今回は「介護士」のシゴトを紹介します。介護士の仕事内容や働き方、年収などについてまとめていくのでよければ最後までご覧ください。
介護士とは
介護士とは「介護を行うシゴトについている人の総称」です。意外に思われるかもしれませんが、介護士とは特定の職業を指すわけではありません。有料老人ホームなどの施設で働き介護をする人も、介護を必要とする人の家を訪問して介護をするホームヘルパーと呼ばれる人も介護士ということになります。介護士含めて介護業界にはどのような職種があるかをまとめたコラム記事をアップしていますので、よければご覧ください。https://shigotoninlab.com/kaigo-syokusyu/
介護士の仕事内容₋介護とは₋
介護士というシゴトの基本は介護になります。実は介護には「生活援助」と「身体介護」の2種類があります。それぞれ簡単にまとめます。
生活援助
生活援助は介護サービス利用者が自立した日常生活を送るための家事の代行や買い物、掃除の手伝いなどをすることを指します。生活援助はその性質上、訪問介護で行われることが多いです。生活援助の具体例は以下のようなものです。
例・身の回りの掃除
・ゴミ出し
・料理、食事の用意、片付け
・洗濯、アイロンがけ
・日用品などの買い出し
・ベッドメーキング など
身体介護
身体介護は実際に身体に触れる介護です。食事のケアや入浴のサポート、排泄の世話などを行います。実際に身体に触れるという点がそのまま生活援助とは異なります。身体介護の具体例は以下のようなものです。
例・食事のケア(手伝い)
・部分浴(髪・顔・陰部・足など部分的な洗体)の手伝い
・清拭(身体を拭いてキレイにすること)
・排泄のケア
・車イスでの移動や歩行の補助
・着替えの手伝い など
介護士のシゴトの基本である介護は以上のようなものになります。施設にしろ訪問介護にしろ同じ人の介護を続けていく場合が多いので、特徴や好みを把握し、それぞれに合った方法で介護をしていきます。
介護以外の業務となると、例えば報告書の作成や施設内で行うイベントの企画や準備、掃除などの雑務などがあります。
続いて、介護士の働き方について簡単にまとめていきます。
介護士の働き方
介護士の働き方は「正社員」「派遣社員」「登録ヘルパー」の3種類が基本です。
介護士の多くは正社員として企業に就職し、その企業の運営する老人ホームなどの施設や、訪問介護士として働いています。派遣社員は、派遣会社に登録し、契約した期間だけ施設で働く働き方です。正社員と比べると給料などの待遇はあまりよくないですが、契約を慎重に行うことで自身のライフスタイルに合わせた働き方ができるというメリットがあります。契約更新のタイミングで働く施設が変わるので、多くの現場を経験し、介護士としてのスキルアップにつながります。派遣社員からステップアップというかたちで正社員を目指す人は多いです。
登録ヘルパーは施設で働く介護士ではなく、訪問介護を行う介護士の働き方の一つです。登録ヘルパーは、訪問介護事業所というところに登録して、勤務時間や日程を調整しながら週に1~5回ほど訪問を行う働き方です。登録ヘルパーは一週間フルタイムで働く人よりも、パートのように、週に1,2回程度働く人向けという印象があります。
介護士の働く場所
・介護老人保健施設
病気やけがの治療を終えた高齢者が、それまでの日常生活を取り戻すためのリハビリや自立を促すためにレクリエーションなどを行う公的施設です。介護老人保健施設では、生活援助や身体介護のほか、簡単な踊りや運動、ゲームなどのレクリエーション活動を通して入居者の生活リズムを整え、スムーズに社会復帰できるよう支援します。
・特別養護老人ホーム
65歳以上で、日常生活が困難になった、常時の介護を必要とする人が入所する施設で、「特養」と呼ばれています。食事や入浴、排泄など全てのケアを行い、生活を支えます。介護老人保健施設やその他の訪問介護は、利用者の社会復帰や日常生活を送るという自立を促すことが多いですが、特養は施設内で生涯を終える利用者がほとんどであり、穏やかな日々を送ることを重視した介護を行います。
・介護付有料老人ホーム
一般に老人ホームと言うとき、多くはこの介護付有料老人ホームを指します。有料老人ホームは入居者一人ひとりの状態に合わせて、それぞれに介護を行います。入居者の介護レベルはそれぞれで、自立を促すための介護から日常生活を支えるための介護まで行います。
入居基準や料金などは老人ホームによって異なります。
・デイサービスセンター
利用者は入居するのではなく、家から通うのがこのデイサービスセンターです。簡単な運動をするためのプログラムやゲームなどのレクリエーション、生活の援助をする施設です。
・グループホーム
グループホームは、認知症など、一人での生活が難しくなった人が4~9人程度の少人数でグループをつくり、専門の職員のサポートを受けながら共同生活をする施設です。入居者が洗濯などの家事をできる範囲で行い、できない部分を職員がサポートします。できる範囲のことをそれぞれが行うことで認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。
・訪問介護事業所
訪問介護を行う訪問ヘルパーが就職するのが訪問介護事業所です。この事業所を拠点として利用者の自宅をまわります。
介護士になるには
介護士になるには実は特別な資格や学歴は必要ありません。介護士になるためには基本的に老人ホームを運営する企業に就職するということになります。介護業界は人材が不足している傾向にあるので、どこにも就職できないということは起こりにくいです。積極的に行動して就職・転職活動をしていくことをおすすめします。
介護士になるには特別な資格は必要ないと述べましたが、一つ重要な研修を受ける必要があります。その研修は就職後あるいは就職前に必ず受けることになります。その研修は「介護職員初任者研修」と呼ばれるものです。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は厚生労働省によって「在宅・施設を問わず、介護職として働く上で基本となる知識・技術を習得する研修」と定義されている公的資格です。この研修は全国の民間スクールや通信教材で受けることができます。厚生労働省によって料金は全国一律にされており、年齢や学歴などの条件がなく誰でも受けることができます。研修を受けた後に試験に合格することで研修終了(資格取得)となります。
介護職員初任者研修を受けると「身体介護」ができるようになります。逆に言えば、この研修を受けていない介護士は身体介護をすることができません。身体介護は介護というシゴトの肝になるので、介護業界で働くほとんどの人がこの研修を受けています。
この研修は介護施設に就職後に受けるパターンと、そもそも研修を受けていることが採用の条件になっているパターンとがあります。
介護士になるには、一般企業への就職と同様で、特別なことはあまりありません。ただ、就活前に介護職員初任者研修を受けていると就職の際有利になるのは間違いありません。就職後に企業の研修としてこの初任者研修を受けさせてもらえる企業もありますが、そこまで多くない現状があります。
年収
令和3年に行われた賃金構造基本統計調査によると施設に勤める介護士の平均年収は352万円程です。東京都で働く介護士だけに絞ると400万円になります。
同調査によると、訪問介護を専門に行う訪問ヘルパーの平均年収は364万円です。東京都の訪問ヘルパーの平均年収は374万円です。
全国の労働者の平均年収である436万円1と比較すると低い水準であることがわかります。介護業界は人手不足に悩まされており、収入が低いゆえ更に人が減っていくという悪循環に陥っています。厚生労働省などが対策に出ていますが、業界全体でみると事態が好転しているとは言えない状況です。
1日のスケジュール
老人ホームなどの施設には入居している利用者がいるため、施設内には24時間介護士がいる必要があります。そのため介護士は病院勤めの看護師などと同様に夜勤が存在します。ここでは老人ホームに勤める介護士のスケジュール例を紹介します。
日勤の場合
8:30 出勤
9:00 勤務開始
11:30 昼食準備、食事介助、排泄介助、外出支援、入浴介助など
12:00 昼食補助
14:00 休憩
15:00 おやつの準備、レクリエーションなど
17:00 夜勤へ引継ぎ、介護記録作成など
勤務開始前に出勤し、着替えやその帆の予定の確認などの準備をします。夜勤のスタッフから仕事を引継ぎ、業務に取り掛かっていきます。朝は朝食の補助や片付け、排泄介助、部屋の掃除などから始まります。昼頃までは介助を行いながら間を見てトイレに行ったり、小休憩をはさんで過ごします。昼前に昼食の準備や配膳を行います。食事の補助が終わったら片付けを行い、午後はレクリエーションやビデオを見るなどして過ごします。定時になったら夜勤の人達に引継ぎをして帰宅します。
夜勤の場合
16:30 出勤
17:00 勤務開始
18:30 夕食準備
19:00 夕食補助
20:00 入浴補助、清拭など
22:00 消灯の準備など
24:00 休憩、仮眠
5:00 起床、巡回
7:30 朝食準備
8:00 朝食補助
9:00 退勤
夕方に出勤し、日勤と入れ替わりで働き始めます。基本的には入居者たちの様子を見ながら必要な介助や会話をして過ごします。夕食が終わると部分浴や清拭などを行っていきます。22時頃に消灯を行う施設が多いです。入居者たちが寝付くのを待って、休憩に入ります。常にだれか一人は入居者の対応を行えるようにしておく必要があるので、休憩や仮眠は交代交代で取ります。朝早く起きる入居者が多いので4時5時には起きておきます。朝は簡単な掃除や朝食の準備、補助を行い勤務終了になります。
これはあくまで例であり、実際はそこまで時間が決まっていないことが多いです。大まかな時間は決まっていても食事の時間がずれたり、レクリエーションの時間が長引くこともあります。日勤と夜勤の入れ替わりの時間も施設によって異なります。もちろん仮眠ありですが、24時間のシフトになることもあります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。以上で介護士の記事は終了です。介護の内容やシフトのスケジュール例、働く場所など、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
参考にしたサイト
job tag(政府の職業情報提供サイト)
キャリアガーデン
みんなの介護
- 国税庁 令和元年 民間給与実態統計調査を参照https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf