法律基本7科目」とよばれる憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法であり、公法系・民事系・刑事系に分けられます。選択科目は知的財産法、労働法、租税法、倒産法、経済法、国際関連法、環境法から1つ選びます。短答式試験は憲法・民法・刑法の3科目です。司法試験の合格率は例年25%ほどです。
試験合格後は、「司法修習」を受けます。
司法修習とは、裁判所法によって定められた法曹教育制度であり、司法試験合格者は1年間かけて法律実務に関する幅広い知識と実技を学びます。司法修習の最後には試験(司法修習生考試)があり、それに合格することで判事補・検事・弁護士いずれかとなる資格が与えられます。
司法修習生は裁判官・検察官・弁護士いずれの道に進む者に対しても同じ過程で行われます。修習生は例外なく47都道府県にある裁判所、もしくは東京都立川・北海道旭川・釧路支部のいずれかに配属されます。実務実習の配属先は裁判所によって割り振られ、本人は希望は出せても、決定することはできません。カリキュラムは10か月の実務修習と司法研修所における2カ月の集合修習に分かれています(それぞれの内容については後述します)。
弁護士の場合は司法修習考査に合格後、地域の弁護士会に登録することで弁護士として働くことができるようになります。
実務修習と集合修習
司法修習は司法試験合格後、修習生登録した場合に、以下の5段階によって行われます。
①導入修習
②分野別実務修習
③選択型実務修習
④集合修習
⑤司法修習生考試(いわゆる二回試験)
このうち②の分野別実務修習と③の選択型実務修習を合わせて実務修習といいます。
・実務修習
②の分野別実務実習は修習の大部分を占めるものです。導入修習後の1月から4月にかけて4クールにかけて行われます。各クールではは「民事裁判」「刑事裁判」「弁護」「検察」の修習が実施され、どの時期にどの配属になるかはクラスによって異なります。
③の選択型実務修習は、
ⅰ全国プログラム
ⅱ個別プログラム
ⅲ自己開拓プログラム
ⅳホームグラウンド修習
に分かれています。修習生は選択型実務修習が行われる2カ月間でこの4つのプログラムを自由に組み合わせます。以下4つのプログラムについて記述します。
ⅰ全国プログラム
全国の修習生を対象に、全国各地で開催します。企業内の修習や地方の法テラスなどで行われる2週間のプログラムです。法テラスとは、国が設立した法律に関する問題や相談を解決するための支援センターです。ほとんどのプログラムの募集人数に限りがあるので、抽選が行われます・
ⅱ個別プログラム
各配属地の裁判所・検察・弁護士会が設置しているプログラムです。分野別修習の補完・発展を目的としています。分野別実務修習の延長というイメージです。
ⅲ自己開拓プログラム
修習生自身が主体的に企業や官庁に掛け合って修習先を見つけるプログラムです。自分の行きたいところに行くことができるのがメリットです。
ⅳホームグラウンド修習
弁護修習で配属された弁護士事務所で弁護修習の続きをするプログラムです。ほとんどの修習生がこのプログラムを選択修習に組み込みます。
半年間にわたる実務実習が終わると集合修習に移ります。
集合修習
集合修習の内容は以下の3つです。1カ月半かけて行います。
⑴即日起案
⑵模擬裁判
⑶講義
⑴即日起案
起案とは事務文書や条文などの案や文を考えて作ることです。
10日間で民事裁判・刑事裁判・検察・民事弁・刑事弁の5科目を2回ずつ起案します。そしてそれぞれに対する解説を講義・講評として行います。
⑵模擬裁判
実際の事件を題材にした模擬裁判を行います。
弁護人、検察官、裁判官、証人などの役が割り振られ、裁判の一連の流れをロールプレイングで行います。
⑶講義
実務にむけた講義が行われたり、ゼミ形式のグループワークを行うこともあります。集合修習では課題が出ることもあり、休日修習生は課題をやったり2回試験の勉強したりして過ごします。
司法修習生考査
司法修習において実務修習、集合修習を終えた後、最後の試練となるのが2回試験と呼ばれる司法修習生考査です。
この試験の科目は民事裁判・刑事裁判・検察・民事弁護・刑事弁護の5科目で1日1科目、5日間かけて行われます。内容は科目ごとに100ページ程の事件記録簿が配られ、事実認定や書類作成を行うというものです。7時間半という時間の試験が5日間続くので体調管理や体力の維持が求められます。
二回試験が行われるのは年に1回であり、不合格だった場合法曹になるのは1年後になってしまいます。そのため司法修習生たちは必死に準備します。例年合格率は90%を超えています。
雇用形態
弁護士の雇用形態は大きく分けて2つあります。法律事務所に所属する場合と企業に勤める場合です。
法律事務所に所属する場合
大半の弁護士は法律事務所に所属します。個人事業主として、業務委託という雇用形態で勤務しています。そんな弁護士たちには種類があります。
勤務弁護士
弁護士事務所に所属している弁護士を「勤務弁護士」と呼んでおり「イソ弁(居候弁護士)」「アソ弁(アソシエイト弁護士)」と呼ばれることもあります。
経営者弁護士
個人事務所および合同事務所などの弁護士事務所を経営する弁護士のことを指し、俗に「ボス弁」「親弁」と呼ばれています。また、同事務所で複数名が共同で経営していることもあり、その場合「パートナー弁護士」と呼ばれることも。
経営者弁護士は、法律事務所全体で事件を取り扱い、勤務弁護士の給与や事務所の経費を負担しています。
渉外弁護士
渉外弁護士とは、国際的な法律を専門に取り扱う弁護士のことを指し、国際的な企業の回収や合併等の法律業務を行っています。
顧問弁護士
個人または企業などの顧問として法律相談を引き受けている弁護士のことを指します。
外国法事務弁護士
外国法事務弁護士は、外国で弁護士資格を取得した弁護士のことを指し、弁護士資格を得た国の法律事務を取り扱っています。
「外国法弁護士」「外国資格弁護士」「外国弁護士」と呼ばれることもあります。
(資格広場を参照https://shikakuhiroba.net/statute/40179#html)
企業に勤める場合
「インハウスローヤー(Inhouse-Lawyer)」という言葉を聞いたことはありますか?「企業内弁護士」、「組織内弁護士」、「社内弁護士」などとも言われており、企業が雇用している専任の弁護士のことを指します。弁護士の資格を持つ者が一般企業の従業員・役員として法務部に勤務しながら法律に関する業務を扱っています。
企業に限らず、国際機関や地方公共団体などの職員として働く「行政内弁護士」「自治体内弁護士」もインハウスローヤーとして知られています。
企業内弁護士は企業の中のシゴトのみを行うため、企業によって(企業内弁護士によって)労働時間や待遇が異なります。
年収
令和元年に行われた国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均年収は436万円です。給与所得者とは、労働によって給料を得るすべての人を指し、アルバイトや非正規雇用者も含みます。
弁護士の年収は高収入ということができます。平均年収は577万円で、月給48万円+ボーナスでこの金額です。初任給の相場は25万円ですが、毎年昇給していきます。
近年弁護士の年収は加工傾向にあります。現在法曹人口の増加によって、「弁護士あまり」と呼ばれる状況が起こっており、その結果弁護士の需要が下がり、全体の年収も下がっているというわけです。
男女比
現在、弁護士全体に占める女性の割合は約20%ほどです。1950年、女性弁護士の割合は1%未満でしたが2000年には10%を超え、現在にいたるまで毎年増え続けています。これからも増え続けていくでしょう。
女性弁護士の割合は少ないですが、弁護士事務所には事務職の女性が多くいる場合が多いです。そのため職場の女性の割合を考えると約30%から50%を占めるでしょう。
学歴・資格
司法試験を受けるためには法科大学院で2年または3年学ぶことが必要です。法科大学院に入るためには大学を卒業しなければならないため、学歴は必須といえます。法科大学院に通わない場合でも、予備試験に合格すればその後5年間は受験資格を得ることができますが、予備試験の合格率は例年約4%です。弁護士になるために必要な資格はありません。また、持っていると有利な資格もありません。弁護士になった後に税理士や社労士の資格を取り、より専門的な業務を行うといったケースは珍しくありません。
独学でなれるのか
不可能ではありませんが、かなり難しいです。司法試験自体の難易度の高さもありますが、主な理由は以下です。
①試験範囲に対応したテキストがない
②論文試験に対応できない
①に関して、主なテキストは基本書と呼ばれる法学者の書いた専門書があるのですが、基本書は司法試験向けに書かれたものではなく著者の研究成果をまとめたものです。そのため必ずしも基本書に書かれていることが試験問題になるわけではないのです。どういった問題が出題されるかは過去問から分析するしかありませんが、1人では非常に手間と時間がかかります。
②論文試験には「正解」がありません。判例や条文の重要事項の解釈によっていくつものストーリーを描くことができます。たくさん問題を解いて解説を聞くことで、大事な思考力や瞬発力が身に付きます。それらの能力は独学でなく資格スクールなどで養われます。
スケジュール例
弁護士事務所所属の場合
09:00 出社
09:30 メールチェック
10:30 民事裁判に出席
12:30 昼食
14:00 相談者へ対応
15:30 顧問先からの電話相談
16:00 書類の起案
19:00 退社
9時頃出社して、メールに目を通します。裁判では弁論を行い、昼食へ向かいます。
忙しいときは昼を食べる時間が無かったり、遅い時間になってしまうこともあります。
昼食後は事務所にて対応を行い、一日の終わりに書類の起案を行います。
やりがい・楽しさ
・困っている人・重要な問題を抱えた人を助けるシゴトなので、人の役に立つことが好きな人にとっては達成感や喜びを感じる機会が多いでしょう。
・年々収入が減っているといっても一般的には高収入なので、収入面でも魅力的といえます。
・弁護士は会社員や公務員などのその他のシゴトと比べてルールや裁量を各人に任せている部分が大きく、きわめて自由度が高いのも魅力の一つです。
つらいこと・大変なこと
・単純に仕事量が多いです。同時に複数の案件を抱えていることがほとんどであり、それらは担当している本人の手でやりきる必要があります。スケジュール管理が重要になります。
・また、法律に関して常に勉強することが求められます。忙しいスケジュールの中で常にアンテナを張りめぐらせなければなりません。
・仕事内容がストレスフルなことです。相談者の負のオーラを一心に受け、毎日のように向き合うのです。時には依頼者から責められることもあり、ストレスに感じることもあるでしょう。
向いている人・適性
クライアントの力になりたいと考え、最後まで最善の結果を求める責任感がある人が向いています。人の役に立ちたいという情熱を持ちながら、同時に物事を平等に見て判断する冷静さが求められるため、冷静な人も向いているでしょう。また、弁護士の仕事は地道な証拠集めや資料収集、資料作成がほとんどのため、コツコツ作業の積み重ねができる根気強い人も向いています。
その他弁護士に求められる能力として「精神力」や「コミュニケーション能力」が挙げられます。この二つは鍛えることで身に着く能力だと思います。弁護士になりたい人、目指す人は意識してみてください。
今回の記事はいかがだったでしょうか。
弁護士、法曹というのは法律を司り、地域、世の中の秩序を守る重要なシゴトです。
重要な仕事であるだけに、なるのは大変であり、仕事自体もハードですがその分給料が高く、社会的な地位も高いように思います。
参考にしたサイト
・キャリアガーデン
・STUDYing
https://studying.jp/shihou/about-more/%20legal-apprentice.html
・日本弁護士連合会
https://www.nichibenren.or.jp/legal_info/top/howto.html