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ソムリエになるには?仕事内容や年収と合わせて解説‐シゴトニンラボ

皆さんはソムリエというシゴトを知っていますか?あるいは、ソムリエという言葉を聞いたことはありますか?

ソムリエとは、ワインに関するサービスに特化した人のことを指します。レストランやバーに勤め、料理に合ったワインの提供やワインに関する情報の提供を行います。

今回はそんなソムリエに関する情報をまとめていきたいと思います。

仕事内容

ソムリエの最も基本でありながら重要な仕事内容は、「最適なワインを提案し、提供すること」になります。最適なワインというのは、お客さんの要望に合ったものです。お客さんがその時食べている料理に合うものであったり、口当たりが滑らかなもの、酸味が穏やかで飲みやすいものといった味わいに関する要望、ワインの年代に関する要望など、様々な要望に応えるための深い知識が必要になります。

また、ソムリエには高い接客スキルや美しい立ち振る舞いが求められます。というのも、ソムリエがいるレストランやホテルというのは格高い場所であることが多いため、雰囲気を壊さないことが求められるのです。

また、ワインの管理をするのもソムリエの仕事内容になります。ワインセラーを使った温度管理や、在庫を見て買い付けなどを行うこともあります。

ソムリエはワインに関する深い知識が必要になるシゴトです。また、美しい立ち振る舞いや水準の高い接客も求められるため、簡単なシゴトではありません。つづいて、そんなソムリエのなり方を見ていきましょう。

ソムリエになるには

ソムリエとして働くには、ワインに関する知識が不可欠です。ソムリエを募集しているお店で最初からソムリエとして働くためには、資格が必須になります。資格をもっていない場合は、まず一般のホールスタッフとして働きながらワインの勉強をし、資格取得後にソムリエとして働くことを目指すのがよいでしょう。どの道資格は必須になります。

ソムリエの資格は日本に2つあります。一般社団法人日本ソムリエ協会が認定するものと、全日本ソムリエ連盟が認定するものの2つです。前者の認定するソムリエは2020年1月時点で約3.3万人、後者の認定するソムリエは約3千人となっており、業界内では前者の方が信頼があります。ここでは前者の日本ソムリエ協会の認定する資格についてまとめます。

日本ソムリエ協会のソムリエ資格について

日本ソムリエ協会には「ソムリエ」「ワインエキスパート」の2つの資格があります。「ソムリエ」は受験条件がとても厳しいのが特徴です。

・アルコール飲料を提供する飲食サービス

・ワイン・酒類飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、教育機関講師、酒類製造

・アルコール飲料を取り扱うコンサルタント業務

以上のいずれかの業務に3年以上経験しており、一次試験受験時にも月90時間以上従事している必要があります。つまり、ソムリエ試験を受けるにはワインに深く関わる業務を3年以上経験している必要があるため、未経験からいきなりソムリエになることはできないということです。

一方で「ワインエキスパート」の受験資格は「20歳以上であること」のみなので時を待てば誰でも受験することができます。

両者の試験内容はほとんど同じで、難易度も変わりません。

ソムリエの試験内容

・一次試験(筆記試験) 7月中旬〜8月末(2020年度は9月上旬まで延長)

・二次試験(ティスティング試験) 10月中旬

・三次試験(論述、実技試験) 11月下旬 ※合格発表は12月上旬

 

ワインエキスパートの試験内容

・一次試験(筆記試験) 7月中旬〜8月末(2020年度は9月上旬まで延長)

・二次試験(ティスティング試験) 10月中旬

ワインエキスパートはワイン愛好家向けの資格という側面があり、接客に関する三次試験がありません。一次試験と二次試験の内容はソムリエもワインエキスパートもほとんど同じです。

一次試験は例年7月中旬に行われ、出願期間は3月~7月初旬になります。ウェブ出願ページが毎年作成されるので、そこにアクセスして出願します。受験料は約3万円かかるのですが、出願時にカード決済またはコンビニで払うことになります。出願が完了すると「ワイン教本」が自宅に送られます。教本は800ページもの分厚さで、たくさんのワインに関する情報がまとめられています。一次試験の問題は全てワイン教本から出題されるため、早めに手に入れて対策に取り組むのがよいとされています。

最も難関とされている一次試験に合格すると、二次試験のテイスティング試験に進みます。テイスティング試験はワインを飲み、そのワインに関するコメントとして正しいものを選択肢から選ぶペーパーテストです。毎年必ずワイン以外のお酒も出題されるので、広い知識が必要になります。

ワインエキスパートの場合は二次試験合格で資格取得ですが、ソムリエは三次試験に進みます。

三次試験は論述試験と実技試験です。論述試験は二次試験と同じ日に行われます。試験時間は20分で、200字程度で答える問題が3問出題されます。

実技試験は実際に試験官にワインを提供する試験です。4~6人の受験者に対し3~4人の試験官がついて試験が行われます。

試験の合格発表は例年11月に行われます。試験の合格率は例年30~40%になっています。

こうしてソムリエ資格を取得すると、ソムリエとして認められ、レストランやホテルで働きやすくなります。ただ上記の通り、ソムリエ資格の試験を受けるには酒類を提供する飲食店またはワインに関する業務に3年以上従事する必要があります。そのため多くのソムリエはまずは一般のスタッフとして受験資格を満たすことができる場所で働きます。

受験資格がないワインエキスパートはあくまでワイン愛好家のための資格という側面が強く、ソムリエを目指す人が受験するケースは珍しいです。

まとめると、ソムリエになるためにはまずソムリエの資格が必要になります。資格試験を受験する条件を満たすために飲食店や酒類を扱う店で3年以上働きます。試験に合格すれば晴れてソムリエとなります。ソムリエとして働くお店は後から探すもよし、受験資格を得るために働いたお店で続けるもよし、です。

ソムリエの年収

令和3年に行われた賃金構造基本統計調査https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.htmlによると、ソムリエが属する飲食店給仕係の平均年収は317万円です。東京に限った平均年収は365万円です。全国の労働者の平均年収である436万円1と比較すると低い水準です。

ただ、この平均年収317万円というのは、あくまで飲食店給仕係というウエイターや飲食店のホールスタッフの平均年収です。ソムリエは格式高いレストランやホテルに勤めることが多く、ソムリエの平均年収は317万円より高いことが推測できます。

求人サイトなどでは、ソムリエの平均年収は約400万円としているところが多いようです。

ソムリエの男女比

厚生労働省によるとソムリエの約4割が女性です。女性のソムリエは年々増えています。

ちなみに女性のソムリエをソムリエールと呼ぶこともあります。フランス語などヨーロッパの言語は名詞に女性名詞と男性名詞があることが多いです。例えば日本語の菓子職人はフランス語ではパティシエ(男性名詞)とパティシエール(女性名詞)に分けられます。

独学でなれるのか

ソムリエ資格の合格率はそれほど高くなく(例年30~40%)、覚える知識の量も膨大です。そのためソムリエを目指す人のための専門学校やオンラインスクールはたくさんありますが、独学での資格取得は可能です。一次試験の問題はワイン教本から出題されます。過去問や問題集テキストなどを利用して、重要な点や試験に出やすい点を分析し、学習することが大事になります。二次試験のテイスティングは知識だけでなく経験が重要になるので、重ねて何回も訓練する必要があります。三次試験の対策は3年の実務経験の中で自然に身についていくものだと考えます。

独学での資格取得は十分に可能だと考えます。

スケジュール例

14:30 出勤

15:00 ミーティング

15:30 開店準備

16:00 開店 営業開始

23:00 閉店 営業終了

23:30 退勤

ソムリエは一人のホールスタッフのため、開店前から出勤します。その日1日の営業やメニューに関するミーティングを行った後、開店準備を行います。開店準備はソムリエの場合はワインの確認、グラスや食器の清掃、店内の清掃、テーブルやイスを整えることを行います。

営業時間中はお客さんにワインを提供したり、勧めることをします。ホールスタッフとして料理を運んだり、お客さんの対応にあたることもあります。営業後は簡単に片付けを行い、着替えて帰ります。

営業時間についてですが、それぞれの店やホテルで異なります。ランチ営業があるお店の場合は午前中に出勤し、ランチ営業を終えた後休憩し、夜営業へと移ります。

また、休日もお店によって異なります。定休日があるお店の場合、定休日の曜日は確定で休みになります。定休日がないお店の場合はシフトによって毎週休みの日が異なることもあります。

魅力・やりがい

・お客さんに提供したワインを喜んでもらえたとき

・お客さんに感謝の言葉を伝えてもらったとき

・ワインに関する知識や教養が深まったと実感したとき

・お客さんとの会話が楽しい

などが挙げられます

大変なこと・つらいこと

・立ち仕事であること

・ワインの知識を維持するために勉強を続ける必要があること

・身だしなみや立ち振る舞いに常に気を遣う必要があること

・給料が特別高くはないこと

などが挙げられます。

 

以上でソムリエの記事は終了になります。最後までお読みいただきありがとうございました。

参考にしたサイト

一般社団法人日本ソムリエ協会

https://www.sommelier.jp/

全日本ソムリエ連盟

https://ansa-w.com/

キャリアガーデン

https://careergarden.jp/

職業情報サイトO-NET

https://shigoto.mhlw.go.jp/

  1. 国税庁 令和元年 民間給与実態統計調査を参照https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf