省庁とは
省庁は国の行政機関のひとつです。日本では内閣のもとで「府」「省」「庁」「委員会」と分かれ、それぞれの業務を担当する体制がとられています。例えば財務省が財政を担当し、防衛省が自衛隊を管理するように、それぞれの省庁は国の行政に関わる仕事を分担しておこなっているのです。
ただ憲法上ではそれぞれの具体的な役割は規定されておらず、その時々の情勢に応じて、省庁の編成はしばしば変更されます。
近年では2001年に中央省庁の再編がおこなわれ、それまでの1府22省庁が1府12省庁(1府11省1庁)に大きく改編されています。2021年現在は、東日本大震災後に新設された復興庁を加え、日本の中央省庁は1府11省2庁です。
府や省は内閣の監督のもとで行政を行い、庁は府や省の担当する業務のなかでも、特に専門性の高い業務を行うために設置されています。
防衛省の成り立ち
防衛省の成り立ちは1950年までさかのぼることができます。当時朝鮮戦争中に警察予備隊という警察組織ができた時に、防衛省の元となる警察予備隊本部も設立されました。その後は1952年に保安庁、1954年に防衛庁と名前を変え、2007年に現在の防衛省となりました。
防衛省の基本情報
組織図
国際的な防衛政策に取り組む政治的な部署と自衛隊などの防衛部隊があり、非常に規模の大きい官庁です。
また自衛隊は防衛省に所属する部隊で、自衛隊を動かす権限は内閣総理大臣が持っています。
人数と男女比
陸上自衛隊が約14万人、海上自衛隊が約4万人、航空自衛隊が約4万人、その他事務職などの職員が約4千人の計約23万人が所属しています。
そのうち女性自衛官は約7千人で、全体の5%ほどです。
年収
国家公務員全体の平均月収は約42万円で、それに半年に一回のボーナスを加えた平均年収は約640万円となっています。国家公務員の収入は民間企業と比べると安定していて高いです。ただ年功序列のため、就職して数年の収入は意外に低いです。
また福利厚生や退職金が充実しており、非常に安定した収入を得ることができる職業です。
防衛省の役割
防衛省の役割は、日本の平和と独立を守ることです。そのために、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の管理と在日米軍基地の管理などを行なっています。また、阪神大震災や東日本大震災といった自然災害の被災地への救助活動や、地下鉄サリン事件といったテロ活動から国民を守る活動も、自衛隊の重要な役割です。
仕事内容と取り組み
防衛省はその他の省庁と比べると、どのようなことをしているかイメージがつきやすいと思います。防衛という名の通り、国を守り、平和を守っている行政機関です。具体的な仕事内容と取り組みに関しては、防衛省内の組織ごとに何をしているのか解説したいと思います。
まず、防衛省は9つの組織によって成り立っています。その9つとは、「大臣官房」「防衛政策局」「整備計画局」「人事教育局」「地方協力局」「防衛装備庁」「統合幕僚監部」「地方防衛局」「地方協力本部」です。それぞれ解説していきます。
大臣官房
防衛省内の全ての仕事に関わるのがこの大臣官房です。通常、職員は防衛省の仕事の一部分を担当しますが、防衛大臣の指示のもと省内の業務全般を担当し、大臣不在時にはその職務を代行する秘書官は全ての業務に関わることとなります。
大臣官房内には秘書課や広報課、監査課など7つの課があり、省内の事務の総合的な業務を実施しています。具体的には職員の人事や防衛省内の予算・決算の作成、自衛隊に関する広報などです。
防衛政策局
日本国の防衛政策の立案、他国との防衛に関する交流、情報の収集・分析などに関する業務を実施しています。戦略企画課や調査課、訓練課など8つの課があります。
具体的な業務として、防衛省の事務に必要な情報の収集や安全保障に関するアメリカ合衆国との協力・調整などがあります。
整備計画局
自衛隊部隊の編成・装備、情報通信、自衛隊等の施設の取得・管理、建設工事の実施などに関する業務を実施している局です。組織内には防衛計画課などの6つの課があり、具体的には防衛省の情報システムの管理や自衛隊施設の整備・建設などを行っています。
人事教育局
自衛官の人事・福利厚生・給与制度・教育などに関する業務の実施を行う局です。中には給与課や人材育成課など6つの課があります。自衛隊という組織にとって重要なシゴトをしています。
地方協力局
全国の基地所在地方公共団体やその周辺住民の方々に対し、防衛省・自衛隊の政策や自衛隊の活動について理解・協力を得るための施策などに関する業務を実施しています。地方協力企画課や防音対策課など9つの課があります。
防衛装備庁
主要装備品とそれに関わる企画の管理、外国との防衛装備・技術協力、技術的優越の確保、 防衛技術の維持・強化などの防衛装備品にかかわる政策を実施している局です。プロジェクト管理部や技術戦略部など6つの組織があり、装備品の研究開発や装備品調達に関する政策の実施などを行っています。
統合幕僚監部(とうごうばくりょうかんぶ)
実際の部隊運用に関する業務を、対外説明や他の省庁との連絡調整を実施しています。陸・空・海の自衛隊の幕僚長などが所属しており、 省庁内のエリートの集まりと言うことのできる組織です。防衛および警備に関する計画の立案、自衛官の教育訓練・編成・装備などに関する計画の立案などを行っています。
地方防衛局
防衛行政全般の地方拠点として、 地元の理解や協力の確保に関する業務や防衛施設の建設工事等を実施しています。北関東、南関東、各地方にひとつずつ拠点があります。
地方協力本部
チホンと呼ばれ、自衛官募集業務やPRのためのポスターの制作や配布、説明会・セミナーの実施といった自衛隊を世間に認知してもらう活動を行う組織です。入隊希望者や関心を持った人に対して、さまざまな問合せへの対応、さらに志願者応募の受付はもちろん、合格後の入隊までの準備まで手厚くサポートしています。
自衛隊
自衛隊はこの防衛省に所属している部隊です。中には防衛省=自衛隊という認識の方もいるのではないでしょうか。
自衛隊に関してはこちらの記事で紹介していますので、詳しく知りたい方はご参照ください
https://shigotoninlab.com/zieikan/
防衛省に入るには
防衛省には自衛隊が含まれるため、国家公務員試験に合格して防衛省入省を目指すか、自衛官になるか二つの方法があります。
本記事では国家公務員試験について解説します。自衛官の試験についてはこちらの記事を参照ください。https://shigotoninlab.com/zieikan/
中央省庁で働くには、国家公務員試験に合格する必要があります。後で詳しく説明しますが、試験に合格したからといって必ず希望の省庁に入れるわけではありません。一般企業に採用されても希望の部署に入れるかどうかはわからないのと同じです。
国家公務員試験には「総合職試験」、「一般職試験」、「専門職試験」があり、それぞれに年齢などの受験条件があります。またそれぞれ試験内容が異なっており、総合職試験は1次2次と2段階の試験があります。総合職試験と一般職試験は合格すると「採用候補者名簿(3年間有効)」に名前が載り、そこから各省庁が採用面接を行い内定者を決定します。この面接を「官庁訪問」といい、どこの省庁に採用され就職するのかは官庁訪問に合格して初めて決まります。官庁訪問に合格しなければ、たとえ筆記試験に合格しても国家公務員になれないということです。
一方専門職試験は官庁を限定している試験のことで、総合職試験、一般職試験と違って試験に合格すれば確実に希望の官庁で採用されます。防衛省では、海外の要人と会議の際の通訳や自衛官への英語指導のため、語学に特化した専門職試験を実施しています。詳しくはこちらを参照してください。防衛省専門職 あなたが輝く場所
国家公務員になるためには特別な資格や学歴は必要ありません。高卒者も受験できます。ただ試験の難易度から、実際に受けるのは難関大学の学生、院生がほとんどという現状です。
(高校)大学卒業 (高校)大学卒業
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総合(一般)職試験 専門職試験
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官庁訪問 そのままその官庁に採用
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採用
以上で防衛省の記事は終了です。最後までお読みいただきありがとうございました。
参考にしたサイト
・キャリアガーデン
・パブリログ
https://www.homemate-research.com/
・防衛省ホームページ