省庁とは
省庁は国の行政機関のひとつです。日本では内閣のもとで「府」「省」「庁」「委員会」と分かれ、それぞれの業務を担当する体制がとられています。例えば財務省が財政を担当し、防衛省が自衛隊を管理するように、それぞれの省庁は国の行政に関わる仕事を分担しておこなっているのです。
ただ憲法上ではそれぞれの具体的な役割は規定されておらず、その時々の情勢に応じて、省庁の編成はしばしば変更されます。
近年では2001年に中央省庁の再編がおこなわれ、それまでの1府22省庁が1府12省庁(1府11省1庁)に大きく改編されています。2021年現在は、東日本大震災後に新設された復興庁を加え、日本の中央省庁は1府11省2庁です。
府や省は内閣の監督のもとで行政を行い、庁は府や省の担当する業務のなかでも、特に専門性の高い業務を行うために設置されています。
文部科学省の成り立ち
学術・教育・学校などに関する行政機関として、文部省が1871年、科学技術庁が1956年に設置されました。その後2001年(平成13年)1月6日、中央省庁再編に伴い、旧文部省と、科学技術行政を総合的に推進する行政機関で旧総理府の外局だった旧科学技術庁とが統合されて誕生しました。
2015年にはスポーツ振興のための政策を行う「スポーツ庁」が文部科学省内に設置され、幅広い業務を担っています。
基本情報
組織図
文部科学大臣、副大臣、大臣政務官、秘書官という幹部らの下に大臣官房やスポーツ庁、初等中等教育局など10の組織と日本学士院などの機関が複数あります。
スポーツ庁と文化庁という2つの庁を携えているのが特徴的です。
人数と男女比
一般職の在職者数は2020年時点で文部科学省全体で2,115人(男性1,560人、女性555人)です。機関別内訳は本省が1,718人(男性1,262人、女性456人)、文化庁279人(男性203人、女性76人)、スポーツ庁118人(男性95人、女性23人)となっています。その他の省庁と比べると女性の比率がやや高いのが特徴です。
年収
国家公務員全体の平均月収は約42万円で、それに半年に一回のボーナスを加えた平均年収は約640万円となっています。国家公務員の収入は民間企業と比べると安定していて高いです。ただ年功序列のため、就職して数年の収入は意外に低いです。
また福利厚生や退職金が充実しており、非常に安定した収入を得ることができる職業です。
文部科学省の役割
「文部科学省」は教育、科学技術・学術、スポーツ、文化の振興といった、とても幅の広い役割を担っています。どの仕事も国の基盤に関わるものであり、資源の少ない日本がこれからも世界の中で活躍していく上で、とても大切な仕事ばかりです。文部科学省は、国民が心も体も健康で、ゆたかな生活ができるよう、様々な法律や計画に基づき仕事をしています。
仕事内容と取り組み
文部科学省の実施する政策は「教育」「科学技術・学術」「スポーツ」「文化」の4つに分けられています。それぞれ開設します。
教育
「教育総合政策局」「初等中等教育局」「高等教育局」が教育に関する取り組みを行っています。国民一人ひとりがいつでもどこでも学べる社会を目指し、環境の整備を行っています。また、小中学生が楽しく学び充実した日々を送るための環境整備や指導要領の検討、大学生が質の高い研究をするための大学への支援などを行います。教員の育成や青少年の健全な育成、幼児教育など、教育に関して幅広い施策を実施しています。
科学技術・学術
科学技術を大切にすることで、日本の経済社会の発展や福祉の向上を目指すための取り組みを行っています。科学技術で何ができるか、どのように使えばよいか、ということを考え、研究をしやすくするための環境や設備を整えます。
また、日本と外国の研究者が共同で研究できるよう補助をしたり、国民、特に小学生以上の学生に科学技術について興味を持ってもらえるように研究の楽しさやすばらしさを伝えることも重要なシゴトです。「科学技術・学術政策局」「研究振興局」「研究開発局」がこれらのシゴトを担っています。
スポーツ
スポーツによって国民が健康に生きていくことを目的に平成27年に設置されたのが「スポーツ庁」です。小中学校の体育の指導要領の見直し・検討や運動施設の整備などを中心に取り組んでいます。オリンピック・パラリンピックにも力を入れており、強化選手たちの練習環境を手厚く支援しています。その結果2020東京オリンピックで日本は、58個という過去最高のメダル数を獲得しました。
文化
日本の文化を保存し、次の世代へと伝えていくシゴトをしているのが「文化庁」です。お城や刀剣、能や歌舞伎、トキやオオサンショウウオなど大切な文化財を守りながら、まちづくりや観光、福祉など様々な分野の人たちとともに地域振興に取り組んでいます。
また、芸術家等の育成や芸術創造活動への支援や著作権の保護・活用について知識を広める活動をしています。文化庁の中には「宗務課」があり、宗教に関する事務も行っています。
文部科学省で働くには
中央省庁で働くには、国家公務員試験に合格する必要があります。後で詳しく説明しますが、試験に合格したからといって必ず希望の省庁に入れるわけではありません。一般企業に採用されても希望の部署に入れるかどうかはわからないのと同じです。
文部科学省で働くには国家公務員試験を受けることからスタートします。試験には「総合職試験」、「一般職試験」、「専門職試験」があり、それぞれに年齢などの受験条件があります。またそれぞれ試験内容が異なっており、総合職試験は1次2次と2段階の試験があります。総合職試験と一般職試験は合格すると「採用候補者名簿(3年間有効)」に名前が載り、そこから各省庁が採用面接を行い内定者を決定します。この面接を「官庁訪問」といい、どこの省庁に採用され就職するのかは官庁訪問に合格して初めて決まります。官庁訪問に合格しなければ、たとえ筆記試験に合格しても国家公務員になれないということです。
一方専門職試験は官庁を限定している試験のことで、総合職試験、一般職試験と違って試験に合格すれば確実に希望の官庁で採用されます。ただ文部科学省に専門職試験での採用枠はありません。
国家公務員になるためには特別な資格や学歴は必要ありません。高卒者も受験できます。ただ試験の難易度から、実際に受けるのは難関大学の学生、院生がほとんどという現状です。
(高校)大学卒業 (高校)大学卒業
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総合(一般)職試験 専門職試験
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官庁訪問 そのままその官庁に採用
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採用
参考にしたサイト
・文部科学省ホームページ
・キャリアガーデン
・パブリログ
https://www.homemate-research.com/
・文化庁
・スポーツ庁
https://www.mext.go.jp/sports/