省庁とは
省庁は国の行政機関のひとつです。日本では内閣のもとで「府」「省」「庁」「委員会」と分かれ、それぞれの業務を担当する体制がとられています。例えば財務省が財政を担当し、防衛省が自衛隊を管理するように、それぞれの省庁は国の行政に関わる仕事を分担しておこなっているのです。
ただ憲法上ではそれぞれの具体的な役割は規定されておらず、その時々の情勢に応じて、省庁の編成はしばしば変更されます。
近年では2001年に中央省庁の再編がおこなわれ、それまでの1府22省庁が1府12省庁(1府11省1庁)に大きく改編されています。2021年現在は、東日本大震災後に新設された復興庁を加え、日本の中央省庁は1府11省2庁です。
府や省は内閣の監督のもとで行政を行い、庁は府や省の担当する業務のなかでも、特に専門性の高い業務を行うために設置されています。
基本情報
組織図
各省庁はそれぞれ本省の幹部、内部部局、各審議会と外局によって構成されています。審議会とは国や地方自治体の行政機関に付属し、意思決定に関わる機関で、委員会などがこれにあたります。
財務省は6つの内部部局と地方支分部局、外局(国税庁)とその他施設で構成されています。
職員数と男女比
一般職の在職者数は2020年7月時点で、財務省全体で70,471人(男性54,208人、女性16,263人)です。そのうち本省が15,884人(男性12,267人、女性3,466人)、国税庁54,587人(男性41,941人、女性12,646人)となっています。
中央省庁の中では最も職員数の多い部類です。女性職員の割合は23%ほどでやや低めとなっています。
年収
国家公務員全体の平均月収は約42万円で、それに半年に一回のボーナスを加えた平均年収は約640万円となっています。国家公務員の収入は民間企業と比べると安定していて高いです。ただ年功序列のため、就職して数年の収入は意外に低いです。
また福利厚生や退職金が充実しており、非常に安定した収入を得ることができる職業です。
財務省の役割
財務省設置法によると、財務省の役割は「健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、税関業務の適正な運営、国庫の適正な管理、通貨に対する信頼の維持及び外国為替の安定の確保を図ること」とされています。
財務省はその名の通り国のお金を扱う省庁です。国民がよりよい生活を送るために国のお金の使い方の計画を立てたり、税金の仕組みや使い道について会議を行います。また貿易時に麻薬や拳銃、偽のブランド品が日本に入って来ないよう税関を設けているのも財務省です。また国庫の適正な管理とは、国のお金を適正に管理することを意味します。
仕事内容と取り組み
財務省の内部部局は「大臣官房」「主計局」「主税局」「関税局」「理財局」「国際局」の6つです。それぞれ簡単に解説します。
大臣官房
財務省内の人事・会計等の管理事務、政策に必要な各種の調査・研究の事務、金融機関に関する制度の調査・企画・立案、金融危機管理に関する企画・立案など幅広い業務を行うのがこの大臣官房です。内部部局の中心組織です。
主計局
国の予算・決算・会計に関する企画・立案を行う局です。他省庁と何度も話し合いながら予算編成を行うことが主なシゴトです。予算編成において他の省庁に対して強い権力を持っています。
主税局
総務課や調査課など5つの課からなり、主に日本国の税制についての企画・立案を行っています。日本経済の状況や国際状況を見て、毎年秋から冬頃にかけて集中して検討を行い、4月からの通常国会で税制の改正を目指します。
関税局
関税制度について企画・立案や関税に関する国際協定の企画・立案、税関業務の指導監督などを行う局です。税関とは、国境・港・空港など外国と交通する所に置かれ、貨物・携帯品・船・航空機の取締りや関税(貿易時にかかる税金のこと)の取立てなどの事務をする役所のことです。
理財局
「理財」とは資産の運用を意味する言葉で、理財局は国の財産を管理・運営している局です。具体的には国庫制度、財政投融資、国債・地方債、貨幣の発行、たばこ・塩事業、日本銀行の業務・組織の適正な運営の確保等に関わっています。財政投融資とは、公共性の高い事業に国が国のお金を支援することを言います。
国際局
外国為替・国際金融市場の安定に関する調査・企画・立案、外国為替資金の管理・運用、外国為替相場に関する事務、発展途上国への支援に関する企画・立案を行っています。
外国為替とは、単位の異なる通貨を交換する時の比率のことを言います。例えば「1ドル=100円」「1ユーロ=120」などで、この相場は毎日少しずつ変化しています。この外国為替に関して様々な業務を行っているのが国際局です。
内部部局は以上です。
国税庁について
国税庁は1949年に旧大蔵省(財務省の前身)の外局として設置されました。
国税庁の任務は、「内国税の適正かつ公平な賦課(ふか)及び徴収の実現」、「酒類業の健全な発達」及び「税理士業務の適正な運営の確保」を図ることとされています(財務省設置法第19条)。要するに、税金が適正に支払われるよう税制度を運営しているのが国税庁だということです。
財務省職員の約70%がこの国税庁に勤めています。
財務省で働くには
中央省庁で働くには、国家公務員試験に合格する必要があります。後で詳しく説明しますが、試験に合格したからといって必ず希望の省庁に入れるわけではありません。一般企業に採用されても希望の部署に入れるかどうかはわからないのと同じです。
財務省で働くには国家公務員試験を受けることからスタートします。試験には「総合職試験」、「一般職試験」、「専門職試験」があり、それぞれに年齢などの受験条件があります。またそれぞれ試験内容が異なっており、総合職試験は1次2次と2段階の試験があります。総合職試験と一般職試験は合格すると「採用候補者名簿(3年間有効)」に名前が載り、そこから各省庁が採用面接を行い内定者を決定します。この面接を「官庁訪問」といい、どこの省庁に採用され就職するのかは官庁訪問に合格して初めて決まります。官庁訪問に合格しなければ、たとえ筆記試験に合格しても国家公務員になれないということです。
一方専門職試験は官庁を限定している試験のことで、総合職試験、一般職試験と違って試験に合格すれば確実に希望の官庁で採用されます。ただ財務省に専門職試験での採用枠はありません。
国家公務員になるためには特別な資格や学歴は必要ありません。高卒者も受験できます。ただ試験の難易度から、実際に受けるのは難関大学の学生、院生がほとんどという現状です。
(高校)大学卒業 (高校)大学卒業
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総合(一般)職試験 専門職試験
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官庁訪問 そのままその官庁に採用
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採用
参考にしたサイト
・キャリアガーデン
・パブリログ
https://www.homemate-research.com/
・国税庁
・財務省ホームページ